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心理的に安全な新しい働き方を支えるプラットフォーム(ゲスト: 加藤健太さん第2回)

PLAZMA TALK #12|株式会社エンファクトリー CEO 加藤 健太氏

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トレジャーデータのエバンジェリスト若原強が各界注目のゲストを招いて対談するシリーズ「PLAZMA TALK」。

今回のゲストは、前回に引き続き、働き方改革が話題になる遥か前から「専業禁止!!」というポリシーを掲げ、社員と会社の本質的な関係性を探究し続ける株式会社エンファクトリー のCEO 加藤健太さんです。

本対談は3回に分けて配信いたします。
今回のテーマは、働き方 × テクノロジーです。

複業解禁に不安を感じていた経営者に聞けば、複業している人ほど会社を辞めないことが明らかになったと加藤さん。複業やパラレルワークなど新しい働き方をする人や企業を支援するサービス「副業特区」について教えていただきました。

新しい働き方を支えるテクノロジーの可能性を、働き方研究家時代の若原のエピソードも交えながら考えていきます。

第1回目のトークはこちらから

Topics

複業ではなく「越境」/越境活動をサポートするプラットフォーム/チームランサー/会社とフリーランスのいいとこ取り/ミッションベースの協業/メンバーの人となり/オープンにすることがルール/根拠のない不安を抱える経営者たち/「辞める人は複業に関係なく辞めるでしょ」/副特会議/シニア世代の複業観

Kenta Kato: CEO, en Factory Inc
Tsuyoshi Wakahara: Evangelist, Treasure Data
Recording: 2020/04/30

※収録はオンラインにて行っています。一部背景に環境音が入っている箇所あります。ご了承ください。

 

複業ではなく「越境」/ 越境活動をサポートするプラットフォーム

若原 ここからは、複業を支援するサービスを提供され始めているということで、そのお話を伺っていきたいと思います。

加藤 去年の暮れぐらいに、β版じゃないですけどローンチをしたんです。「副業特区」(参考)シリーズという流れで。

若原 あの経済特区の特区ですよね。

加藤 はい。いろんな会社にテスト的に使ってもらって、やっと形ができたので、実際に利用料をいただいて、使ってもらい始めたところです。

若原 「副業特区」というのは、オンラインでのサービスでしょうか?

加藤 「副業特区」の「副業」は、数年前から政府も言い出していたので、あえて「副業」と言っているんです。僕らがイメージしているのは、どちらかというと、越境活動です。ちょっと大げさかもしれないですが、「会社外」じゃなくてもいいわけです。

例えば、従業員数1万人の大きな会社の場合、誰がどこで何をやっているか、全くわからないことも多いと思うんです。同じ会社なのに組織の風土が違うこともある。社内、社外問わずに、違う空気や違う場・アウェーの場で、自分を適合させていったり、自分のスキルが発揮できるようにその場でアレンジしていくということをやっていくことが、これから先必要だなと。色んな意味で生きる力を身につけていく「越境活動」全てに対して、様々なかたちでサポートできるようなプラットフォームを提供しています。

チームランサー / 会社とフリーランスのいいとこ取り

加藤 具体的には「Teamlancer(チームランサー)」というサービスをちょうど2年半ぐらい前にひっそり立ち上げていたんです。Teamlancer(チームランサー)は造語なんです。会社勤めの人とフリーランサーがいるわけですが、どちらにもいい部分がある一方で、どちらにもいまいちな部分もある。

若原 どちらも100%いいわけではないと。

加藤 例えば会社には「資本力」「信用力」や「安心感」がある。ですが、ある程度、型に決められたようなレールがあったり、よっぽど強い意志を持っていないと、いつの間にかスポイルされていったりというケースもあるわけです。自分の好きじゃない仕事もやらなくてはならない。

フリーランスの場合、そういう点では自由です。自分の中で自由にできるんですけど、何かあったときは大変だし、一番のところは、人とコラボレーションするといった、学びの機会が少ないというのがあると思います。自分のスキルをベースに仕事をするので、発注と受注の関係から飛び出せるような、スキルを持った人、営業力がある人はいいですが、中途半端なフリーランスだと、同じことをずっとやらざるを得ない。そういう意味で、その間がいいよねと。

ミッションベースの協業

加藤 Teamlancer(チームランサー)が生まれた経緯をお話すると、会社や個人という垣根を越えて、なんらかの目的やプロジェクトのミッションを遂行していくには、「最適な集まり」でやったほうがいいのでは、ということで、チームを組んだりできるプラットフォームを作っていたんです。それがもうすぐ4,000人ぐらいの登録者になります。

自分たちでチームを作って、「こういうプロジェクトを一緒にやりませんか?」とか、「ある期間、こういうプロジェクトが走ります、こういう人たち募集しています」というのをやりやすいプラットフォームを作っていたというのが経緯です。

メンバーの人となり

若原 そのTeamlancer(チームランサー)というのは、所属問わず、目的を一緒にしたチームを作るためのメンバー集めの他にも、いわゆる「マッチング」もあるんですか?

加藤 はい。僕らの会社もTeamlancer(チームランサー)内でメンバー募集をしていたり、ほかの会社も使っています。無料で使えるプラットフォームなので、誰でも使えます。

ただ、どちらかというと、ある種タスクベースで、「こういう仕事があるのでフリーランスの人たち是非」というマッチングというよりは、プロジェクトのミッションがある中で、「こういうスキルを持った人、かつこのテーマに対してすごく興味を持ってもらえるような人で集まって一緒にやりませんか?」という感じで募集しています。

そうすると、自分がやれる範囲・関われる範囲が、タスクベースではないので、スキル的な幅の広さが求められる。鍛えられるし、スキルを持っていないと出来ないわけです。「半分勉強で入らせてください」みたいな人もいます。

若原 どちらがいいか悪いかの話ではないとは思うのですが、フリーランスの方々にとって、仕事を得る、チームを組む選択肢の幅がそれで格段に広がるという位置づけにもなりますか?

加藤 そうですね。複数のチームに所属する人、パラレルワーカーは今だと半分以上ぐらいいますね。そのプラットフォームを表側にして、裏側では、会社の複業のための管理ができるツールを開発しました。あとはTeamlancer(チームランサー)自体を社内で閉じたかたちでも使えるようにしました。Teamlancer(チームランサー)のエンタープライズ版という位置づけです。

若原 確かに、それはうれしいですよね。社外のメンバーと自社の社員が混合でチームを組むような状態に、一足飛びに行ける会社は全然いいと思うんですが、なかなかそこまで大きな変化は・・・というときに、まずは社内に閉じた形で試してもらうという。

加藤 はい。社外にも広げる形、社内に閉じる形、どちらでも使えます。僕らはもちろん、当たり前にそれを使っていますが、社内にもいろんなチームがあるんですよね。例えば、クラブ活動もTeamlancer(チームランサー)内で立ち上げて、募集したりします。

そのチームであったり、プロジェクト、個人も活動報告が書けるんです。そういう蓄積があると、「この人どういう人?」「この人こういう活動やっているんだな」を周りが知ることができる。これを「社内」と「社外」両方できるんです。

若原 御社でやられている半年に1回の社内共有会のようなものが、そのプラットフォーム上で簡単にできる、というようなイメージですね。

加藤 そうです。うちの会社の場合はリアルでやっていたんですけどね。

オープンにすることがルール

加藤 少し話が変わりますが、複業をするにあたり、ルールが1つだけあります。オープンにするということです。半年に1回必ずオープンにしてもらうのもそうですが、今は日常的に、このTeamlancer(チームランサー)のエンタープライズ版上で、「今月複業でこんなことをやってどうだった」かを、共有してもらうこともやっています。

若原 実際、利用している会社からはどんな声がありますか?

加藤 まだまだこれからですが、社内のニーズが結構あることがわかってきました。例えばある会社は複業禁止なんですが、Teamlancer(チームランサー)のエンタープライズ版上で、チームを作って活動したこと、色々な外部の研修、越境学習してきたことを、いろいろ共有し始めてますね。

反応は、みんなポジティブです。その会社では今まであまりそういった情報流通がなかったこともあり、周りの人たちも興味を持つようになってきていますね。

根拠のない不安を抱える経営者たち

若原 複業、パラレルワークっていう働き方に対して、言い方は難しいんですけど、根拠のない不安を抱えられている経営者の方がすごく多かったと前職の経験からすごく思うんです。何故嫌なんですか?と聞いたら、「なんとなく」「やったことないから」「何が起こるかわからないから」という不安の抱え方をされている方が少なくなかったかなと思っていて。それは、知らない世界に対して抱く不安としては当然のことだとは思うんですけど、そこを上手く乗り越えて、御社の社内で生まれているようないい効果を実感できる、というサイクルはすごくいいですね。

加藤 そうですね。本当に不安に思う方が、多いですよね。

「辞める人は複業に関係なく辞める」

加藤 昔も今も、そこはそんなに変わらないです。「会社の仕事、ちゃんとやるのかな?」とか「辞めていっちゃうんじゃないか?」とか。「辞める人は複業解禁に関係なく辞めるでしょう?理由は、別のところのところにありますよ」という話です。

若原 複業したいと言っている時点で、辞めたくないから言っているんですよね。

加藤 そうなんです。複業解禁した会社では、明確に効果が見えるようで、どこの会社も言うんですが、複業やっている人ほど会社を辞めないんです。262の上の2のタイプの人たちが、最初にやり始めたるので、会社で解禁される前から実はやっていたという人が申請していたりするケースもあるんです。だから、意外と堂々とできるから辞めない と。

若原 複業も、いい意味でのいいとこ取りの働き方でもあると思うんです。それを会社公認で、心理的に安全な状態で堂々とできるという状況は、むしろエンゲージメントを高めるのかもしれないですね。

加藤 そう思いますね。

副特会議

若原 そういったメリットを、変な不安感を乗り越えて感じてもらえるような世界がより広がっていけばいいなと思いますね。そういう意味だと、「副業特区」でイベントもやられてますよね?

加藤 そうですね。副特会議(副業特区会議)といって、越境学習や複業に関して、世の中で法律面でリスクといわれているところを、森・濱田松本法律事務所の荒井先生に解説をしてもらいました。あとは、複業を会社と個人双方にとってプラスにするためには、といったテーマで、法政大学の石山先生にお話をしてもらったり。3回目はシニア層をテーマに実施しましたね。

シニア世代の複業観

加藤 複業解禁って、年代によって受け取られ方が実は全然違うんです。例えば、シニア世代だったら、それは都合のいい肩叩き?みたいな話に受け止める方もいらっしゃるんです。

よく「人生100年時代」とも言われますが、定年も70歳になるかもしれない。だから、僕が思うのはシニアの方こそチャレンジしたほうがいい と思うんです。ということもあり、シニア世代に向けた複業をテーマに第3回を開催しました。

若原 気軽に参加できるイベントに参加して、お話を伺ったり、参加者同士で話をすることで、本来であれば感じることのないハードルを払拭する動きに、より繋がるといいですね。

加藤 そうですね。イベントはどちらかというと、企業の管理職、人事や役員の方がメインの来場者なんです。副業特区会議で話を聞いて、横の人たちと話して と、非常に盛り上がりましたね。

若原 今後は副業特区会議はオンラインでやっていくことになるんですか?

加藤 暫くはオンラインで開催します。その後は、月1回ぐらいで開催していければいいなというふうに今話しているところです。

若原 このトークをお聞きになられている方々で、ご興味お持ちの方いればぜひ参加していただければなと思います。

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最後までお読みいただきありがとうございます。
第2回は以上です。いかがでしたか?
加藤さんのトークの続きは、最終回複業が当たり前の未来で、私たちはどんな働き方をしているのか?に続きます。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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