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コマースとAIのおはなし

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経済産業省の調査によれば、2024年の日本国内の電子商取引(EC)市場規模は、BtoCで24.8兆円、BtoBで465.2兆円と推定されている。前年比ではBtoCが9.23%、BtoBが10.7%の増加となっており、eコマースでの顧客体験向上はもはや企業が取り組むべき重要課題の1つだといえるだろう。今後、企業はどの方向に向けて舵を取るべきなのか。eコマースプラットフォームを展開するShopifyと、総合デジタルファームの電通デジタルの講演では、現在から未来に向けたeコマースのトレンドと可能性について解説された。

【この事例のポイント】
・eコマースのトレンドは、オムニチャネルから「Unified Commerce」へ。そこでは、実店舗、EC、SNS、動画ショッピング、越境ECなど、様々な購入体験がつながっていく。
・AIでeコマースを変革する場合、「対話型AI」が1つのキーワードになる。リアルに対話している感覚でショッピングを楽しみ、その背景でデータが蓄積、運用されていく。
・Treasure Data CDPにECの顧客情報、店舗情報、Webログなど様々なデータを統合し、そこに生成AIを加えることで、新しいeコマース体験が生まれる。

<登壇者>

Shopify Japan 株式会社
Senior Business Development Manager
泉 貴文氏

株式会社電通デジタル
執行役員
データ&AI 部門長
山本 覚氏

※肩書は2024年11月時点のものとなります

<目次>

eコマースのトレンドは「Unified Commerce」へ

2006年、既存のeコマースに不満を抱いていた創業者によってカナダで設立された、eコマースプラットフォームのShopify。現在は175カ国以上で事業展開し、プラットフォームを利用する事業者数は数百万にも及ぶ。2023年、同社のプラットフォーム上で購入した人数は約6.8億人。売り上げは約1兆円となっている。日本でも2017年から事業を行い、アパレル、食品、飲料など多くの大企業で利用されている。

「オンラインショップに限らず、マーケットプレイス、ライブコマースなど、お客様の購入接点は多様化しています。Shopifyは、すべての顧客接点で販売できるCommerce Platformを目指しており、実際、利用する事業者の90%超が2つ以上のチャネルで販売しています」と、Shopify Japanの泉 貴文氏はプラットフォームの特徴を語る。

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このShopifyと電通デジタルがタッグを組み、eコマースの未来を切り開く取り組みが進められている。電通デジタルは、国内最大規模の総合デジタルファーム。クリエイティブとテクノロジーを総合的に活用することで、顧客企業に伴走支援を行っている。提供するソリューションにはAIに関するものが多い点も大きな特徴だ。

二社による未来への取り組みを語る前に、まずはeコマースの現状を俯瞰しておきたい。現在の大きなトレンドとしてあげられるのは「Unified Commerce」だ(図1)。1990年代後半に始まったeコマースは、21世紀に入って以降、マルチチャネル、オムニチャネルへと進化してきた。オムニチャネルは、ネットショップや実店舗など、複数のチャネル間の購買体験をシームレスにつなぐものだが、Unified Commerceではつながる幅がもっと広くなる。

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図1 実店舗中心のコマースから、インターネットの普及とともにeコマースが生まれ、販売チャネルの多様化が進められてきた。オムニチャネルに続き、これからの時代のeコマース像は、あらゆる購入体験をつなぐ「Unified Commerce」だ

「実店舗とネットショップに限らず、越境EC、SNS、BtoBなども含めて、すべてのコマース体験を1つにしていく流れが明確になっています。チャネル上で商品の紹介から販売までできる、YouTubeショッピングもその一例です」(泉氏)

TikTokやInstagramでも、視聴体験から購入体験へというスキームが構築されており、動画配信サービスやSNSでの購入は、新しい顧客体験といえるだろう。もう1つのトレンドとして、泉氏は「BtoC、BtoBを同時に進める」ことをあげる。BtoCのECサイトでアクセス数をのばした小売りの大手企業が、ShopifyにBtoBを管理する機能があると知り、BtoBサイトも一緒に運営することで、アクセス数、売り上げをのばしている。食品、飲料など、他業種メーカーでもこうした動きが見られるという。

詳細かつ機動的なデータベースに基づく対話型コマース

このようにチャネルの幅が広がっているのは間違いない。ただ、広がるだけでは情報の受け手も送り手も混乱し、業務負荷が上がってしまう。

「『Unified Commerce』がトレンドになるということは、その裏返しで、チャネルの多様化にデータ利用が追い付かず、販売戦略や、顧客との関係構築のマネジメントを行うCRMの施策にうまく反映できていないケースが多いのだと思います。そこで当社では、Commerce×AIを実現する切り口として、5つの具体的な機能を提案しています。それが『対話型コマース』『商品DNA』『AIペルソナ』『対話型レビュー』『バーチャルトライ』です。特に最初の2つが重要だと思っています」と電通デジタルの山本 覚氏は語る。

前者の「対話型コマース」は、リアル店舗で店員とコミュニケーションしながら楽しむショッピング体験を、ECでの購入時にAIとの対話を通して提供するもの。テキストだけでなく、手持ちの洋服を写真でアップして、「このボトムスに合うトップスを選んでください」と、やりとりすることも可能だ。AIに顧客データだけでなく店舗の販売員のノウハウを取り込むことで実現する。

一方、後者の「商品DNA」は、顧客レビューなどを基に、AIが個別商品の情報を構造化するもの。例えばレビュー情報などから、「色」や「サイズ」といった商品の定量的な情報はもちろん、「どこが気に入っているのか」「どういうコーディネートをしているのか」など、定性的な情報も網羅し「商品DNA」として蓄積しておく。ユーザーと対話するときには、そのデータを基にレコメンドしていくイメージだ。

「ユーザーのレビューは貴重な情報源ですが、『購入しました。届くのが楽しみです』など、商品についての情報が何もないレビューもたくさんあります。レビュー作成もAIとの対話で行えるようにすれば、わずらわしさを抑えながら、商品の魅力に対する生の声を引き出せるかもしれません。こうした対話型レビューも今後強化していきたいと思います」と山本氏は話す。

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顧客体験の向上を、日本経済全体の成長につなげる

こうした新しい取り組みを下支えするのがデータ基盤だ。Treasure Data CDPにECの顧客情報、店舗情報、Webのログなど様々なデータを収集・統合し、そこに生成AIを加えれば、新たなeコマース体験が生まれる。よりパーソナライズしたコミュニケーションも可能になり、顧客体験の向上につながっていくはずだ。

生成AIの魅力として、両氏はそろってスピード感をあげる。「電通デジタルのAI開発拠点があるモンゴルでワンデーワークショップを開催したとき、湧いてくるアイデアが、次の日には実装できそうな形になっているスピード感に大きな可能性を感じました。今後、フロントのチャネルの広がりに対応でき、柔軟な『Unified Commerce』のプラットフォームを構築するためにも、生成AIの活用は必須になっていくでしょう」と泉氏。続けて山本氏も「以前のように、施策を実行して蓄積したデータを、データサイエンティストが苦労して分析して、3カ月後にアウトプットしていた状況から、対話型の生成AIを活用することで、作業時間をどんどん短縮できます。これからいろいろな変化が起こっていくはずです」と語る。

顧客体験の向上は、商品やサービスを提供する企業の成長につながり、それは日本経済全体を押し上げることにもつながる。そうした決意のもと、両社の共創は続いていく。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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