将来の予測が難しいビジネス環境で、重要な指針の1つになるのが「顧客の声(Voice of Customer)」です。その顧客の声に耳を傾けるためのアンケートプラットフォームを提供しているのがクリエイティブサーベイ株式会社(以下、クリエイティブサーベイ)です。2019年に開催された「PLAZMA 2019 JAPAN IT WEEK 春」では同社の代表取締役 菊地孝行氏と営業・マーケティング担当新村成世氏が登壇。その講演内容から、同社自体がどのように顧客の声を聞き、組織を強くしているのか、その秘訣を明らかにします。
デザインとITを強みにアンケートプラットフォームを展開
SaaS形式でアンケートプラットフォーム「CREATIVE SURVEY」の開発・販売・サポートを手がけるクリエイティブサーベイ。サービスデザインやWeb企画・運用などを展開するフォーデジットのユーザーリサーチ部門が2014年に一部独立して誕生したのが同社だ。名刺管理サービスのSansanから出資も受けており、同社のサービスは現在、リクルートや日経リサーチ、KADOKAWA、エーザイなど、100社超の法人が継続的に利用している状況だ。
「顧客満足度、顧客の声をきちんと捉えたいと考えているお客様に数多くご利用いただいています。アンケートは顧客とのコミュニケーションであり、大きく2つのことを重視してサービスを展開しています」と菊地氏は説明する。
特徴は大きく2つある。1つは、デザイン会社の子会社として生まれたことを生かし、美しく柔軟なデザイン設計ができることだ。「顧客体験をデザインする場合、意味やロジックだけでなく、顧客の感情などエモーショナルな部分をマネジメントすることが重要です。アンケートの目的や企業ブランドに即して『デザイン思考』のアプローチを実践します」と菊池氏は説明する。
もう1つは、IT企業としての強みを生かし、アンケートをシステムとして構築していること。顧客の声に合わせ、Treasure Data CDPやSalesforceといったさまざまなシステムと連携することで「顧客の解像度」を向上させている。
「アンケートの履歴をすべてシステムに流し、お客様1人ひとりの声として蓄積していきます。システムを使って、さまざまなお客様のニーズに合わせて、パーソナルな声にきちんと耳を傾けられるようにしています」(菊池氏)
美しく柔軟なデザイン設計&リアルタイム集計の見やすいダッシュボード
続いて、新村氏が登壇し、デモを見せながらサービスの詳細を紹介した。CREATIVE SURVEYはアンケートの作成から顧客の声の収集と蓄積、分析までを一貫したインターフェースで実行できる。アンケートを作成する場合は、あらかじめ用意されたテンプレートを使って、いくつかの質問に答えるだけで簡単にフォームを完成させることができる。
例えば、アンケートで「◯人」「◯回」などと数字のクリックで選択させたり、表形式の入力回答欄で条件に合うものを選択させたりできる。自由記入欄などの作成も容易だ。
ロゴ挿入、背景画像、400種類のフォント選択、画像やYouTube動画の埋め込みなどデザインを柔軟に設定することができます。Webアンケートの中には紙のアンケートをそのまま帳票としてWebに再現したものもありますが、CREATIVE SURVEYでは、ブランドを壊さず美しく柔軟なデザインが可能です。スマートフォンやタブレットにも対応しています(新村氏)
アンケート結果はダッシュボードとして管理できる。例えば、集計結果がリアルタイムで自動的にアンケートの回答が集計され、グラフ表示などで分析がすぐにできる状態になる。データ分析ではセグメント設定などで各種分析軸を設定し、そのローデータをExcelフォーマットに出力したり、クロス集計データとして出力したりできる。アンケートタイプは約20種類。
見やすいダッシュボートとリアルタイム集計、セグメント分析、回答者ごとの結果閲覧、Rawデータ・クロス集計データ出力といった機能により、顧客の声を聞きやすくします。NPS(ネットプロモータースコア)にも対応しているので、顧客ロイヤルティ評価指標に沿った顧客満足度向上の取り組みを推進できます(新村氏)
外部システムと柔軟に連携、Treasure Data CDP向け専用設定画面も
ITシステム面での特徴としては、CRMやSFAなどの外部システムと柔軟に連携できることが大きな特徴だ。アンケートURLには任意のパラメータを付与することができ、アンケート画面には直接JavaScriptを埋め込み可能。また、外部サービスへの通知の仕組みであるWebhookを使って、回答データを指定サーバーにポストすることができる。
特にTreasure Data CDPとは専用の連携設定機能を搭載しており、設定画面でWriteKeyやHostを入力することで、td global idを取得するようになる。
お客様ごとにさまざま用途で使われています。例えば、メルマガでお客様アンケートを実施するという用途から、タブレットで対面接客のヒアリング情報をデータ化する、Webサイト来訪者にポップアップでアンケートを実施する、SNSやサイト上でクイズや人気投票などのキャンペーンを実施する、イベント来場者にQRコードでWebアンケートを実施するなど、単発的ではなく「継続的な施策」としてアンケートを活用することができます(新村氏)
顧客満足度だけでなく、従業員満足度の向上に役立てている例もある。例えば、自社スタッフにES調査やメンタルチェックを行ったり、健康状態診断や性格診断など簡易な診断ツールとして活用したりといったものだ。
インサイドセールスのヒアリング品質向上でも活躍
新村氏はユースケースの1つとして、Webサイト上でポップアップアンケートを実施する事例を紹介した。Webサイトポップアップアンケートは、Webサイト上にアンケート誘導バナーを表示し、Webサイトを離脱することなくその場でアンケートを実施するものだ。
サイト上で直接アンケートを実施するため、記事の70%まで読んだらバナーを出すであったり、商品詳細ページからTOPページに戻ったなど特定の遷移をした場合をトリガーにするなど、表示タイミングを調整できます。またアンケート回答データをTreasure Data CDPと連携し、分析に生かせます。(新村氏)
サイト来訪者に性別や年齢などの基本的な属性情報や好みのコンテンツのジャンルを回答してもらうようなアンケートを実施し、アンケートデータをTreasure Data CDPに格納することで、ユーザーデータをリッチ化するというメディアの活用事例も紹介。今後は、アンケート表示する対象者をTreasure Data CDPの情報をもとに出し分ける取り組みも進めていくという。
2つめのユースケースは、インサイドセールスのヒアリング品質を引き上げるアンケートだ。アンケートツールをインサイドセールスに用いると「稼働量」と「コールスキル」の課題に対処でき、結果としてインサイドセールスの成果を上げることが可能になるという。
具体的には、インサイドセールスが電話フォローしきれないリードへのコール代替としてアンケートを活用したり、アポイント取得後訪問の前のヒアリング漏れや追加確認点を取集するためにアンケートを活用したりする。また、打ち合わせ後の顧客フォローとして担当者評価や提案重視点の確認にも活用可能だ。
現在は、アンケートがどのような成果につながるのか効果の検証も進めている。例えば、低スコアで優先順位的に従来コール対象でなかったリードにアンケートを実施、回答情報をもとにコール対応することで月間アポイントを7件獲得(アポ数14%向上)したケースがある。また、営業訪問先の失注・商談クローズ先アンケートメールを送付することで、再リード化4件、さらに営業上の課題も発見でき、商談化率の向上に寄与したケースもある。
最後に新村氏は「インサイドセールスのヒアリング品質をWebアンケートで引き上げる取り組みは、さまざまな効果検証を行っています。アンケートを使った営業効率の向上に興味のある方はぜひご活用ください」と述べ、講演を締めくくった。