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IoTの事業推進役を任されたアナタに!行動を起こすための実用書

IoTおすすめ書籍の著者に聞く!活用法と最新動向(04)

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企業にとって関心があるのは、IoTそのものではなく「IoTビジネス」だ。そこに軸足を置き、「どのようにしてビジネスを行うか」をテーマに、IoTを取り巻く技術、最新キーワード、現場事例、ビジネスの手法などを幅広く網羅したのが「徹底図解 IoTビジネスがよくわかる本」(SBクリエイティブ)である。図版やイラストも豊富に使って分かりやすく解説しており、IoTを推進する担当者が、実務ですぐに“使える”参考書となっている。執筆にあたった富士通総研の佐々木 哲也氏と菊本 徹氏に、本書の読みどころを伺った。

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 ビジネスデザイングループ
シニアマネジングコンサルタント
佐々木 哲也氏

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 ビジネスデザイングループ
シニアマネジングコンサルタント
菊本 徹氏

 

ビジネス実践に役立つ情報を提供するというコンセプトで執筆

――2017年10月に刊行された「徹底図解 IoTビジネスがよくわかる本」ですが、当時を振り返って、あらためて出版の経緯をお聞かせいただけますか。

書籍「徹底図解 IoTビジネスがよくわかる本」(SBクリエイティブ)

「徹底図解 IoTビジネスがよくわかる本」(SBクリエイティブ)

佐々木氏: 出版社(SBクリエイティブ)から、「広く浅くIoTビジネスが分かる本を作りたい」というお話をいただいたのがきっかけです。IoTはある意味「なんでもあり」の世界で、関連する技術も、業界も、業務も多岐にわたります。それらの構成要素を一つひとつ掘り下げていこうとすれば、それこそ要素ごとに専門書を書かなければなりません。また、IoTを取り巻く環境はすさまじいスピードで変化しており、仮に特定の要素を掘り下げて解説しても、あっという間に陳腐化してしまいます。私たちも、コンサルティングを行っているお客さまにIoTビジネスを理解していただくためには、その全体像を俯瞰(ふかん)できる地図のようなもの、あるいは辞書の索引となるようなものが必要だと考えていました。そんな私たちの思いと、出版社側の狙いがタイミングよく合致し、本書を執筆することになりました。

――出版社との間で、どんな流れで企画を固めていったのですか。

佐々木氏: IoTへの取り組みといっても、企業や担当者によってフェーズやステージが大きく異なるので、「ページをパラパラめくりながら知りたいことを見つけて、どこからでも読んでもらえるような手軽な入門書がいい」「でも、キーワードや事例などもしっかり押さえてほしい」というのが、出版社側からの要望でした。

これに対して私たちから提案したのは、「どのようにしてビジネスを行うのか」をテーマにするという点です。結局、IoTの概念や技術要素を理解しても、それだけでは自社の事業として成り立たせ、成功をつかむことはできないからです。こうした幅広い内容を、できるだけ平易に読み手に伝えるためにはどんな形の本がベストなのか、出版社の編集者と何度も議論を重ねてきました。そして行き着いたのが、IoTの事例や仕組みを理解した上で、新しいビジネスモデルの構築のための共通言語づくり、会議や議論、実践に役立つ情報を提供するというコンセプトです。

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 ビジネスデザイングループ シニアマネジングコンサルタント 佐々木 哲也氏

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 ビジネスデザイングループ シニアマネジングコンサルタント 佐々木 哲也氏

――具体的には、どんな読者をターゲットにしているのでしょう。

佐々木氏: 昨今、「わが社もIoTで何か新しいことをやれ」という経営トップの意向に沿って、IoTへの取り組みを始める企業が増えています。しかし、そこで白羽の矢を立てられた担当者が、何から手を付ければよいのかも分からず、立ち止まっているケースは少なくありません。さまざまなセミナーや専門書などで情報を収集したものの、実際に何から行動を起こせばよいのか悩んでしまうケースが少なくありません。そんな担当者の第一歩を後押しすることを想定しています。

菊本氏: 補足すると、さまざまな業界や企業におけるIoTの取り組みを支援する側に立つ、ビジネスパートナーやITベンダーの人材にも読んでもらいたいという思いがあります。実は本書ができあがった際に、親会社の富士通に持参したのですが、田中達也社長(当時。現在は会長)からも「重要なポイントが網羅的に分かりやすく書かれていて、とても良い本だ」と高い評価を受け、富士通の新人システムエンジニアに配布することが決まりました。

――新人システムエンジニアといってもかなりの人数になると思いますが、その全員に対してですか。

菊本氏: そうです。グループ会社を含めて毎年1000人以上入社するシステムエンジニア全員に、教育用のテキストブックとして配布しています。

 

資料作成では遠慮なく本書の内容を抜粋して使ってほしい

――本書は「基礎編」「実践編」「応用編」の3つのパートに分けて、IoTに関する幅広い情報が盛り込まれています。それぞれの読みどころを紹介していただけますか。

佐々木氏: 企業において実際にIoTを活用したビジネスを企画し、予算を確保するには、稟議書などの書類や関連資料を作成しなければなりません。IoTの推進役に抜てきされた担当者が苦労しているのがまさにこの作業で、書類の冒頭に付けるIoTの概要や動向の解説から書き起こしています。わざわざそんなところに時間や労力をかけるのではなく、企画の中身を考えることに集中してほしいと思います。そこで本書の「基礎編」の内容は、そのまま抜粋して資料に織り込めるようにまとめてあります。

――担当者にとって、非常にありがたいことです。

佐々木氏: 遠慮はまったく不要ですから、本書をどんどん“使って”いただき、その先のビジネスの実践に進んでほしいと思います。

――“使える”という意味では、「実践編」「応用編」もIoTビジネスのポイントや成功を導くステップ、方法論など、かなり具体的な内容を主軸にしていますね。

菊本氏: そこは本書の執筆陣が最もこだわったところであり、コンサルタントとして日々お客さまと共に捉えている課題や、提案している解決策をベースとしています。現在ではIoTの関連書籍も増えてきましたが、それらとは一線を画した本書ならではの価値(=読みどころ)と自負しています。

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 ビジネスデザイングループ シニアマネジングコンサルタント 菊本 徹氏

株式会社富士通総研 コンサルティング本部 ビジネスデザイングループ シニアマネジングコンサルタント 菊本 徹氏

 

社会全体のコミュニケーションをIoTが活性化させる

――本書が出版されてからすでに2年以上経過しましたが、今ならこんな内容も盛り込んでおきたいと思うような情報もありますか。

佐々木氏: 「基礎編」については普遍的な内容を意識して執筆したので、現在でもそれほど大きなギャップはありませんが、業種や分野ごとの事例、イベントなどの情報はやはりアップデートしたくなります。たとえば個人的にも大きな関心を持っているのが、2020年秋まで開催されている「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」です。訪れた人がさまざまなアート作品の空間に“没入”して楽しむことができる、新しいエンターテインメント体験のミュージアムですが、そこにどんなIoTの技術が活用されているかを想像すると、別の面白さがあります。もし今、出版するとしたら、そんな情報もぜひ盛り込みたいです。

菊本氏: 新しい動向として、IoTビジネスの基盤となる5G(第5世代移動通信システム)やスマートオフィス製品の話も、今なら絶対に外せません。

佐々木氏: 出版後どころか、執筆している最中にもどんどん新しい情報が出てくるのが、悩ましいところです。

――急速な変化の中で、富士通総研としては今後のIoTのトレンドがどこに向かっていくと考えていますか。

菊本氏: 注目すべきはデジタルトランスフォーメーション(DX)の動向です。現在、多くの企業がDXの専任組織やプロジェクトを立ち上げるなど、社会全体がDXに舵を切っており、この変革を支える基盤としてIoTはますます大きな役割を担うようになります。私たちは「あらゆるイノベーションの源泉はコミュニケーションにある」と考えており、そうした人と人、組織と組織など、社会全体のコミュニケーションを活性化させていく新たな仕組みを、IoTが実現していく可能性があります。

佐々木氏: 実際、複数の企業がサプライチェーンやエコシステムを通じて連携し、新しいビジネスやサービスを創出しようとするとき、インターネットが持つ双方向性やオープン性、リアルタイム性といった特性を生かし、データを起点としたコミュニケーションを確立することが必須になります。しかし、交通や運輸、海運など、依然としてコミュニケーションをアナログの手段に頼っている業界も数多いのが実情です。裏を返せば、そうした業界こそ、今後のIoTビジネスの最もホットな舞台になると予測しています。

――世の中でどんなIoTビジネスが巻き起こるのか、ますます楽しみになってきました。本日は興味深いお話をありがとうございました。

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書籍「徹底図解 IoTビジネスがよくわかる本」(SBクリエイティブ)

著者:株式会社富士通総研(細井 和宏、池田 義幸、佐々木 哲也、黒木 昭博、菊本 徹、小田 和樹)
出版社:SBクリエイティブ
定価:1,780円+税(Kindle版890円+税)
出版日:2017年8月26日
ISBN-10:4797389397
ISBN-13:978-4797389395
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アーム株式会社

英ケンブリッジに本社を置き、半導体設計やIoTクラウドサービスを手がけています。エネルギー効率に優れた高度なプロセッサ設計は、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、さまざまな製品に組み込まれ、世界人口の70%以上に使用されています。さらに、そのテクノロジーにIoTソフトウェアやデバイス管理プラットフォームを組み合わせ、顧客がコネクテッドデバイスからビジネス価値を生み出すことを可能にしています。
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