PLAZMA会員になると、このセッションの動画視聴が可能です。
自社のデジタルマーケティングを高度化するために、プライベートDMPを構築する企業が増えています。2018年3月にプライベートDMP「セゾンCDP」を構築した株式会社クレディセゾン(以下、クレディセゾン)もそうした企業の1社です。さらに同社はセゾンCDPを基盤にして法人向けにマーケティングソリューションを提供する新規事業もスタートしました。「PLAZMA 2019 一橋」で登壇したクレディセゾン デジタル事業部 デジタルマーケティング部 担当部長 吉田学氏の講演からセゾンCDP構築の背景と狙いを見ていきます。
クレディセゾンが持つビッグデータ
女性から支持が高い「セゾンカード」や男性からの支持が高い「UCカード」などのクレジットカード事業を中心に、ファイナンス事業、不動産関連事業やリース事業など様々なビジネスを展開するクレディセゾン。カード会員は2700万会員に加え、ネット会員は1500万会員を数え、オンラインとオフラインを合わせたカード利用額は5兆円に達する。
吉田氏は同社の会員プロフィールの特徴として「情報感度が高く、消費性向の高い女性会員が半数以上、ライフステージの変化が多い30〜50代が6割以上です。アクティブな50代以上も多い多様な会員層となっています。また、スマホアプリ会員はカード利用率が高いという特徴もあります」と解説する。
データソースとしては、2700万人の”正確な”デモグラフィック情報、5兆円のカード利用データ、ライフイベントごとのアクションデータ、Web上のログデータ、1500万人のネット会員情報。こうしたカード会社ならではの正確な顧客情報/購買情報を基にマーケティングデータ基盤を構築できることが大きな強みです。これらをプライベートDMP「セゾンCDP」に蓄積しています。(吉田氏)
自社の顧客理解やお客様へのマーケティング活動に活かすだけでなく、法人向けにセゾンCDPを活用したマーケティングソリューションの提供も開始している。
なぜTreasure Data CDPで「セゾンCDP」を構築したのか
特にセゾンCDPを活用した法人のマーケティング活動支援においては、顧客理解(課題抽出)から潜在層へのアプローチ(認知・流入施策)、顕在層へのアプローチ(理解促進・流入施策)、検討層へのアプローチ(獲得・来店促進)の各ファネルでデータを活用できる仕組みだ。具体的には、顧客理解ではWeb行動ログやNPS、潜在・顕在層向けではアンケートプロモーションやオウンドメディア広告・各種SNS広告展開を実施、検討層向けではメールやDMによるターゲティング広告メニューを展開する。
「信頼度の高い大量データを活用し、リサーチから認知・獲得プロモーションまでさまざまなマーケティング活動をサポートしています」と吉田氏は説明する。
なぜクレディセゾンはCDPを開発したのか。吉田氏はその意図について、セゾンCDPが目指す3つのテーマを紹介した。それは、クレディセゾン自身が顧客接点の最適化とエンゲージメントを強化するための「CRM」の強化、与信におけるデータ活用と金融サービスの高度化を行う「Fintech」への展開、高精度なターゲティングソリューションを開発・提供する「NewBiz」(新規ビジネス)の3つだ。同社はデジタルを活用したビジネス構築を目指し、業界に先駆けて2016年にプライベートDMPを構築。その際、データを活用したマーケティングの重要性を認識したことや、デジタルやfintechといった文脈でのニュービジネスの必要性を感じたことがきっかけとして大きいと語る。
また、その前提となるデータ活用基盤をどういう経緯で構築したのかを説明。ちょうどその頃、セキュアな領域でパブリッククラウドを活用する動きや、2017年5月の改定個人情報保護法によりデータビジネスを展開するうえでの法規制、ガイドラインも明確になった。そうした中、AWSでスクラッチでの独自環境構築を検討したが、開発コストや開発期間、構築した後の維持運用の手間、アップデートへの追随などの面で課題も多かったという。
そこで導入を検討したのが『Treasure Data CDP』です。より早く効率よく環境構築ができること、新機能の追加やアップデートが頻繁に実施されること、数多くのマーケティングツールへのデータ連携が可能なことを評価しました。また、ユーザー企業同士でのデータ連携の容易さや、顧客を理解するためのコミュニケーションに強みがあること、開発および維持コストと実現できるビジネス価値が高いことも魅力でした(吉田氏)
クレディセゾンのビッグデータを集約したマーケティング基盤を実現
Treasure Data CDPの採用を決めた同社は構築期間を5カ月に設定し、2017年11月に本格開発を開始。だが、そこにはいくつか課題もあったという。当時セキュリティ面で、標準提供されている機能ではプライベート接続するためにインターネットを経由せざるを得ないことがネックになった。
そこで、用意されているセキュリティソリューション/プログラムだけでなく、Treasure Data CDPのコアサービスにインターネットを経由せずプライベート接続できる機能の追加を要請しました。2018年2月には新たなセキュリティ機能強化として「Private Connect」という機能が追加され、AWS上に企業ごとに用意された専用のバーチャルプライベートクラウド(VPC)とエンドポイントを使ってDirect Connect、VPN、VPC Peeringで接続するプライベート接続を実現しました(吉田氏)
こうした課題を乗り越えながら、2018年3月、プライベートDMPとして「セゾンCDP」をローンチ。また、その1ヶ月後にはRTBプラットフォーム「セゾンDSP」をローンチし、パブリックDMP「セゾンDMP」とあわせて、クレディセゾンのビッグデータを集約したマーケティング基盤を完成させた。
「セゾンCDP」のデータを生かしたビジネス化をさらに加速
「CRM」・「Fintech」・「NewBiz」の3つのテーマを実現していくうえで、セゾンCDPは、自社の各種マーケティングデータと、必要に応じてさまざまな外部データを統合し、BIツールでオーディエンスを可視化していく役割を担う。可視化されたデータはユーザーとのコミュニケーションの最適化という目的のもと、パブリックDMPである「セゾンDMP」を掛け合わせてキャンペーンシナリオの設計や運用、プロモーションの実行で活用され、最終的にはMA、DSPなどを通じて顧客とコミュニケーションしていくというような流れとなっている。
今後は、セゾンCDPのビジネス化にも積極的に取り組んでいくという。その一例としてオムニバス、セゾン情報システムズと協業し、2018年10月に「プライベートDMP構築サービス」の提供を開始したことを挙げた。金融ならではのセキュアなDMPを構築したクレディセゾン自身のノウハウも含め、構築から運用までを一環して提供している。同サービスではクレディセゾンが持つビッグデータも活用できる。
今後も、セゾンCDPによるビジネス展開をさらに進めていくことを強調した。
PLAZMA会員になると、このセッションの動画視聴とPDFダウンロードが可能です。
自社のデジタルマーケティングを高度化するために、プライベートDMPを構築する企業が増えています。2018年3月にプライベートDMP「セゾンCDP」を構築した株式会社クレディセゾン(以下、クレディセゾン)もそうした企業の1社です。さらに同社はセゾンCDPを基盤にして法人向けにマーケティングソリューションを提供する新規事業もスタートしました。「PLAZMA 2019 一橋」で登壇したクレディセゾン デジタル事業部 デジタルマーケティング部 担当部長 吉田学氏の講演からセゾンCDP構築の背景と狙いを見ていきます。
クレディセゾンが持つビッグデータ
女性から支持が高い「セゾンカード」や男性からの支持が高い「UCカード」などのクレジットカード事業を中心に、ファイナンス事業、不動産関連事業やリース事業など様々なビジネスを展開するクレディセゾン。カード会員は2700万会員に加え、ネット会員は1500万会員を数え、オンラインとオフラインを合わせたカード利用額は5兆円に達する。
吉田氏は同社の会員プロフィールの特徴として「情報感度が高く、消費性向の高い女性会員が半数以上、ライフステージの変化が多い30〜50代が6割以上です。アクティブな50代以上も多い多様な会員層となっています。また、スマホアプリ会員はカード利用率が高いという特徴もあります」と解説する。
データソースとしては、2700万人の”正確な”デモグラフィック情報、5兆円のカード利用データ、ライフイベントごとのアクションデータ、Web上のログデータ、1500万人のネット会員情報。こうしたカード会社ならではの正確な顧客情報/購買情報を基にマーケティングデータ基盤を構築できることが大きな強みです。これらをプライベートDMP「セゾンCDP」に蓄積しています。(吉田氏)
自社の顧客理解やお客様へのマーケティング活動に活かすだけでなく、法人向けにセゾンCDPを活用したマーケティングソリューションの提供も開始している。
なぜTreasure Data CDPで「セゾンCDP」を構築したのか
特にセゾンCDPを活用した法人のマーケティング活動支援においては、顧客理解(課題抽出)から潜在層へのアプローチ(認知・流入施策)、顕在層へのアプローチ(理解促進・流入施策)、検討層へのアプローチ(獲得・来店促進)の各ファネルでデータを活用できる仕組みだ。具体的には、顧客理解ではWeb行動ログやNPS、潜在・顕在層向けではアンケートプロモーションやオウンドメディア広告・各種SNS広告展開を実施、検討層向けではメールやDMによるターゲティング広告メニューを展開する。
「信頼度の高い大量データを活用し、リサーチから認知・獲得プロモーションまでさまざまなマーケティング活動をサポートしています」と吉田氏は説明する。
なぜクレディセゾンはCDPを開発したのか。吉田氏はその意図について、セゾンCDPが目指す3つのテーマを紹介した。それは、クレディセゾン自身が顧客接点の最適化とエンゲージメントを強化するための「CRM」の強化、与信におけるデータ活用と金融サービスの高度化を行う「Fintech」への展開、高精度なターゲティングソリューションを開発・提供する「NewBiz」(新規ビジネス)の3つだ。同社はデジタルを活用したビジネス構築を目指し、業界に先駆けて2016年にプライベートDMPを構築。その際、データを活用したマーケティングの重要性を認識したことや、デジタルやfintechといった文脈でのニュービジネスの必要性を感じたことがきっかけとして大きいと語る。
また、その前提となるデータ活用基盤をどういう経緯で構築したのかを説明。ちょうどその頃、セキュアな領域でパブリッククラウドを活用する動きや、2017年5月の改定個人情報保護法によりデータビジネスを展開するうえでの法規制、ガイドラインも明確になった。そうした中、AWSでスクラッチでの独自環境構築を検討したが、開発コストや開発期間、構築した後の維持運用の手間、アップデートへの追随などの面で課題も多かったという。
そこで導入を検討したのが『Treasure Data CDP』です。より早く効率よく環境構築ができること、新機能の追加やアップデートが頻繁に実施されること、数多くのマーケティングツールへのデータ連携が可能なことを評価しました。また、ユーザー企業同士でのデータ連携の容易さや、顧客を理解するためのコミュニケーションに強みがあること、開発および維持コストと実現できるビジネス価値が高いことも魅力でした(吉田氏)
クレディセゾンのビッグデータを集約したマーケティング基盤を実現
Treasure Data CDPの採用を決めた同社は構築期間を5カ月に設定し、2017年11月に本格開発を開始。だが、そこにはいくつか課題もあったという。当時セキュリティ面で、標準提供されている機能ではプライベート接続するためにインターネットを経由せざるを得ないことがネックになった。
そこで、用意されているセキュリティソリューション/プログラムだけでなく、Treasure Data CDPのコアサービスにインターネットを経由せずプライベート接続できる機能の追加を要請しました。2018年2月には新たなセキュリティ機能強化として「Private Connect」という機能が追加され、AWS上に企業ごとに用意された専用のバーチャルプライベートクラウド(VPC)とエンドポイントを使ってDirect Connect、VPN、VPC Peeringで接続するプライベート接続を実現しました(吉田氏)
こうした課題を乗り越えながら、2018年3月、プライベートDMPとして「セゾンCDP」をローンチ。また、その1ヶ月後にはRTBプラットフォーム「セゾンDSP」をローンチし、パブリックDMP「セゾンDMP」とあわせて、クレディセゾンのビッグデータを集約したマーケティング基盤を完成させた。
「セゾンCDP」のデータを生かしたビジネス化をさらに加速
「CRM」・「Fintech」・「NewBiz」の3つのテーマを実現していくうえで、セゾンCDPは、自社の各種マーケティングデータと、必要に応じてさまざまな外部データを統合し、BIツールでオーディエンスを可視化していく役割を担う。可視化されたデータはユーザーとのコミュニケーションの最適化という目的のもと、パブリックDMPである「セゾンDMP」を掛け合わせてキャンペーンシナリオの設計や運用、プロモーションの実行で活用され、最終的にはMA、DSPなどを通じて顧客とコミュニケーションしていくというような流れとなっている。
今後は、セゾンCDPのビジネス化にも積極的に取り組んでいくという。その一例としてオムニバス、セゾン情報システムズと協業し、2018年10月に「プライベートDMP構築サービス」の提供を開始したことを挙げた。金融ならではのセキュアなDMPを構築したクレディセゾン自身のノウハウも含め、構築から運用までを一環して提供している。同サービスではクレディセゾンが持つビッグデータも活用できる。
今後も、セゾンCDPによるビジネス展開をさらに進めていくことを強調した。