消費者に寄り添うことは「合理的」。これが新時代の常識です。|音部 大輔 × 堀内 健后
PLAZMA CROSSTALK|
株式会社クー・マーケティング・カンパニー
音部 大輔 OTOBE Daisuke
トレジャーデータ株式会社
堀内 健后 HORIUCHI Kengo
日本を代表するマーケターである音部大輔氏は、「消費者を中心に捉え、企業間で紹介し合うことが合理的である」と主張します。その意図はどこにあるのでしょうか? トレジャーデータ堀内健后との対談です。
トレジャーデータを支持する2つの理由
堀内: 私たちは2018年からデジタルイノベーションをテーマにした「PLAZMA」というイベントを各地で開催しています。本日は「PLAZMA」で毎回スペシャルワークショップを開講していただいている音部さんに、今年、そして2020年にデジタルマーケターはどのような取り組みをすべきか、お話を聞いてみたいと思っています。
音部: トレジャーデータとのお付き合いは、もう2年近くになりますよね。当時、私は「今後日本の企業だけではなく、世界中でトレジャーデータのサービスが重要なケイパビリティになる」と感じました。
堀内: なぜそのように感じていただけたのでしょうか?
音部: 2つの理由があります。まずひとつは、従来までの「広告の見方」や「広告とモノの関係」が変化しているからです。現在は入手可能な情報量が飛躍的に増大しましたよね。それはマーケティングに活用できるデータが増えているだけではなく、消費者にとって「読まなくてもいいし、読んでもいい情報」が増えたということでもあります。広告はその最たる例で、必ずしも見なければいけない、接触しなければならない情報ではありません。
堀内: 消費者は以前ほど広告を見ていないかもしれませんよね。
音部: そもそも以前の広告は「幕間の寸劇」だったのかもしれません。15秒、30秒でお金をかけて制作された動画は、CMしかありませんでした。ですから、消費者は「広告」を見ていたわけではないのです。
堀内: 単純にCMがおもしろかった、と。
音部: 効果測定の手法もありませんでしたし、おもしろく作って、注目され話題になればよかったんです。話題になれば営業さんは商談がしやすくなり、消費者も衝動買いをしていました。多くの場合、広告があったから売れたのか、売れていたから広告していたのかもよくわからない状態です。しかし、現在は様々な効果測定が可能となり、消費者も広告を見る必然性はなくなりました。YouTubeやInstagramの出現で、テレビCMや雑誌広告を見る必要がないんです。この環境下で、売上やブランディングに従来の広告が効果的ではなくなってきているわけですね。これがひとつ目の理由です。
堀内: もうひとつはどのような理由ですか?
音部: 「ブランドとユーザーの結び付き」が、これまでなんとなく考えていたよりも遥かに強力なのではないかと感じるからです。
消費者理解をきちんと習得したマーケターは、消費者の自宅を訪れると玄関に入った時点で、「この家庭ではどの洗剤を利用しているのか」を8割方当てられるんです。それはもちろん、対応してくれた方の衣類から洗剤の香りがしているからではありません。その家庭が大切にしている「生活信条」は、玄関や住人の佇まいに表れます。同時にその生活信条は、洗剤の選び方にも影響するわけです。だから、マーケターは、その家庭で使っている洗剤の種類が玄関でわかるんです。つまり、生活信条に基づいた立ち振る舞いの延長線上に部屋の様子、着ている服、モノの購買があると考えることができます。モノの購買などから生活信条やライフバリューを読み取ることができるのであれば、その「生活信条にフィットした別のカテゴリーの何か」が見えてきますよね。
堀内: データから紐解くことはできますね。
音部: 消費者は「自分の生活信条にあった何か」を知りたいと思うんです。自分が大好きなブランドと関連がある他のカテゴリのブランドを教えてもらえたらうれしいですよね。例えば「ある消費者の生活信条にフィットした商品をもつブランドA」が、「異なる商品カテゴリで同じ価値観を持っているブランドB」をその消費者に紹介すれば、消費者は低い情報検索コストで「自分の生活信条にあった商品」を知ることができます。もちろん、このときにブランドBは新たに売上が向上します。さらに、紹介するブランドAは、より全体性のある強固なブランド体験を消費者に提供することができます。世の中がいい方向に向かっているのだとすれば、関わるみんなが「WIN」を得られる関係が築けると思うんですよ。自分の生活信条に基づいた日常を体験したいと考えている消費者は、既に一定数いるでしょう。また、そこまで自分の信条が固まっていなくても、将来的にそう在りたいと思っている人がたくさんいても不思議ではありません。私はそれが来るべき未来のひとつだと考えています。そして、その未来を具現化できる会社はひとつしかないと感じました。それがトレジャーデータなのです。
「消費者体験のシェア」が新たな顧客を連れてくる
堀内: ありがとうございます。ただ、私たちは現在約350社のすべてのユーザーさんとニュートラルなお付き合いをしています。すべてのデータはそれぞれのユーザー領域に保っているんです。ですから、私たちはデータを全く見ておらず、分析もしていませんので、消費者インサイトをユーザー企業さんに提供することまではできていません。
音部: 「生活信条に基づく消費者の生活体験」のために、ブランドが協働する仲介を、トレジャーデータができると思っているんです。飲料メーカーが提供できる体験は限られています。同じ価値観を自動車メーカーとシェアする仲介をトレジャーデータが行うわけです。技術的には可能ですよね?
堀内: そうですね。競合には絶対にデータを渡さずに、私たちだけがすべてのデータを見て、相性のよいブランドに消費者を紹介することはできると思います。もちろん、これは技術的にできるという話で、将来的に実現するとすればすべてのユーザーさんからの同意を得る必要があります。 以前、「トレジャーデータに蓄積されたデータを統計情報として、全ユーザーに配ればいいのでは?」と提案されたことはありました。でも、そうではなくて、私たちがすべてのデータを分析して、マッチングを提供すればいいということですよね?
音部: その通りです。ただ、全ユーザーから同意を取るのは非常にハードルが高いと思います。ですから、一部ユーザーのデータをトレジャーデータが分析するだけでも非常に画期的だと思いますよ。蓄積している350社分すべてのデータではなくとも、いくつかのブランドのデータを分析してみれば、生活信条にはどのくらいの影響があり、どのくらいの生活信条のカテゴリーがあるのかサンプルが取れますよね。私は浮かび上がってくる生活信条は50もいかないのではないかと予想しています。もちろん、すべての消費者が生活信条に基づいて購買をしているわけではありませんが、分析したブランドをどのような生活信条の人たちが購買していたのかは見えるはずです。
堀内: 例えば私たちのお客様に自動車メーカーのSUBARUさんがいます。SUBARUさんが販売されている自動車には「IMPREZA」「FORESTER」「LEGACY」など様々な種類があります。彼らが収集しているデータを見ているわけではありませんのであくまで想像でしかありませんが、それぞれの車種を購買した消費者の行動を分析してみると、行動が全く異なっている可能性は十分にありますよね。そのように作ったセグメントごとに生活信条を読み取って、それぞれにマッチしたブランドを紹介していくわけですね。さらに、ひとつのセグメントにどのブランドがマッチするのかをA/Bテストで回していけたら、「このセグメントにはA社、あのセグメントにはB社と相性がいいですよ」というように、特定の企業とだけではないパートナーシップができますよね。これまでは「A社と組んでいるから、B社とはできない」という状況がどのブランドでもありえたと思います。でも、この方法ならば「生活者のメリットのために、A社ともB社ともC社とも一緒にやりましょう」というロジックが成り立ちますよね。
音部: 数社、数十社分のデータからそのサンプルを導き出せれば、汎用的なメソッドができあがるでしょう。これはトレジャーデータ独自の強力なメソッドになりますよ。
「10万円の高級クリーム」は「2泊3日の海外旅行」と競合する
堀内: 私たちが抱えている大きな悩みを解決できるかもしれません。
音部: どんな悩みをお持ちなのですか?
堀内: パリで「VIVA TECHNOLOGY」というテクノロジーとオープンイノベーションをテーマにしたイベントが毎年開催されているんですね。フランス大手企業が1業種につき1社スポンサーになって、自分たちの抱えている課題をオープンにして、その課題を解決するためにスタートアップを募るんですよ。私たちは「VIVA TECHNOLOGY」と同じようなイベントを日本でも開催したいと思っているんです。でも、日本では同じクラスの競合がマーケットにいるので、大手企業が課題をオープンにしたがらないんです。また、あるお客様と私たちが取り組みを始めれば、同じ業種の他のお客様を排除せざるを得なくなってしまうという問題も起こるかもしれません。なぜフランスでは上手くいっているのか経産省の方にお話を聞いてみたことがあります。そもそもフランスでは日本の一部上場企業規模の会社は40社ほどしかなく、1業種につき大手企業は1社しかいないのだそうです。ですから、どのように打開すればいいのかをずっと悩んでいたんです。
音部: 消費者マーケティングの視点からすると、製品カテゴリー競合のみに執着する点に強烈に違和感を覚えるんですよ。例えば「10万円の高級美容クリーム」は、「9万円の美容クリーム」や「11万円の美容クリーム」と競合しているように見えますよね。でも、本質的には「2泊3日の海外旅行」や「家族全員で食べる贅沢な食事」とも競合しているといえるわけですよ。同じ製品カテゴリーだけを見て「競合は排除したい」という考えは、消費者の論理ではありませんよね。消費者の視点でいえば、「10万円の高級美容クリーム」を売りたいブランドは、他の美容クリームメーカーだけではなく、旅行業界や飲食業界まで排除しなければならなくなってしまうわけですよ。
堀内: なるほど。例えば、オンライン会議システムを提供する企業が、自動車メーカーの競合になりえるわけですね。今の音部さんのお話を聞いて、「消費者・生活者の視点に立って、彼らがハッピーになるかどうか」という論理が大前提であるべきなのだと改めて感じました。私たちが日本で開催したいイベントも、この観点から突破できそうな気がします。
音部: 原理原則はすべて消費者に集約させるべきだと私は思いますよ。
「ミリタリー好き」が購買するエンピツがある?
音部: ところで、私は昨日ECである釣具を購入しました。この釣具と同じ機能を持つ製品は他にもあります。でも、この釣具のマテリアル感や造形は他の製品とは異なり、「ミリタリーっぽさ」を発しています。購買した人の多くは「ミリタリーの影響が強い人」でしょう。同じ機能でも「キラキラした風情の製品」は買わないと思いますね。私は軍人になりたいわけではないので、生活信条とまではいきませんが、ミリタリーなデザインは趣味・好みに合っています。しかし、今後はこういった消費者の好みは、特定の製品群や製品カテゴリーだけを見ていると掴みにくくなると私は考えているんです。
堀内: どういうことでしょうか?
音部: この釣具を作っているメーカーは、ミリタリーテイストの製品ばかり作っているので「自分たちの顧客はミリタリーが好き」だということがわかっています。でも、洗剤メーカーや自動車メーカー、筆記用具メーカーは自分たちの顧客がミリタリー好きかどうかはわかりませんよね。それはもちろん顧客に「あなたはミリタリーが好きですか?」と聞く場面がないからです。しかし、実は「ミリタリー好き」であることが自社製品の購買に影響を持っているかもしれないのです。洗剤メーカーと「ミリタリー好き」は関連がないかもしれません。でも、ある自動車の購買にミリタリー好きかどうかが影響を与えることは考えられますし、意外にも筆記用具の購買にも影響があるかもしれないわけです。
堀内: 確かにそうですね。ブランドとしては「ミリタリー好き」というタグを持っている消費者に売りたいと考えるわけですが、そもそもブランドが「ミリタリー好き」が共通因子であると想像もできないケースがありますよね。それはデータから「発見」するしかないわけですね。
音部: そうなんです。なぜブランドが想像しえないかといえば、自分の担当分野の消費者しか見ていないからです。でも、世の中には同じ消費者を異なる角度から見ているマーケターがたくさんいるわけですよ。
堀内: 従来から「ペルソナを設定するときは、消費者の好みをディテールまで考えよう」とは提唱されていましたよね。でも、実際にはそれほど細かく把握することはできていませんでした。
音部: それも自分の担当分野からしか消費者を見ていないためなんです。
堀内: データからそこを補完できれば、解像度があがりますね。
音部: これまではブランドも製品性能的なとても狭い接点だけが重要だったと思うんです。しかし、最近では単に「モノを売る企業」と「モノを買う消費者」の関係から脱却し、CSR活動が活発だったり、コンプライアンスを徹底したりと全企業的な接点が重要になっているように感じますね。
堀内: そういったニーズがあるからこそ、企業はメディアのデータや購買履歴を買って、より自社の持つ顧客を知ろうとしていますよね。でも、音部さんが提案してくださったように私たちがお手伝いすることで、さらに顧客を知ることができるようになりそうです。
音部: 自社が持っているデータを提供する、すなわち自社の顧客を紹介するブランドにもメリットはあるんですよ。朝の体験しか提供できないブランドが、同じ価値観を持つ夕方の体験を提供するブランドとアライアンスを組めば、より長い時間同じ生活信条やライフバリューに基づいた体験を提供できることになるわけです。
堀内: 現在はブランド側が生活者に当てようとしているコンテンツが莫大に増えましたよね。その多くは自分には不要なものですから、生活者は選ばれた的確なレコメンドを当てて欲しいのだと思うんです。
音部: どうでもいい動画をぶつけられても絶対に購買しませんよね。でも、自分が大好きなブランドが新しい領域で別のブランドを紹介していれば、消費者は耳を傾けますよ。
堀内: それって、企業が企業の「口コミ」をしているのに近いですよね。
音部: そうですね。口コミに近いです。ある企業Aが、企業Bに口コミをお願いしたときに金銭が発生することはあると思います。別にそれ自体は否定しません。ただ、企業Bはいくらお金を積まれても、企業Aと価値観がマッチして信用することができなければ依頼は受けないでしょうね。現在は企業間で顧客を紹介する習慣はないので、疑問を感じる方もいるかもしれません。でも、実はとてもお互いに合理的な方法だと私は考えています。そこをテクノロジーが仲介すれば、広く浸透する合理性は消費者の側にも企業の側にもあります。ネットワーク効果がある話ですから、「顧客を紹介する手間」を「顧客を紹介してもらうゲイン」が上回ることはすぐに理解されるようになるでしょう。
「車の窓だけ洗う人」と「ホイールまで磨く人」
堀内: 私たちは昨年Armと手を組みました。今後はデバイスからのデータが莫大に増えることになると思います。今までのお話と同じように、デバイスのデータからもより生活者を理解できるようになりますよね。例えば、自動車はこれまで購買された後、どのように使われているのかまではわかりませんでした。でも、センサーからのデータで釣りに行くために乗車したのか、雪山に行くために乗車したのかがわかるはずです。
音部: そうですね。何を目的に自動車を利用しているのかだけではなく、メンテナンスの具合などもわかるようになるでしょうね。例えば、洗車の頻度や内容には消費者の生活信条がとてもよく表れると思いますよ。「窓だけ磨く人」「ボディも水洗いする人」「ホイールにまでブラッシングする人」では、全く生活信条が異なるでしょうね。「窓だけ磨く人」や「ホイールにブラシを掛ける人」は、購買したいものがわかりやすく確立できているような気がします。ここで大切なことは、なぜその商品が欲しいのかを消費者本人も把握していない可能性があるということです。消費者にリサーチしてもすべての質問に答えられるわけではありませんよね。そういった無意識な購買に共通する因子もデバイスのデータから見えるようになると私は考えています。
堀内: リサーチといえば、質問の回答を見るだけではなく、少し離れたところから協力者を観察するエスノグラフィーという手法がありますよね。このエスノグラフィーもセンサーデータで代用できそうな気がしますね。
音部: できますね。しかも、すべての時間で全追跡できるでしょう。
堀内: 音部さんはいつも「マーケティングとは市場を創造することだ」とおっしゃっていますよね。センサーからのデータにより、既存の家電が新しい市場を創造することがあるのではないかと私は考えています。昨年5月、テスラの「Model 3」にブレーキの不具合が発見されました。すると、イーロン・マスクは「数日以内にファームウェアのアップデートで対応する」とツイートしたんです。不具合があったことはもちろんいいことではありません。でも、私は販売された後の自動車のブレーキ性能がすぐに改良されたことに感動を覚えました。販売後にアップデートが行われるのは、PC、スマホについでの出来事だったでしょう。そして、家電がこの領域についに踏み込み始めましたよね。これまでの家電は、販売された後にアップデートされることはありませんでしたし、どのように利用されているのかを知る方法はありませんでした。ここからは私の想像なのですが、季節家電である扇風機は夏場にしか販売しませんよね。でも、冬場に暖房と併用して扇風機を使う人もいると思うんですよ。
音部: 空気を循環させるわけですね。
堀内: そうです。一定の生活者がそのような使い方をしていたら、実は「冬場にこそ扇風機を販売すべきだ」という戦略もできるのではないかと思っているんです。ですから、ある市場を創る際に、このようなセンサーのデータが非常に重要になっていくのがこれからの時代ではないでしょうか。ただ、家電メーカーは気がついているけどやっていないのか、データを収集しても分析する人がいないのか、プロダクトに反映させるプロセスがないのかはわかりません。でも、技術的には実現可能なはずですよね。
IoT時代にマーケターが持つべき大切な視点とは?
音部: 先ほどの製品カテゴリーや競合排除の話にも通じるかもしれませんが、なぜそうなるかといえば、消費者よりも製品を見ているからです。それがダメだと言っているわけではなくて、元がそういった出自であるから製品中心なのだと思います。もちろん、時代の変化とともに消費者中心であるべきだと考え始めているメーカーも多いはずです。ただ、とっさのタイミングで出るほどは消費者中心主義が浸透していないのでしょう。ですから、センサーの出現によってまず製品を見てしまっているんです。「製品がどう変えられるか」「製品の何がわかるのか」という視点ですね。これが誤りと言っているわけではないのですが、「消費者の何がわかるのか」「消費者の何を数値化したいのか」という視点を持てるマーケターが、まだ多くはいないわけですね。
堀内: ハードを作るブランドは、ソフトに比べたらトライすることがなかなか難しかったわけですよね。ただ、既に一部は迅速なトライアルが求められる領域に足を踏み入れています。それゆえに、「デジタルトランスフォーメーション」「サブスク」など、どの切り口で何が消費者に刺さるのかを多くのマーケターが悩んでいるのですかね?
音部: やっぱり、徹底的に消費者に依るべきだと私は思いますよ。サブスクリプションだから流行っているわけではなくて、「サブスクでいいや」と思う消費者がたくさんいるという話なんです。そもそも、トレジャーデータがArmと一緒になったのも、そこに狙いがあるからだと捉えたのですが、いかがですか?
堀内: まさにその通りなんです。Armによる買収に関してはその金額ばかりが注目されたのですが、もちろん金額が大きいから一緒になったわけではありません。ArmのようなIoTデバイスに強いケイパビリティを持つ企業と一緒になることによって、生活者を知るためのデータがさらに蓄積されることになります。つまり、人を知るためのケイパビリティが劇的に改善されるんです。生活者を数値化して、その人を把握することこそが私たちの事業だと考えています。だからこそArmと一緒になったのです。現在は蓄積されたデータを分析しているわけではありません。それでも、近い将来、特定の企業だけではなく、多くの企業、そしてなにより生活者に「WIN」を提供できるように事業を拡大していきたいと思います。