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コンテンツマーケティング一筋18年、オールアバウトが手掛ける壮大なエコシステムとは|株式会社オールアバウト

CASE STUDY|株式会社オールアバウト
プラットフォーム開発部 ジェネラルマネージャー
中島 大輔氏

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2001年にオープンし、以来約900名の専門家が情報を発信する日本最大級の総合情報サイトとしてネットユーザーから絶大な支持を得てきたデジタルメディア「All About」。そのAll Aboutが、約18年間のコンテンツマーケティングのノウハウを注ぎ込んで開発したコンテンツマーケティングプラットフォームが、「All About PrimeAd」です。同社は、このAll About PrimeAdを通じて広告業界にメディア主導の新しい市場とソリューションを作ろうとしているのでしょうか。

「100のメディアが手を組み進めるメディアオーケストレーション」と題した講演で、株式会社オールアバウトの中島大輔氏が紹介しました。

メディアとデータの活用に特化したコンテンツマーケティングプラットフォーム

冒頭に紹介した通り、All Aboutは開設から約18年間、コンテンツマーケティングをメディアマネタイズのドライバーとして成長してきた。サイト内で展開したメディアタイアップは累計で約7000本にのぼり、メディアの立ち上げやコンテンツ提供といった企業のオウンドメディア支援は約40メディア、制作コンテンツ数は6000本以上に及ぶ。

こうした経験を基盤として、All About PrimeAdは「メディアを活用すること」「データを活用すること」という2つの側面に特化したコンテンツマーケティングプラットフォームとして展開しているという。データだけに絞っていない点について中島氏は「データだけでは上手くいかない、人間の直感を併用してこそうまくいくと考えている」と説明する。

メディアの活用については、現在All Aboutだけでなく大手パブリッシャーを中心に100メディアと提携(2020年1月時点)。従来のマネタイズモデルを拡張する形で、提携メディアを通じて生活者を広告主のもとに送客する仕組みを構築しているという。しかし、ただ送客手段として提携メディアと協業するのではなく、コミュニケーションプラン、インフィード広告、記事広告、オウンドメディア支援などを提携100メディアで包括的に協力して手掛けていくのが特長だ。

加えて、Treasure Data CDPをベースに構築したデータ基盤「All About CDP」を活用して、メディアが収集した行動履歴データ、広告主が保有する行動履歴やCRMデータ、SFAデータなどをひとつの場所に格納。そのデータを解析し、オールアバウトが保有する独自の配信エンジンを通じて記事広告などを生活者に配信していく仕組みをとっているのだという。

一方、データの活用については、「All About CDP」に、1300テーマ約18万本にも及ぶAll Aboutの記事に接触する月間2300万UUの閲覧行動データ、同社が資本業務提携しているNTTドコモの契約者データ7200万人分(2019年9月末時点)、Intimate Mergerの3rd Party データやIASのアドベリフィケーション、そしてここに提携メディアのデータや広告主のデータも統合。様々なデータを掛け算することで、データの解像度を上げていくことができるのだという。

資料:All About PrimeAd All About のデータの特徴 ライフイベント・ライフサイクル

「この分析プラットフォームによって分析・レポーティングを強化し、広告効果分析、N1分析、オーディエンス分析、コンバージョン分析など様々な角度で広告施策を分析できるようにしている」(中島氏)。

広告市場が見落としてきた「ミドルファネルでの顧客育成」

中島氏は、All About PrimeAdでコンテンツマーケティング施策を展開する意義として、消費者が商品・サービスへの興味関心を深める「ミドルファネル」で顧客を育成することの重要性を取り上げた。

マーケティングファネルの現状として、中島氏は「アッパーサイド(認知ファネル)は消費者の注意力低下によりレッドオーシャン化し、購買に近いローワーサイドでは獲得競争の激化によりレッドオーシャン化している」と指摘。しかしながら、広告市場においてミドルファネルの施策は積極的に行われておらず、広告主の中には認知施策を行ってもメッセージが届かない、獲得施策を行っても刈り取る対象者がいないという課題に直面しているのだという。「だからこそ、ミドルファネルで態度変容を生み出す『育成型マーケティング』が必要とされている」(中島氏)。

とはいえ、カスタマージャーニーを紐解くと、消費者は注目した商品・サービスについて購入までの間に様々な情報を駆使して興味関心・理解を深めており、ミドルファネルは購買行動に重要な役割を果たしているのは確かだ。「そこで、興味関心の喚起=顧客の育成を誰がやってきたのか。雑誌やメディアがその役割を担ってきた」と中島氏は指摘する。

「消費者は関心を持つとメディアの記事を読んで興味を膨らませる。広告も個人の価値観に刺さる商品のベネフィットを発見させるところまでやるべきではないか」(中島氏)。

しかし、「ミドルファネル」とひと言で言ってもその実像は非常に複雑なのだという。消費者がどこに興味関心のスポットライトを当てているかによって価値観が異なり、ミドルファネルはそれが数十から数百という束になっているのだ。

「例えば、コスメ・ビューティー市場では、高級志向、無難なもの志向、ナチュラル志向、お値打ち志向、健康志向など、いくつもの価値観が束になっている。そこにマスのコミュニケーションをしても、認知までは実現できるが、理解・記憶まではなかなか実現できないのではないか」(中島氏)。

こうした価値観の束に的確にコンテンツマーケティングを展開し、様々な価値観の消費者の興味関心に応えるコミュニケーションを展開しようというのが、All About PrimeAdが展開している「メディアオーケストレーション」という商品なのだという。「All About PrimeAdでは、生活者の価値観に基づく情報発信をしながら情報を届けることで、ブランドの特徴を理解して記憶するところまで実現できる」(中島氏)。

提携100メディアでマーケティング施策の「フォーメーション」を構築する

この「メディアオーケストレーション」は、All Aboutが提携する100のメディアで共同開発したコンテンツマーケティングソリューションだ。ひと言で表現すると、「ひとつの広告プロジェクトに対して100のメディアが共同で取り組み、消費者への情報流通を支援する」マーケティングモデルだと言える。

中島氏によると、プロジェクトは広告主のマーケティングニーズに応えることができるメディアが参画して共同でメディアプランニングを行うことから始まり、方向性が決まると各メディアはそれぞれの役割に応じた態度変容のための切り口やコンテンツを制作。提携メディアのネットワークから数十万~数百万PVというボリュームのある誘導施策を実施してパフォーマンスを最大化し、その効果は参画メディアを横断した統一フォーマットでレポーティングするのだという。「各メディアの専門性に応じた役割分担を行いフォーメーションを作っていくのが特長だ」と中島氏は語る。

例えば、パナソニックのエアコン「エオリア」の施策では、梅雨時期から夏前にかけて子育て中のママをターゲットに「カビ対策」をテーマにした需要喚起と態度変容を狙ったコンテンツマーケティングを展開。4つの子育て系メディアでそれぞれ独自の切り口を企画してコンテンツを制作。All Aboutのデータに基づき「子育てママ」のセグメントに対して300万UUの広告配信を行い集客を実施したのだという。

資料:All About PrimeAd 切り口案 生活者課題に対し、ベネフォットで共感・興味喚起・理解促進 例)住まい×カビ訴求、子育て環境×カビ意識喚起、エアコン×カビ対策、主婦目線×カビ悩み

その結果、4つのメディアでのUUの重複率は2.52%と低く、広告リーチの拡大が確認できたほか、記事広告に反応したユーザーがメディア内でどのような記事を読んでいるかを「All About CDP」に格納したデータをもとに可視化したところ、4つのメディアとも価値観に個別の特徴があることが見えてきたことで、リーチの多様さも確認できたのだという。「価値観の多様さを確認できたことで、次の施策のヒントにもつながる」(中島氏)。

一方で、リーチの広さ・多様さだけでなく、理解の深さを測ることも重要なポイントだ。この点について中島氏は「All About CDP」に格納したデータをもとに一気通貫で記事広告接触者のデータを可視化できる点を紹介。

ドコモの契約者データや3rdPartyデータといった消費者のデータにはじまり、メディアの閲覧履歴、アドサーバーに蓄積された広告接触履歴、記事広告の読了率や送客率、広告主のコンバージョンデータやCRMデータ、これらをひとつのCookieで一元管理することで、購買した顧客がそこに至るプロセスでどのような行動をしてきたのか、どのような行動変化、態度変容をしたのかを分析することができるのだという。

中島氏は、コンテンツマーケティングで重要なこととして、数十~数百という価値観の束に対して、「広さ」と「深さ」を意識した施策の実施が重要であることを指摘。その上で、広告主に向けて次のようにメッセージを述べた。

資料:All About PrimeAd コンテンツマーケティングで重要な事

「企業から消費者への一方的なメッセージはもう届かないと言われているが、企業は消費者と向き合っているだろうか。広告を生活者が知るべき情報(コンテンツ)として届け、商品の価値を発見できるようにすることが大切だ。生活者とのコミュニケーションの最前線を担っているメディアとともに、向き合っていこう」

※PLAZMAイベント登壇時(2019年7月17日時点)のAll About掲載メディア数は60でしたが、2020年1月末には100メディアに達したため文中の表記を60から100に変更しています。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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