三井不動産の新規事業「ワークスタイリング」が展開するデータドリブンマーケティングとは
CASE STUDY|三井不動産株式会社
ビルディング本部ワークスタイル推進部 髙木 諒平 氏
DX本部DX二部 矢倉 和雄 氏
1941年に設立された総合デベロッパーである三井不動産。オフィス、商業施設、ホテル、ロジスティクス、住宅、街づくりなど多岐に渡る分野で様々な事業展開を行っており、近年はテクノロジーを活用して不動産業そのものをイノベーションすることを長期経営方針のひとつに掲げ、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる。
中でも、その推進役となるDX本部は、「事業変革」と「働き方改革」という2つの注力分野を掲げ、セキュリティ、人材育成、そしてデータ活用などを推進。社内を横断して会員基盤を構築するためのプラットフォームとして「Treasure Data CDP」を導入している。
では、具体的に同社の事業のなかで、どのようなデータドリブンが実現しているのだろうか。三井不動産で新規事業「ワークスタイリング」のマーケティングを担当しているビルディング本部ワークスタイル推進部の髙木諒平氏と、髙木氏とタッグを組み同事業のデータ活用を推進しているDX本部DX二部の矢倉和雄氏が『三井不動産が新規事業「ワークスタイリング」で取り組むデータドリブンマーケティング』と題した講演を行った。
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髙木 諒平 氏
三井不動産株式会社 / ビルディング本部ワークスタイル推進部
大学卒業後三井不動産株式会社に入社、住宅事業の開発業務に従事。2018年より現所属。2017年4月にサービスを提供開始した法人向け多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリング」事業のマーケティングを担当。プロモーション、ブランディング、マーケティング、ソフトサービス開発に従事。
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モデレーター:矢倉 和雄 氏
三井不動産株式会社 / DX本部DX二部
マーケティングリサーチ会社にて消費者データ分析業務やパネルデータサービス、AIを活用したソリューションサービスなどの新商品企画/立ち上げ業務などを担当。2019年三井不動産株式会社に入社し現所属。三井不動産グループのデータ活用推進やデータ分析、デジタルマーケティングなどの業務に従事。
全国で600社15万人が利用する「ワークスタイリング」とは?
まずは髙木氏が、今回のテーマとなる法人向け多拠点型サテライトオフィス事業「ワークスタイリング」について説明した。
「ワークスタイリング」は2017年にサービスを提供開始。法人限定のサービスで、企業が契約するとその従業員が従量課金制で全国約80拠点のサテライトオフィスをどこでも利用可能になるというものだ。
個人での業務、グループでの業務、会議や研修など様々なニーズに対応できる充実したビジネス環境と有人管理による衛生管理やセキュリティを提供し、企業にとっては利用した社員のリアルタイムな労務管理も可能。在宅勤務のワークスペース、会社付近での打ち合わせ場所、取引先との中間協業拠点、出張先での業務拠点など様々な用途で利用されており、現在では契約企業数600社、会員従業員数は約15万人のサービスにまで成長した。
「今後も、働き方に合わせて自由に働く場所を選べるような環境を整備すべく、サービスの拡充を進めていきたい」(髙木氏)。
BtoBとBtoE、ふたつの観点からデータドリブンマーケティングを実現
では、同社では、この「ワークスタイリング」の事業においてどのようなデータドリブンマーケティングの施策を展開しているのだろうか。
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1941年に設立された総合デベロッパーである三井不動産。オフィス、商業施設、ホテル、ロジスティクス、住宅、街づくりなど多岐に渡る分野で様々な事業展開を行っており、近年はテクノロジーを活用して不動産業そのものをイノベーションすることを長期経営方針のひとつに掲げ、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる。
中でも、その推進役となるDX本部は、「事業変革」と「働き方改革」という2つの注力分野を掲げ、セキュリティ、人材育成、そしてデータ活用などを推進。社内を横断して会員基盤を構築するためのプラットフォームとして「Treasure Data CDP」を導入している。
では、具体的に同社の事業のなかで、どのようなデータドリブンが実現しているのだろうか。三井不動産で新規事業「ワークスタイリング」のマーケティングを担当しているビルディング本部ワークスタイル推進部の髙木諒平氏と、髙木氏とタッグを組み同事業のデータ活用を推進しているDX本部DX二部の矢倉和雄氏が『三井不動産が新規事業「ワークスタイリング」で取り組むデータドリブンマーケティング』と題した講演を行った。
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髙木 諒平 氏
三井不動産株式会社 / ビルディング本部ワークスタイル推進部
大学卒業後三井不動産株式会社に入社、住宅事業の開発業務に従事。2018年より現所属。2017年4月にサービスを提供開始した法人向け多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリング」事業のマーケティングを担当。プロモーション、ブランディング、マーケティング、ソフトサービス開発に従事。
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モデレーター:矢倉 和雄 氏
三井不動産株式会社 / DX本部DX二部
マーケティングリサーチ会社にて消費者データ分析業務やパネルデータサービス、AIを活用したソリューションサービスなどの新商品企画/立ち上げ業務などを担当。2019年三井不動産株式会社に入社し現所属。三井不動産グループのデータ活用推進やデータ分析、デジタルマーケティングなどの業務に従事。
全国で600社15万人が利用する「ワークスタイリング」とは?
まずは髙木氏が、今回のテーマとなる法人向け多拠点型サテライトオフィス事業「ワークスタイリング」について説明した。
「ワークスタイリング」は2017年にサービスを提供開始。法人限定のサービスで、企業が契約するとその従業員が従量課金制で全国約80拠点のサテライトオフィスをどこでも利用可能になるというものだ。
個人での業務、グループでの業務、会議や研修など様々なニーズに対応できる充実したビジネス環境と有人管理による衛生管理やセキュリティを提供し、企業にとっては利用した社員のリアルタイムな労務管理も可能。在宅勤務のワークスペース、会社付近での打ち合わせ場所、取引先との中間協業拠点、出張先での業務拠点など様々な用途で利用されており、現在では契約企業数600社、会員従業員数は約15万人のサービスにまで成長した。
「今後も、働き方に合わせて自由に働く場所を選べるような環境を整備すべく、サービスの拡充を進めていきたい」(髙木氏)。
BtoBとBtoE、ふたつの観点からデータドリブンマーケティングを実現
では、同社では、この「ワークスタイリング」の事業においてどのようなデータドリブンマーケティングの施策を展開しているのだろうか。
髙木氏は、「企業=法人向けの契約促進の施策(BtoB施策)と、契約社従業員=個人向けの利用促進(BtoE)の両面が必要」と指摘する。
この2つのアプローチにおいて重要な役割を果たすのが、データ基盤である「Treasure Data CDP」と、BIツールである「Tableau」であると、矢倉氏は説明する。具体的には、会員情報、利用企業情報、従業員の利用実績、アンケートの回答といった会員に紐づくデータと、広告接触履歴、Webサイトのアクセスログ、問い合わせなどのWeb上の行動履歴を「Treasure Data CDP」で統合管理した上で、可視化したデータを「Tableau」を通じて顧客理解に活用していくというプロセスを踏む。
その活用事例のひとつが、「ワークスタイリング」の施設を利用するために必ず利用する必要がある会員サイトのUI、UX改善だ。この会員サイトは、施設を利用するユーザーとの最も大きな接点となるため、その利便性を最大限高める必要がある。その実現のために、データを活用して顧客の利用状況を徹底的に分析した。矢倉氏によると、具体的にはサイト解析、ヒートマップ分析を行いユーザーがサイト内のどのような機能を利用しているかを分析。加えて、ユーザーが様々な機能を利用する過程=カスタマージャーニーを分析し、そこから生まれた発見をサイト改善に活用したのだ。
なお髙木氏によると、ユーザーの利便性向上のために「ワークスタイリング」ではLINEとの連携を実現。会員サイトの機能をLINE上でも利用できるようにサービスを拡充した。
データドリブンマーケティングはオフラインへも展開
髙木氏によると、「ワークスタイリング」の事業ではオンライン施策だけでなくオフラインの利用促進にもデータを活用しているという。具体的には、Treasure Data CDPに蓄積されたデータを分析して施設ごとの利用状況を定量的かつリアルタイムに把握。仮説検証を行い、サービスの品質向上施策、利用促進施策、新規拠点開設の検討などに活用している。
これらの施策を支えるデータ基盤であるTreasure Data CDPについて、矢倉氏は「データのアクセス権限などを細かく設定でき多事業・多システムのデータを活用しやすい点」「多くのツールとのコネクタが用意されているため既存システムとの連携が容易である点」をメリットとして指摘。特に後者については「事業形態が多い分、接続するサービスも多いため、(Treasure Data CDPによって)開発コストを抑え、スピード感を持ったデータの連携・分析を可能にしている」(矢倉氏)。
データドリブンマーケティング推進に必要な3つのポイント
最後に、矢倉氏が「ワークスタイリング」におけるデータ活用の取り組みについて、そのポイントを解説した。矢倉氏はデータ活用推進のポイントについて、
- データ分析体制の内製化
- データの民主化による意思決定時間の短縮
- 日々の会話を増やして提案を続ける体制
の3点を挙げた。
「データ分析体制の内製化」のメリットについて、矢倉氏はデータ分析の知見や個々のデータが持つ特徴などのナレッジを社内に蓄積することができる点や、社内での連携でデータ活用を推進できるためコミュニケーションロスを最小限にし、データ分析施策の企画からアウトプットまでの対応スピードの高速化を実現できる点などを挙げる。
加えて、「データの民主化による意思決定時間の短縮」については、これまで基幹システムに蓄積され事業部門でもアクセスできなかったデータにTreasure Data CDPを活用して簡単に利活用できるようになったことで、事業の担当者が分析や示唆の発見を自由にでき意思決定のスピードが高速化するというメリットを挙げた。
そして、最後に挙げたポイントは「日々の会話を増やし、提案を続ける体制」というものだ。矢倉氏によると、事業部門とDX部門のコミュニケーションが少ないと、事業部門はDX部門にできることが理解できず、DX部門は事業部門がどのような課題を抱えているのか相互に理解できないという状況に陥ってしまいプロジェクトが前進しないというデメリットがあるのだという。一方、相互のコミュニケーションが多い場合には事業部門は相談する内容の精度が向上し、一方DX部門では事業部の課題を理解した上で企画を検討できるのだという。
「継続的に双方より提案を続ける、提案を受け入れる関係性作り、体制作りをすることで、DX部門から意識的に事業課題に関心を持ち、提案を続けていくことが重要だ。当然のことだと感じると思うが、意識的に続けていかなければならない重要なポイントだ」(矢倉氏)。
髙木氏は最後に、「近年、これほどまでに急速に大きく働き方が変化した年はない。人々のニーズを捉えて、新しい働き方を提案していくためには、データに基づいたスピーディな仮説検証、PDCAサイクルの構築が不可欠だと考えている。そのためにも、今後『ワークスタイリング』ではデータドリブンマーケティングを引き続き推進していきたい」と締めくくった。