薬の副作用よさらば デジタルヘルスが我々の健康を加速させる
最新テクノロジーが集うトレードショーとして、世界中のイノベーターが注視するCES2019。CESに7年連続で参加し、最先端のイノベーションとビジネスが交叉する未来をウォッチし続けているPLAZMAのプロデューサー、西村真里子氏による、現地からの速報記事をお送りします。
当第二弾記事では、本番スタートに先立ってCESを主催するCTA(Consumer Technology Association)がメディア向けに発表したテックトレンドと、その年の優秀プロダクトに授与されるCESイノベーションアワード受賞作品が展示される「CES 2019 Unveiled」イベントから、デジタルヘルス領域にフォーカスします。
デジタル化の流れは医療も変化させる
CES 2019のテックトレンドには、5G、人工知能、スマートホーム、自動運転とともにデジタルヘルスが含まれている。あらゆるものが「Internet of Things」から「the Intelligent of Things(より賢いモノとコトのつながり)」へと進化する際には、家庭と医療機関のつながりも賢く強化される。
デジタルセラピーやリモート医療についてはCESでもここ数年ウェアラブルデバイスを中心に話題になっていた。今年はFDAやCMEなどアメリカ公的機関公認のウェアラブルデバイスやプログラムなども出始めている。つまりは一般国民に安心して使ってもらえるプロダクトが出始めここから普及が進む可能性が高い。
FDA認可済みウェアラブル – オムロン
オムロンヘルスケアがCES期間中にコンシューマープロダクトとして初のウェアラブル血圧計を発売開始する。心臓発作や脳卒中を未然に防ぐ「HeartGuide™」は、FDA認可という公的機関のお墨付きを経て市場に出ていくが、これからのウェアラブルデバイスは最大公約数ではなく、特定のニーズにあわせて展開されていくことになるだろう。
痛みをデバイスで抑え、薬いらずの時代へ
同じくFDA認可を受けた製品としてTivic Health Systems社の「ClearUp」も展示されていた。バイオ電子ソリューションで花粉症による頭痛などに対処し、デバイスを顔に当てることにより緩和させるプロダクトである。印象的だったのは、このようなデバイスが出てくると薬を飲まずに治療することができるようになるため薬の副作用から人間が開放されるようになる、という言葉だった。治療の際には薬の服用から、バイオ電子デバイスを活用するシーンもこれから増えてくるかもしれない。
デジタルヘルスケアのメリットは薬の副作用からの開放だけではない。デバイスを通じた医療機関とのデータのやりとりが可能になると日常的に健康状態をチェックすることが可能になり、いわゆる未病対策にもなる。
デバイスの進化だけではなく、医療機関とのデータのやり取りなど新たなルール作りも必要になるが、2020年からの「データ時代」に向けてCES 2019ではデジタルヘルスも注目の領域である。