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デジタルマーケティングにおける位置情報データの活用、その最前線を語る

LIGHITNING TALK
株式会社ジオロジック 代表取締役社長 野口 航氏
株式会社ブログウォッチャー 代表取締役社長 酒田理人氏
三井物産株式会社 ICT事業本部デジタルマーケティング事業部マーケティング事業第一室 関屋徹耶氏
株式会社Legoliss 代表取締役 酒井克明氏

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スマートフォンの普及によって、ユーザーの端末が取得する位置情報データを匿名性を確保した上でデジタルマーケティングに活用される事例が増加しています。

その最先端でビジネスを展開する企業は、位置情報データをどのように広告やマーケティングに活用しているのでしょうか。また将来に向けてどのような課題意識を持っているのでしょうか。

「位置情報データ活用の今後の展望」と題したパネルディスカッションでは、スマートフォンの位置情報データを活用した広告配信サービスを展開する株式会社ジオロジック 代表取締役社長の野口 航氏、スマートフォンアプリを提供する企業にユーザーの位置情報データを活用するSDKやデータ分析の基盤、広告配信プラットフォームを提供する株式会社ブログウォッチャー 代表取締役社長の酒田理人氏、米国の位置情報データ企業「factual」と業務資本提携を結んでいる三井物産株式会社 ICT事業本部デジタルマーケティング事業部マーケティング事業第一室の関屋徹耶氏が意見を交わしました。

モデレータは、株式会社Legoliss 代表取締役の酒井克明氏が務めました。

2018年頃から高まる位置情報広告への関心

まず、モデレータ酒井氏が3人に聞いたのは、「なぜ位置情報に注目しているのか」という点だ。ジオロジックの野口氏は、創業前はサイバーエージェントでDSP事業を担当していたが、「消費者の購買行動の多くは依然としてリアルな世界で行われているのに、ネット広告がリアル店舗への集客に活用されていない」という課題意識を持っていたという。

こうした課題に対して、人々のデジタル行動がブラウザからアプリに移り、位置情報データの収集がしやすくなったことを背景に、スマートフォンの位置情報データを活用した広告ソリューションを考案したという

「2018年頃から大きくビジネスが盛り上がりはじめ、現在では広告主は1500社を超えている」(野口氏)。

この2018年について、ブログウォッチャーの酒田氏は「我々のビジネスも同じ時期に盛り上がり始めた。『ポケモンGO』など位置情報ゲームの人気なども大きな要因になっているのでは」と指摘した。

一方、関屋氏によると、北米を中心にビジネスを展開するfactualでは、2015年頃に位置情報データをキーにした広告配信を開始したところ大きく成長し、現在ではグローバルで広告予算でトップ50に入る企業のうち49社が利用しているのだという。

「グローバルでは位置情報データを広告配信に活用するのはスタンダードになっている」(関屋氏)。

では、具体的にクライアント企業は位置情報データをどのように活用しているのだろうか。

酒田氏によると、同社ではサービス当初は「イベント来場者の居住地域を分析したい」「特定のエリアに広告を出したい」といったシンプルなニーズだったのだそうだが、最近では「位置情報データと自社のデータを組み合わせて活用したい」というニーズが高まっているという。

「位置情報データだけではできなかったことにトライしたいというニーズが多い。今後はデータの掛け合わせによる新しいビジネスが生まれるのでは」と酒田氏は指摘する。

一方、野口氏は「2018年頃からチラシ広告の予算をもらうようになった」と語る。近年、家庭における新聞購読率は低下の一途を辿っており、それに伴いスーパーマーケットなどのチラシが消費者の手に届かない状況は生まれている。

そこで、チラシの広告予算を位置情報広告に割り当てる企業が増加してきたという。
「実は位置情報データを使っているという意識は広告主にないのではないか。ニーズに寄り添う形で位置情報データを活用している」(野口氏)。

ここで野口氏が指摘したのが、位置情報広告のKPIだ。実は位置情報広告に対してその反響分析までしている広告主は少なく、来店・来場分析をするところまで至っていないのだという。

「様々な位置情報計測の手法があるなかで、特定の場所に来場した人数を位置情報データで高精度に計測する技術のブレイクスルーがまだ無い。来店計測の手法が確立するとさらに市場は大きくなるのでは」と野口氏。

これに対して酒田氏は「データが豊富になると統計的に来場者を推計できることもできるのでは」と語り、今後のKPI設計の可能性を示唆した。

他方、関屋氏によるとfactualでは、ネット広告の運用で当たり前になっているROIに応じた広告運用の最適化を来店計測でも実践し始めているのだという。

広告主はクリック率などの広告効果に応じて予算配分を最適化するように、「この広告がどれくらい来店に寄与したか」を検証して位置情報広告の運用を最適化しているのだそうだ。

プライバシーへの懸念を上回る利便性が求められる

セッションの後半では、今後の課題としてプライバシーの問題について意見を交わした。

酒田氏は広告主の声として「いかに安心にデータを使えるのかというニーズは高い」としたうえで、自社のデータを安心に活用するための「プライバシーテック」を業界全体で推進していく必要性を指摘。

野口氏は「プライバシーポリシーへの同意だけでなく、位置情報データの広告利用を本人が明確に同意したデータが、ウェブ閲覧履歴と同様にCDP、DMPに流通していくのではないか」と見通しを示した。

ただ、データの同意取得のプロセスが複雑になると、データのボリュームそのものが小さくなるという懸念もある。この点について、関屋氏は「精度にこだわりすぎるとボリュームは少なくなり、プライバシーにも触れていくことになる。データの精度を厳しく見すぎないことも必要では」と提言。

また、酒田氏は「ボリュームは一時的に減少していくが、中期的にみればユーザーにとってもより利便性の高い情報が増え、結果的に同意されたデータは増えていくのではないか」と語った。

そして、野口氏は「プライバシーの問題は『なんとなく気持ち悪い』というところが根源にある。この消費者心理を利便性が上回れば、理解が得られるのではないか」と指摘。

「広告や情報で生活が豊かになる世界を実現していくことが重要であり、これからの広告はユーザーフレンドリーな情報として提供されるべき」と語り、ユーザーの同意を得たうえでユーザーベネフィットを追及する広告の在り方を考えていくことの重要性を強調した。

セッションの最後に、3名のパネリストは「今後の位置情報ビジネス」についてまとめた。

関屋氏は「位置情報データのみを活用した施策はワークしづらい。音声広告や動画広告といった今後伸びていくソリューションとどう組み合わせて使うか?を考えることが重要。そして、位置情報データの活用方法にはまだ正解がない。いろいろな企業と一緒に考えていきたい」と語り、酒田氏は「自社ならどうやって活用できるかを考えていくことが重要ではないか」と指摘。

締めくくりとして、野口氏は「位置情報データを使って何かをするという発想ではなく、課題解決のためのソリューションを考えるなかで位置情報データを活用するという発想で考えるべき。位置情報データを使うには技術的にも勉強が必要であり、ぜひパートナー企業と協業してほしい」と会場に呼び掛けた。

スマートフォンの普及によって、ユーザーの端末が取得する位置情報データを匿名性を確保した上でデジタルマーケティングに活用される事例が増加しています。

その最先端でビジネスを展開する企業は、位置情報データをどのように広告やマーケティングに活用しているのでしょうか。また将来に向けてどのような課題意識を持っているのでしょうか。

「位置情報データ活用の今後の展望」と題したパネルディスカッションでは、スマートフォンの位置情報データを活用した広告配信サービスを展開する株式会社ジオロジック 代表取締役社長の野口 航氏、スマートフォンアプリを提供する企業にユーザーの位置情報データを活用するSDKやデータ分析の基盤、広告配信プラットフォームを提供する株式会社ブログウォッチャー 代表取締役社長の酒田理人氏、米国の位置情報データ企業「factual」と業務資本提携を結んでいる三井物産株式会社 ICT事業本部デジタルマーケティング事業部マーケティング事業第一室の関屋徹耶氏が意見を交わしました。

モデレータは、株式会社Legoliss 代表取締役の酒井克明氏が務めました。

2018年頃から高まる位置情報広告への関心

まず、モデレータ酒井氏が3人に聞いたのは、「なぜ位置情報に注目しているのか」という点だ。ジオロジックの野口氏は、創業前はサイバーエージェントでDSP事業を担当していたが、「消費者の購買行動の多くは依然としてリアルな世界で行われているのに、ネット広告がリアル店舗への集客に活用されていない」という課題意識を持っていたという。

こうした課題に対して、人々のデジタル行動がブラウザからアプリに移り、位置情報データの収集がしやすくなったことを背景に、スマートフォンの位置情報データを活用した広告ソリューションを考案したという

「2018年頃から大きくビジネスが盛り上がりはじめ、現在では広告主は1500社を超えている」(野口氏)。

この2018年について、ブログウォッチャーの酒田氏は「我々のビジネスも同じ時期に盛り上がり始めた。『ポケモンGO』など位置情報ゲームの人気なども大きな要因になっているのでは」と指摘した。

一方、関屋氏によると、北米を中心にビジネスを展開するfactualでは、2015年頃に位置情報データをキーにした広告配信を開始したところ大きく成長し、現在ではグローバルで広告予算でトップ50に入る企業のうち49社が利用しているのだという。

「グローバルでは位置情報データを広告配信に活用するのはスタンダードになっている」(関屋氏)。

では、具体的にクライアント企業は位置情報データをどのように活用しているのだろうか。

酒田氏によると、同社ではサービス当初は「イベント来場者の居住地域を分析したい」「特定のエリアに広告を出したい」といったシンプルなニーズだったのだそうだが、最近では「位置情報データと自社のデータを組み合わせて活用したい」というニーズが高まっているという。

「位置情報データだけではできなかったことにトライしたいというニーズが多い。今後はデータの掛け合わせによる新しいビジネスが生まれるのでは」と酒田氏は指摘する。

一方、野口氏は「2018年頃からチラシ広告の予算をもらうようになった」と語る。近年、家庭における新聞購読率は低下の一途を辿っており、それに伴いスーパーマーケットなどのチラシが消費者の手に届かない状況は生まれている。

そこで、チラシの広告予算を位置情報広告に割り当てる企業が増加してきたという。
「実は位置情報データを使っているという意識は広告主にないのではないか。ニーズに寄り添う形で位置情報データを活用している」(野口氏)。

ここで野口氏が指摘したのが、位置情報広告のKPIだ。実は位置情報広告に対してその反響分析までしている広告主は少なく、来店・来場分析をするところまで至っていないのだという。

「様々な位置情報計測の手法があるなかで、特定の場所に来場した人数を位置情報データで高精度に計測する技術のブレイクスルーがまだ無い。来店計測の手法が確立するとさらに市場は大きくなるのでは」と野口氏。

これに対して酒田氏は「データが豊富になると統計的に来場者を推計できることもできるのでは」と語り、今後のKPI設計の可能性を示唆した。

他方、関屋氏によるとfactualでは、ネット広告の運用で当たり前になっているROIに応じた広告運用の最適化を来店計測でも実践し始めているのだという。

広告主はクリック率などの広告効果に応じて予算配分を最適化するように、「この広告がどれくらい来店に寄与したか」を検証して位置情報広告の運用を最適化しているのだそうだ。

プライバシーへの懸念を上回る利便性が求められる

セッションの後半では、今後の課題としてプライバシーの問題について意見を交わした。

酒田氏は広告主の声として「いかに安心にデータを使えるのかというニーズは高い」としたうえで、自社のデータを安心に活用するための「プライバシーテック」を業界全体で推進していく必要性を指摘。

野口氏は「プライバシーポリシーへの同意だけでなく、位置情報データの広告利用を本人が明確に同意したデータが、ウェブ閲覧履歴と同様にCDP、DMPに流通していくのではないか」と見通しを示した。

ただ、データの同意取得のプロセスが複雑になると、データのボリュームそのものが小さくなるという懸念もある。この点について、関屋氏は「精度にこだわりすぎるとボリュームは少なくなり、プライバシーにも触れていくことになる。データの精度を厳しく見すぎないことも必要では」と提言。

また、酒田氏は「ボリュームは一時的に減少していくが、中期的にみればユーザーにとってもより利便性の高い情報が増え、結果的に同意されたデータは増えていくのではないか」と語った。

そして、野口氏は「プライバシーの問題は『なんとなく気持ち悪い』というところが根源にある。この消費者心理を利便性が上回れば、理解が得られるのではないか」と指摘。

「広告や情報で生活が豊かになる世界を実現していくことが重要であり、これからの広告はユーザーフレンドリーな情報として提供されるべき」と語り、ユーザーの同意を得たうえでユーザーベネフィットを追及する広告の在り方を考えていくことの重要性を強調した。

セッションの最後に、3名のパネリストは「今後の位置情報ビジネス」についてまとめた。

関屋氏は「位置情報データのみを活用した施策はワークしづらい。音声広告や動画広告といった今後伸びていくソリューションとどう組み合わせて使うか?を考えることが重要。そして、位置情報データの活用方法にはまだ正解がない。いろいろな企業と一緒に考えていきたい」と語り、酒田氏は「自社ならどうやって活用できるかを考えていくことが重要ではないか」と指摘。

締めくくりとして、野口氏は「位置情報データを使って何かをするという発想ではなく、課題解決のためのソリューションを考えるなかで位置情報データを活用するという発想で考えるべき。位置情報データを使うには技術的にも勉強が必要であり、ぜひパートナー企業と協業してほしい」と会場に呼び掛けた。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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