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プレジデント社が取り組む、読者に寄り添うコンテンツ発信 ~CDPで可視化する顧客の嗜好と行動~

CASE STUDY|株式会社プレジデント社

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読者が情報メディアに望むのは、自分が欲しい情報を提供してくれることです。より良い顧客体験のためには、読者に寄り添ったコンテンツ発信が欠かせません。

株式会社プレジデント社(以下、プレジデント社)は、CDPを活用して顧客の趣味嗜好に合致したメールマガジンの配信に取り組んでいます。読者に寄り添うOne to Oneコミュニケーションの取り組みを、同社カスタマーマーケティング部の稲垣智彦氏が紹介しました。

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稲垣 智彦

稲垣 智彦 氏

株式会社プレジデント社

カスタマーマーケティング部

デザイン制作会社のシステム管理者 /営業/役員、B2Bマーケティング/SFA支援会社のコンサル/営業、Saas型HRソフトウェアのカスタマーサポート部門 Mgrを経て、2019年プレジデント社に入社。自社WEB媒体会員のB2C施策全般を行っている。

<目次>

メールマガジンにおけるCDPを活用したOne to One施策とは

ビジネス誌『PRESIDENT』や食の情報誌『dancyu』を発行するプレジデント社。紙媒体以外にもWebメディア「PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)」を展開している。

プレジデントオンラインの人気記事を紹介するメールマガジンが「PRESIDENT NEWS(プレジデントニュース)」だ。日曜日を除き毎日配信している。「記事を読みたい」という動機で登録している会員が多く、配信されたメルマガからプレジデントオンラインのサイトを訪れて回遊を始めるユーザーも多い。プレジデント社のWeb戦略上、重要な媒体だ。

今回紹介するのは、この「プレジデントニュース」における顧客との「One to Oneコミュニケーション」のためのCDP活用施策だ。

※以下、「プレジデントニュース」を「メルマガ」と表記する。

すべての読者に同じ内容・一括配信では、成果があがらない

プレジデント社では、各種Salesforceツールとの連携体制構築のため、2019 年にTreasure Data CDPを導入した。CRMで取得・管理している会員データとTreasure Data CDPで取得したアクセスログや趣味嗜好の情報をファーストパーティCookieで紐づけ、それをMAに連携してメール配信に活かすという仕組みだ。

しかし、この新体制構築と同時期にメール配信システムの置き換えも行っており、その操作習得に手一杯で導入初期にはCDPを活用しきれていなかったという。CDPによるターゲットセグメントを活用していたのは広告メールのみで、メルマガではすべての会員に同一内容を一括配信していた。その結果、メルマガの開封率・クリック率は伸び悩んでいた。

導入初期の問題点

新しい配信システムにも慣れた頃、稲垣氏らは次のステップへ進もうと考えた。そこで、どのようにメルマガの開封率やクリック率を伸ばしていくべきかをトレジャーデータのカスタマーサクセスに相談したのだ。

両者は打ち合わせと検討を重ね、解決策を探した。そして2020年度から始まったのが、次に紹介するOne to Oneのメルマガ配信施策だ。

興味・関心によって、読者を7カテゴリに分類

同内容の一括配信から脱却し、個々の読者に寄り添った内容でメルマガ配信を行うために、まずは興味・関心によって読者を分類することから始めた。

Treasure Data CDPに収集・蓄積されたWeb行動データからは、その読者がプレジデントオンラインのどの記事を閲覧したかが分かる。さらに滞在時間やアクセス回数、記事の精読率も加味して分析することで、興味のあるジャンルの傾向が見えてくる。

稲垣氏らはこの傾向によって読者を「ビジネス」「政治経済」「マネー」等の6つのカテゴリに分類し、データに明確な偏差が現れなかった場合は、7番目の「ノンカテゴリ」とした。

このセグメント(分類)を基に、それぞれの関心に合致したメールコンテンツを作成・配信する。

Treasure Data CDPで収集された読者の嗜好性データ

読者の興味に応じて配信するOne to Oneなメールマガジン

メルマガでは2日前に高いアクセスがあった6記事と、過去1週間で人気が高かった5記事を「おすすめ」として紹介している。以前はアクセスランキング順に記事を選び、すべての読者に同じ記事を紹介していた。

しかし、より読者の興味に寄り添った内容にするため、セグメントによって紹介する内容に手を加えた。

例えば、1番アクセスが 多かったのが「マネー」カテゴリの記事だったとしても、「政治経済」に興味のある読者に送るメルマガでは「政治経済」カテゴリの記事を「一番おすすめ」として表示する、といったものだ。

その結果、開封率とクリック率は大幅にアップした。

読者の嗜好に基づいたメールコンテンツの作成

その他に、7日間訪問のないユーザーをセグメント化し、再訪を促すメールを配信する施策等も行っている。

さらにメール作成を自動化し、ミスなく効率的に

メルマガの内容を読者の興味関心に沿ったものにする取り組みにより、開封率とクリック率は大幅にアップした一方で、新たな問題も浮かび上がった。

カテゴリによって内容を分けたことで、メールの内容を作成する人的コストが増えた。今まで1種類だったものが7種類になったので単純計算で7倍だ。それに伴い、ミスが起きるリスクが増えてしまった。

読者に寄り添った施策の実現

そこで2021年度から始まったのが、それまで手作業で行っていたメール作成を自動化する取り組みだ。

現在プレジデント社では、Treasure Data CDPから取得した情報を基に、Cookieベースの記事ランキングを作成している。それを興味関心のセグメントと共にMAに連携することで、セグメントに応じた7種類のメールを自動作成できる仕組みを構築した。

嗜好データの収集とメルマガ自動化を強力な連携で支えるTreasure Data CDP

当初の目的であったTreasure Data CDPとSalesforceツールとの連携は、「非常に簡単に行えた」と稲垣氏は話す。

プレジデント社の事例では、CDPとMA間の連携にSFTP(SSH File Transfer Protocol:SSHで暗号化された通信を行うプロトコル)を使用している。Treasure Data CDP側でもMA側でもこのプロトコルをサポートしているため、連携機能を開発する必要はない。ほぼクリックだけで設定が完了したという。

「1回の打ち合わせで、あれよあれよという間に作られた」(稲垣氏)

Treasure Data CDPには170以上の連携コネクタが用意されており、Salesforceツール以外とも容易に連携が可能だ。

Service CloudとMarketing Cloudの連携

自動化については、Salesforceツールだけでもやろうと思えばできないことはない。しかし記事サーバーを別途構築しなくてはならず、莫大な開発コストもかかる。自動化を検討していた当時の稲垣氏にとって、それは大きな課題だった。

それをトレジャーデータとの定例ミーティングで相談したことから「Treasure Data CDPを活用すれば、さほどコストをかけずに実現できる」との提案に発展し、今に至る。

人的コスト7割削減、開封率・CTRも向上

メルマガ作成の自動化以前は7カテゴリ分のメールを手動で作成していたが、自動化によってMA側のボタン一つでできるようになり、人的コストの70%を削減することができた。その分の時間を他の施策に割けるようになったため、インパクトは大きい。

また、読者の興味・関心別のメルマガを配信する取り組み全体を通して、開封率が5~7%、CTRが1.5~2%アップした。興味関心に合致したカテゴリのタイトルでメルマガが届くため、自然と開封率は高くなる。さらに、メルマガの内容も興味関心に沿った記事がおすすめされているため、記事を上から順にクリックしていく読者も増えた。

メルマガからサイトを訪問し、読者が迷いなく回遊を始められる。そうした体験を提供できるようになったことが非常によかった、と稲垣氏は話す。

今後もより良いOne to Oneを探求していく

CDPで取得したさまざまなデータを積極的に活用し、今後も引き続き精緻な読者傾向を探求していきたいと、稲垣氏は展望を語る。また、読者傾向のデータをパッケージ化して広告主やその他企業へ向けて提供する構想もあるという。

プレジデント社のOne to Oneコミュニケーションは、さらに読者に寄り添ったものになっていくだろう。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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