Treasure Dataでエバンジェリストを務める若原強が各界注目のゲストを招いて対談するシリーズ。
後編も引き続き、テクノロジーとビジネス、クリエイティブをかけ合わせる「ポリネーター®︎」西村真里子さん(HEART CATCH)をゲストに迎えトークを行っていきます。Treasure Dataの若原強との接点のひとつであるSXSWは今年無念のキャンセル。激動の現代に生まれる(かもしれない)新しい価値のヒントとは?後半も明るく楽しい西村さんの元気と一緒にお届けします。前半はこちら。
Topics
SWSXはキャンセル、PLAZMAはオンラインへ/イベントはオフラインとオンラインで役割が再分担される/オフラインのワークショップをどうオンライン化するか、その可能性/ミネルヴァ大学/「Digital Believer」/デジタルは新しい冒険のフィールド/デジタル自分史と挑戦と失敗と学びと/新しいコミュニケーションと新しい出会い/気配を提供できるようなSNS/テレコミュニケーションとテレプレゼンス/Treasure Dataのエバンジェリストとして
PLAZMA Cross Talk 02 – 2/2
Mariko Nishimura: HEART CATCH
Tsuyoshi Wakahara: Evangelist, Treasure Data
Recording: 2020/03/10
SWSXはキャンセル、PLAZMAはオンラインへ
西村 もう一つ、あり方どうなるのかなというところで、私と強さんの接点はSXSWみたいなテクノロジー×カルチャーイベント、強さんも3年連続行ってたよね。
若原 3年行きましたね、はい。
西村 私も何年か行っている中で、2020年、今の段階だとキャンセルになっちゃったじゃないですか。本当は今週末、3月13日から始まる予定だったんだけど。で、もしかしたらこのPLAZMAも、もともとオフラインでやっていたのがオンラインもあるというところも、また一つの機会かもしれないけど、今まではコミュニケーションをとるとか、コミュニティイベントっていうと、オフラインであってなんぼのものでしょ、っていうのがあったじゃないですか。でもそれも、オフラインだけではこういうリスクがある、いきなりウイルスとかがあるとダメになるんだ、ってみんなが知ったときに、どうしたらあのオフラインでの熱狂をオンラインでも再現できるのか、っていうことは今結構議論がどんどん出始めていて、そこもすごく面白い。
イベントはオフラインとオンラインで役割が再分担される
若原 面白いですね。確かに単純にオフラインで起こっていたことをオンライン化すればいいって話じゃ全然ないじゃないですか。オフラインはオフラインで目的をもって残っていく気はしていて、役割が再分担されるっていう感じだと思うんですよ。さらにそのオンラインの役割ってこういう役割で、オフラインの役割ってこういう役割、っていう話にバランスが取られていくというか、今ちょうど過渡期なのかなと思っていますし、逆に言うと、そんなことオンラインでできないよねと思われている、例えばワークショップとか。
西村 まさにそれ、今話そうと思っていた。
若原 そういう話も実はこうやったらできるよ、みたいな世界が恐らくあったりするじゃないですか。そういうのいろいろ試す時期なんだろうな、っていうのは思いますね。
オフラインのワークショップをどうオンライン化するか、その可能性
西村 この動画が上がっているときに出てくるかもしれないけど、まさに今日、富士通総研の佐々木さんって、よくSXSWに行ってらっしゃる彼のFacebook上でのチャットであって、まさに今、強さんがおっしゃっていた、これからデジタル化していく中で必要なことということの一つに、オフラインで行われているようなワークショップとかアイデアソンとかハッカソン、どうやってデジタル化していくかみたいなことを彼がテーマ投げしていて、私もそこへコメント書かせてもらったんだけど、やっぱりすごいチャンスだなと思っていて。今までアイデアソンとかハッカソンって、絶対にオフラインじゃなきゃできないと思って、そういうやり方しかしていなかったんだけど、オンラインでも可能性があるなと思って。で、今ちょっとずつそういうことをやり始めていて、オンラインで普通のミーティングだけじゃなくて、これワークショップです、みたいな佇まいでやるみたいなことをいくつかやり始めているんだけども、まだベストプラクティスが見えていない中で、ただそれは今日本にいるこういう中で始まっているけども、サウスバイみたいなところでも考え始めている人がいたりとか、もちろんトレジャーデータの中でもやっていくみたいなこともあると、案外2020年の後半には今まで実現不可能だと思っていたアイデアソンとかハッカソンが、オフラインじゃなくてオンラインできて、しかもオンラインだと、今まで日本語で話せる仲間だけだったところが全然違う国の言葉の人も入ってきたりとか、そしたらよりアイデアのジャンプができたりとか、そういう世界を目指しながらオンラインでの新しいクリエイションとかコミュニティ活動は作っていきたいと思っていて、やろうやろう、みたいな。
若原 それは面白そうですね。
西村 そうそう。だから、そういうのがちょうど今、この収録しているタイミングで出始めているから、なるべくこれがオンラインに乗って、みんなが見始めているときとかにいつかには解決策出ているといいなと思っていて。
ミネルヴァ大学
若原 あとそういう意味で言うと、これも真里子さんにご紹介いただいたつながりですけど、ミネルヴァ大学。あれもオンラインを上手く使っているなと思うんですよね。授業がオンラインで基本やられるので、先生からのビューで言うと、画面に全員生徒が出てきて、誰が一番発言していて、発言していない人は誰で、みたいなのが視覚化されて、学びを均等化できるみたいな。あれも面白いと思いますし、あとオンラインにすることで、生徒がどこにいてもいいっていう。
西村 キャンパスが要らなくなる、っていうね。
若原 そう。学ぶ場所から解放されて。で、授業ってオンラインでしかやってないのかなと思って。それこそ真里子さんにご紹介いただいて、アジアパシフィックのディレクターの方にインタビューする機会があったんですけど、そのときに、午前中は基本的にオンライン授業で、午後は、いる場所ならではで学べるフィールドワークをさせるんだ、みたいな。で、その場所が半年ごとに変えられるっていう。
西村 インドとかアフリカとかね。大陸ごとにみんな移動して、すごいよね。
若原 あれもある種オンライン化することの副次的な効果というか。あれはすごく面白い仕組みですよね。
西村 だから今ハーバードとか、スタンフォードよりも皆さんが行きたいって倍率も高くて。でも正しいなと思うのは、結局大学っていうものは学び舎でありながら、学者になる人はまた別かもしれないけど、社会に出ていくというときに、もともとフィールドワークじゃなきゃいけないときに、今ってインターン制度みたいなところしかないと。で、インターンって結局ある企業に行くしかないじゃないですか。でもミネルヴァ大学みたいに、アフリカであまりネットワークインフラがないところで生活している人たちを見てみるとか、日本に来てみてるとか、実際に今地球で起きていることをリアルに体験すると、企業のインターンと全然別軸で、地球規模で必要なことが見えて。
若原 本当ですよね。
西村 だから地球に対して必要な新しいビジネスを起こすとか、問題を、課題を見ることができるっていう視点ができていて、地球に生まれた人間として素晴らしく羨ましい環境だなと思っていて。でもそれもデジタルがあるからこそできるような仕組みで、いいよね。ああ、いいな、と思っていて。
若原 いや本当に。彼らが社会に出ていくときの就職観と言いますか、多分僕らと全然違うんだろうなと思って。
西村 全然違う。企業のシートを選んで、とかじゃなくて。
若原 地球上のどこの課題を解決したいのか、みたいな、そういう基準で選ぶんですよね、進路を。全然違う世界ですよね。
西村 いいよね。だから、御社に行きたい、とかじゃなくて、私は地球のこの課題を解決するためにこういう起業をするとか、ここと組むとか、規模が全然違うなと。やばい、入りたい。
若原 本当ですね。
西村 入りたいというか、そういう視点で学び続けるのも素敵だなと思って。
「Digital Believer」
若原 デジタルビリーヴァー。
西村 そうね。強さんもそうだと思うけど、デジタルを信じているというか、デジタルの力とか、もっともっと浸透していくといいなと思っていて。で、さっき打ち合わせのときに、それってデジタルビリーヴァーって言い方してもいいのかな、っていう話をしていたんだけど、結構トレジャーデータにいるということ自体がまさにデジタルビリーヴァーかもしれないけど、私も結構デジタルビリーヴァー派かなとは思う。
若原 さっきも、個人情報、今いろいろな見方されている一つの特色ですけど、私は個人情報を全然提供しても大丈夫、みたいなことおっしゃられてましたもんね。
西村 そう。
デジタルは新しい冒険のフィールド
西村 もちろん出すリスクはあるかもしれないけど、本当に出したくないものは自分が出さなければいいと思っていて。ただ、ある程度自分は出していいなとか、別に性別とか年齢とか、そういうものとかって出していくことによって、最初に出す先がそれをどういうかたちで使うかって見えている中で、というのはもちろん前提かもしれないけど、ある程度自分のリスクを背負っているかもしれないけど、信用できるところにデータを出すところによって、新しいサービスなのか、自分が知らなかった新しい価値とか、私が1人で生きていると見えていないような新しい渦というものに巻き込んでくれるんじゃないかなと思っていて。かっこいい言い方すると、セレンディピティかもしれないし、もちろんそれがメリットなって、便利なベネフィットかもしれないけど、これだけ今デジタルのサービスが出てきている中で、闇雲に、じゃないかもしれないけど、ある程度信用できるところには出すことによって、また大きなメリットが得られるんじゃないかな、と思っているのね。で、それが医療情報で、自分がどこにいても医療を受けられる、って言うけど、大きなサービスになる前でもいくつかメリットを感じるとか、今までないものに出会えるような機会って増えてきていると思うので、そういうことを考えると、いったんはデジタルというところに自分の情報を乗せるというのは、私はそういうのが冒険者として好きだから。
若原 好奇心が旺盛というか。
西村 そうそう。そういうことを言って痛い目に遭うみたいなことが、無きにしもあらずだからリスクはあるのかもしれないけど、ただリスクを取ってでもやったほうが、これからのワクワクについていけるのかなと思っていて。
若原 僕もそこは同感ですね。いい意味での自己責任でチャレンジして。で、見えない世界とか、経験したことがないまま死んじゃうのは嫌なんですよ、基本的に。
西村 いいね、冒険者だね。
若原 だから、あくまで自己責任の範囲ですけど、自分でリスク取れると思う範囲であれば、新しい世界を経験したいであるとか、やったことないことをやりたいなとか、そういう気持ちは僕もすごく共感できるし。だから逆に、データを使う側の人たちからしてみると、そういう思いを持っている人たちに明確に価値を返してあげるというような姿勢がより今後必要になっていくのかなというのは、データを取られるだけ取られたけどどう使われているかわからない、みたいなことだと、さすがに僕らも出したくなくなるじゃないですか。だからそういう個人情報を介するときのギブアンドテイクがちゃんと成り立つというのが広まっていく世界になるといいな、っていうのは思いますよね。
西村 今の強さんを聞いてて、もともとデジタルビリーヴァーで、そういうスタンスできているんだけど、冒険者って強さんのことを言ったら、あ、と思ったのが、昔だったら大航海とか、いろいろ冒険する先がフィジカルだったけど、今はそこは、もちろんもっと深ぼっていけばまだ見ぬ昆虫とか、まだ見ぬなにかに出会えるのかもしれないけど、ある程度地球が見えたり、NASAとかも宇宙飛行士とか募集しているのこの前あって、おお、と思ったけど、でも宇宙飛行士になるのもなかなかな、っていうときに、デジタルって、1回自分のスタンスを変えればいろいろ冒険させてくれるような、新しい冒険のフィールドなんだよね、結局。
若原 確かに。極論すると、誰かが1人行けばその経験はシェアできるので、誰か1人行ったことがあるところであれば、基本みんな行ったことがあるに等しくなっちゃうところは、それはもしかしたら諸刃の剣かもしれないですけどね。深く物事を感じられなくなる、みたいなことと、表面、裏面ありそうですけど、ポジティブに捉えると、経験できることの幅ってバーチャルですごく広がっているな、っていうのありますよね。
デジタル自分史と挑戦と失敗と学びと
西村 でも選択肢が多い分、誰かが1回塗り替えたところに1回行くけど、また次の先には全然違うオプションがあって、結局全部自分史というか、全く全部私の同じようなステップでデジタルの世界で行きていく人は絶対いないはずで、それぞれがいろいろと自分の中でデジタル自分史になるんであれば、どうせだったらいろんなものを挑戦して、たまに失敗してもいいかな、みたいな。失敗しちゃいけないかもしれけど。
若原 でも失敗には学びがありますからね。
西村 そう。リスクにはなってないんだけど、ビットコインとか流行ったとき、いろんな怪しい交換所に私がパスポートの情報とかあげて大丈夫かな?と思うんだけど、ただ一応自分のフィジカルのパスポート持っておけば大丈夫かなとか、たまに自分が痛い思いを、大丈夫かな?って思うことあるんだけど。でもその冒険をしている分だけ、新しい今まで知らなかった通貨のやり取りが見えたりとか、そういうところもあるし。だから、アプリ一つインストールするのもそうだけど、入れると全然違うものが見えたりとか、いろんなところにトレジャーがあるんですよ。トレジャーデータというか、トレジャーハンティングのほうかもしれないけどね。
若原 確かに。
新しいコミュニケーションと新しい出会い
西村 言いたいのは、新しいフィールドで、それこそリスク取っているかもしれないけど、アカウント作ってやっていくと、そこで新しい出会いがあって。で、面白いのは、今までのSNSだけじゃなくて、これからそれがVRとかARとか、もっとクリエイションとかビジュアル表現とか、動画も含めて増えてくる中で、今までテキストベースでのコミュニケーションが苦手だったクリエイターの方とか、また全然違う角度の方々もコミュニティに入ってくるから、また新しい刺激というのが、新しいSNS的なものから出会えるのかなと思って。
若原 確かに。
西村 今までミクシィとかTwitterとか、YouTubeとかは動画だから違うかもしれないけど、これからVR空間で何かものを作りやすくなったりすると、またすごいクリエイターの方とも出会えるのかもしれないなとか。そういうところは、Do not hesitate、どんどんいろんな人に増えていきたいなっていうのはあるよね。
若原 確かにそうですね。そう考えると楽しみですね、いろいろこれから。
気配を提供できるようなSNS
西村 そう。まだまだ表現方法とか、あと飲み会とかもオンラインでやるみたいなとき、もちろんそれはそれで面白そうだなとか、やっぱり近くにいるからその気配とか面白いじゃん。でもその気配もこれからもうちょっと再現できるようなものとかってできてくるよね。それが、最初ホログラム的なところから、バイブレーションなのかもしれないけども、いろいろ組み合わせるとできてくる中で、そうすると、気配を提供できるようなSNSみたいなものが出てきたりとかね。そうすると実は、普通の会話するよりも、全然静かな人がすごい面白い気配出しているとか、この人面白い、みたいな、全然出会えていないような、テキストとか音声コミュニケーションじゃないような、ネコとかとも一緒に気配を感じながら飲めるかもしれないとか。
若原 気配はありますよね。
テレコミュニケーションとテレプレゼンス
若原 前職で働き方やっていたとき、リモートワークというか、テレコミュニケーションとテレプレゼンスって違う言葉だっていうのは、理屈では理解していたんですけど、実際自分でリモートワークするようになると、テレコミュニケーションだと、オンとオフしかなくて、アイドルタイムがないんで、例えばこれだけ近くにいて、それぞれ作業しているときに感じる気配とかあるじゃないですか。そういうのはわからないんですよね。それが伝わるテレコミュニケーションというか、テレプレゼンスって、これからすごい可能性がありそうだなとか。チャットツールでステータスがわかる、みたいなのありますけど。今ビジーとか、それ以上に、コミュニケーション取っていないときの気配が伝わるっていう。
西村 そうそう。あれ?意外に西村落ち込んでいるぞ、みたいな。そしたら強さんが、大丈夫?みたいな。そういうのもあるかもしれないよね。
若原 それはありますよね。
西村 でもそういう気配も察してもらうためには、例えば人間同士の付き合いだったら心を開くっていうのと同じようなかたちで、もしかしたらデジタルビリーヴァー的に言うと、個人情報って言っちゃうかもしれないけど、まず自分のステータスとか、気配もOKだよってすることによって察してくれるとか、恐れずいろんな情報出すことによって察してくれたりとか、救ってくれる人たちが増えてくるというような世界を目指そうという人たちがいると、そういう世界を作りたいから情報を出していてもいいんじゃないかなと私は思う。自分自身がそういう世界を作りたいかなと思うんで。でもね、デジタルを活用する方がどんどん増えていったら、エバンジェリストとしてやることがいっぱいあるよね。
若原 いや本当ですね。
Treasure Dataのエバンジェリストとして
若原 今日真里子さんとお話していて共通して思ったのは、デジタルとかデータということに対して、どうしても今の社会とか人々って、リスク面を考えちゃうというか、わからない世界であるがゆえにどうしても踏みとどまっちゃうとか、怖がっちゃうという側面って、人間としても持っちゃうと思うんですけど、その中でエバンジェリストの役割として、そのいい面、必要な面を、これを乗り越えるとこんな新しい経験ができるよ、とか、これを乗り越えることって実はそんなに難しいことではない、ということを上手く発信していくというのは、改めて自分としてもやりたいな、というのは思いましたね。
西村 いいね。で、ライフスタイルの型を作る。デジタルに、いくつかのテンプレートみたいなものを作るとか、そういったやり方もあるかもしれない。
若原 確かにそうですね。そういうことをぜひ今後はやっていきたいと改めて思いました。
西村 さすがエバンジェリスト。
若原 いえいえ、真理子さんのおかげで。
西村 いやいや。全てはここからはじまる。強さん、ありがとう。
若原 本当にありがとうございました。また引き続きよろしくお願いします。