データ分析に欠かせない5つのプロセスとは
マーケティングはもちろん、経営全般においても、データ分析をもとにした意思決定は欠かせません。しかし当然ながら、ただ漫然と分析をするだけではその価値は発揮されません。そこには、分析のために必要なプロセスが存在します。
トレジャーデータ株式会社が提供するTreasure Data CDPは、組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できる「顧客データ基盤」です。データから得られる「深い顧客理解」をもとに、各種施策ツールへ連携し、パーソナライズされた「最高の顧客体験」を実現するものです。
では、「最高の顧客体験」を実現するためにデータ分析に必要なプロセスとはどのようなものなのか。トレジャーデータ株式会社で、データ活用に取り組む様々な企業をサポートしている、 カスタマーコンサルティングのメンバー・櫻井が語ります。
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櫻井 将允
トレジャーデータ株式会社 Senior Analyst of Customer Consulting2019年にトレジャーデータに参画。顧客データ、Webログデータ、購買データ、接客データ、位置データ等のデータを統合し、顧客理解、有望顧客特定、施策効果検証など多様なテーマの分析に従事。また、Tableauを用いたダッシュボード構築も担当
<データ分析に必要なプロセス>
分析の目的は何か?を明確にする
分析をする上で何よりも重要な点は「分析の目的を明確にする」ことです。この点が曖昧だったり、ズレていたりすると分析自体の意味がなくなることもあります。
ビジネス上の分析の大まかな目的は、以下のようにフェーズによって異なります。
施策のフェーズ | 分析の目的 |
課題の設定 | 現状はどんな状態なのか? を明らかにする |
解決策の立案 | どんな解決策が有効か? を明らかにする |
施策の実行 | 解決策はうまく機能しているのか? を明らかにする |
施策の検証 | 結果として成功したのか? その要因は何か? を明らかにする |
課題を明確にし施策立案へつなげる。施策立案をしたら実行へつなげる。実行したら解決へつなげる。解決したらよりよい状態へ進化させる…というように、各フェーズでの分析は次のアクションへつなげる役割を果たす必要があります。
どのようなテーマの分析であったとしても、ビジネスにおいて「何を行いたいのか?」「何が目的なのか?」を明らかにしましょう。
解くべき問は何か?を設定する
分析の目的が定まったら、次に必要なのは分析の目的を果たすのに必要な「解くべき問」を見つけることです。
たとえば、施策の実行や検証のフェーズで、「サイト来訪者を増やすために広告を出稿した」とします。このとき解くべき大きな問は、「その広告は効果があったのか?」になります。
施策のフェーズ | 分析の目的 |
課題の設定 | 現状はどんな状態なのか? を明らかにする |
解決策の立案 | どんな解決策が有効か? を明らかにする |
施策の実行 | 解決策はうまく機能しているのか? を明らかにする |
施策の検証 | 結果として成功したのか? その要因は何か? を明らかにする |
ここで注意すべき点は、何をもって「効果がある」と言えるのか?です。分析を最適な意思決定につなげるには、問をさらに細かく設定する必要があります。
たとえば
【施策】ターゲット層である女性30代に来訪してほしいので広告のデザインを変更した
【問】ターゲット層のサイト訪問者が狙い通りに増えたのか?
【施策】広告費の最適化のために、広告メニューを変更した
【問】広告費のバランスを変える/下げることをしても従来より来訪者を獲得できたのか?
など、「どの問に答えると分析目的は達成されるのか?」を考えれば必要な問は出てくるでしょう。
また、問に答えるためには「判断基準」が欠かせません。つまり、具体的な指標と目標数字が必要です。先程の例では、以下のようなものが挙げられます
【施策】ターゲット層である女性30代に来訪してほしいので広告のデザインを変更した
【問】ターゲット層のサイト訪問者が狙い通りに増えたのか?
【判断基準】広告経由で何人来訪させれば良いのか?何人買ってくれれば良いのか?など
【施策】広告費の最適化のために、広告メニューを変更した
【問】広告費のバランスを変える/下げることをしても従来より来訪者を獲得できたか?
【判断基準】どの広告で何人来訪させれば良いのか?CTRやCVRは?など
判断基準として適切なKPIを設定しておきましょう。
分析に必要な情報やデータを収集する
ここまで来てようやく「どんな情報やデータが必要か?」という段階になります。
- いろんなデータを入れたから、一旦分析してみてよ
- いろいろデータあるからインサイトが何か出るんじゃないかな?
- 顧客理解のためにいくつかデータ使ってペルソナ描いてみて
- Webログ、来店履歴、アプリデータがあるからジャーニー作ってみて
などの台詞を言ったこと、あるいは言われたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、先にお伝えした「分析の目的」や「解くべき問」を曖昧にしたまま着手すると辛い結果になります。
目的や問が曖昧なままデータを扱っても、判断基準も曖昧なため、導き出す答えも不明瞭になります。例えば、すでに知っていることや、ありきたりな結果報告しかできなかったり、強引なペルソナ像やカスタマージャーニーを作成してしまったりするでしょう。次のステップとして何をどうすればいいのか、議論が進まないという状況になります。
データ自体の理解や、何が分析できるのか・できないのかを理解をする上では、研究的に様々なデータを見てみることは良いと思います。しかし、基本的には「分析の目的」や「解くべき問」を明確にした上で必要な情報やデータを収集しましょう。関係者とも認識合わせをすると進め方が円滑になります。
また、解くべき問のために、
- 対象は誰なのか?
- 時期はいつのものなのか?
- どんな形で得られたデータなのか?
など扱うデータの種類や条件も意識して設計しましょう。
過去の事実や仮説も一緒に整理できていると、分析時のデータの解釈もより良いものになります。
分析して解くべき問に答える
ここからやっと「分析作業」に入れます。収集したデータをSQLやBIツール(Tableauなど)、Python、R、Excelなど、必要に応じて必要なツールを使いながら分析を進めていきます。分析テーマに応じて解くべき問も分析方法も様々ですので、ここでは分析する際の「視点」についてお伝えします。1つ1つの詳しい紹介は割愛しますが、私は以下の9つの視点を必要に応じて選んで使っています。
分析目的や解くべき問を前提に、目の前にある数値を施策の目的/内容、過去の事実、仮説と照らし合わせて答えを探します。こうすることで今見つけたい答えに加えて、新たな発見も得られるかもしれません。
結論を出し、意思決定をする
最後は、分析結果に基づいて「結論」を出します。この際に意識した方が良いことをお伝えします。
一言で言うと「最初に設定した課題の解決に、本当につながっているか?」です。
施策のフェーズ | 分析の目的 |
課題の設定 | 現状はどんな状態なのか? を明らかにする |
解決策の立案 | どんな解決策が有効か? を明らかにする |
施策の実行 | 解決策はうまく機能しているのか? を明らかにする |
施策の検証 | 結果として成功したのか? その要因は何か? を明らかにする |
たとえば施策の検証フェーズで、先に実施した施策が目標達成できなかった場合、目標値に達しなかった要因の分析をするでしょう。その要因が解消されれば本当に達成できるのか? 目標を達成できた場合は、どう改善すればより良くなるのかを具体的に、規模感を含めて伝えられるか?が重要です。次のアクションにつなげるための分析として、そもそもの「課題」に立ち返る意識で分析し、結論づけるようにしていきましょう。
- 導き出した解決策は、本当に課題を解決できるのか?
- 実行した施策の進捗具合で、本当に課題は解決できるのか?
- 現状の施策の効果で、本当に課題は解決できるのか?
の3つの問を、ご自身の結論に投げかけることをおすすめします。
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