東証一部上場企業で唯一、データ分析を専業とする株式会社ブレインパッド(以下ブレインパッド)はビッグデータ活用ビジネスのパイオニア的な存在です。多くのデータサイエンティストが所属し、データサイエンティスト協会の代表理事も務める同社は、データを分析し活用するためのコンサルティングから、デジタルマーケティングのプロダクト開発、展開までを事業領域としています。マーケティングプラットフォーム本部 副本部長の近藤 嘉恒氏より、同社のプライベートDMP「Rtoaster(アールトースター)」の紹介と「TREASURE CDP」との違い、連携についてお話をいただきました。
国内DMP市場シェアNo.1ツール、「Rtoaster」の特徴
「Rtoaster」は、現在国内のプライベートDMP市場における、ベンダー別売上金額でシェアNo.1(56.4%)のツールです。ローンチより11年、導入社数250社以上の実績から得られた知見とサービス継続性に強みがあります。
「Rtoaster」の特徴として、まずは3つのパーソナライズ手法が挙げられます。「お客様の行動ログやCRMデータを起点に展開するアプローチ手法。創業以来の強みとしているレコメンドエンジン、いわゆる自動アルゴリズム。そして昨今のトレンドでもある自然言語処理(テキストマイニング)」(近藤氏)。この3つの手法を駆使して自社ウェブサイトのパーソナライズを実現します。
加えて「Rtoaster」ではポップアップでのウェブ接客アプローチ、アプリ上でのレコメンドやプッシュ通知といった部分も、パーソナライズの仕組みから展開することができます。これらの機能を包括的に提供しているDMPは、「Rtoaster」が唯一です。さらに、データ分析のスペシャリストが設計したアルゴリズム・最適化機能を標準実装していること、データ活用を進めるに当たってのアライアンスネットワークが豊富であることも特徴です。
「Rtoaster」と「TREASURE CDP」の位置付けの違い
「Rtoaster」と「TREASURE CDP」は、DMPという領域では競合とみなされることも多いツールですが、両者は明確に違いがあり、むしろ共存が可能だと近藤氏は強調します。
近藤氏によると、「Rtoaster」は「アクション型プライベートDMP」という位置づけです。「データ収集」から「データ分析・機械学習」、そして「データからアクション」を実行することが、「Rtoaster」の開発当初からの思想でした。
一方で「TREASURE CDP」は、データベース由来のツールで、あらゆるデータを蓄積することで、加工や可視化、分析に用いることを志向しています。近藤氏は「TREASURE CDP」を「データレイク型(蓄積型)プライベートDMP」(7月以降は「カスタマーデータプラットフォーム」:CDPと位置づけています)であると定義しました。
課題を相互補完できるパートナーとして
2つのツールは、両者の課題を相互補完できる「実は最も良いパートナー」(近藤氏)です。
「TREASURE CDP」はあらゆるデータを収集、格納する事ができる一方、マーケターの活用を促すために、「マーケターが使いこなしやすい包括的な実行支援ツールとの連携を行いたい」という課題がありました。
「Rtoaster」側でも、当時潮流であったパブリックDMPとの連携を進めた結果、データの取得経路や質がバラバラで、結果としてアクションの精度が高まらないという課題に加え、アプリのトラフィックデータやPOSトランザクションといった小売データ、非構造データなど、粒度がバラバラな大量のデータを「Rtoaster」として格納するのかといった議論があったといいます。
「使えるデータとして整理・格納されているサービスとの連携をしたい」(近藤氏)。双方の文脈を統合することでマーケターへの最適解となりえるということが、連携の端緒となりました。
協働することでマーケターへの更なる価値創造を可能に
「TREASURE CDP」リリース以降、「Rtoaster」と「TREASURE CDP」双方の顧客から連携したいという問い合わせが増加しています。
両者が連携する前段として、近藤氏はまずオウンドメディアをパーソナライズすることの重要性を説きます。MAやLINEビジネスコネクトといったコミュニケーション・チャネルを用いて集客した結果、訪問されたオウンドのランディングページがパーソナライズされていないことには、お客様のコンバージョンといった最終的な成果には繋がりません。「TREASURE CDP」の1st Partyデータを活用し、「Rtoaster」と連携した施策を実行することで、こういった不適合が解消され、一貫したお客様とのコミュニケーションが可能となります。
「Rtoaster」と「TREASURE CDP」の連携によって実現できるポイントが大きく3つ提示されました。一つ目は実行施策の幅が広がる、例えばオムニチャネル展開をするにあたってサイロ化したデータを統合できること。二つ目は施策の深さ。そして三つ目がマーケターの運用工数の削減です。
最後に、ブレインパッドがこれから「TREASURE CDP」のインテグレーションサービスをスタートするというアナウンスがありました。両者の連携により、これまで以上に価値あるサービスを提供することが可能になります。