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メディアデータの活用に挑戦し続けた10年間 失敗と成功の先に

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株式会社日本ビジネスプレスは2013年からトレジャーデータのサービスを導入、メディアが保有する膨大なデータを収集、格納し、急速な変化を続ける業界において、ビジネスの成長をデータドリブンで行ってきました。PLAZMA30では、10年間Treasure Data CDPを運用されてこられた歴史と経験、そして豊富な事例から、データ活用の要諦についてお話しいただきました。

<スピーカー>

鵜山 雄介氏
株式会社日本ビジネスプレス
メディアビジネス本部 メディアビジネス事業部 マネージャー

富部 大樹氏
株式会社日本ビジネスプレス
メディアソリューション本部 企画推進部 副部長 兼 データサイエンス部 Contents Data Analyst

(本記事は、2023年9月23日に開催されたPLAZMA30の内容を抜粋、編集して執筆しています)

<目次>

日本ビジネスプレスが取り組む3つの事業

富部氏: それでは「メディアデータの活用に挑戦し続けた10年間、失敗と成功の先に」というタイトル、弊社の10年に渡るTreasure Data CDP活用の歴史の中で、導入の背景や実際の活用例についてお話しいたします。まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。鵜山さん、よろしくお願いします。

鵜山氏: 日本ビジネスプレスの鵜山と申します。本日はよろしくお願いいたします。私は主に、弊社システムを利用されているメディア様のビジネスサポートを担当しています。会社設立から2年目に入社して、Treasure Data CDPの導入に携わり、データを活用した広告商品の運用や分析を担当してきました。本日は導入の経緯や背景についてお話できればと思います。

富部氏: 私はもともと、広告会社でBtoB企業クライアントの担当営業に従事していました。弊社に入社したのはおよそ9年前ですが、その際も広告を扱う営業部署に配属されています。4年前ほど前からTreasure Data CDPの運用に携わり、現在は主に広告施策や自社メディアの分析など、データに関わる業務にて活用しています。

続いて弊社事業のご紹介をさせていただきます。日本ビジネスプレスは大きく3つの事業に取り組んでいます。メイン事業である「自社メディアの運営」の他、メディアやパブリッシャー向けのシステムコンサルティング会社という側面も持っています。簡単にですが、それぞれの事業についてご紹介いたします。

まずメディア事業です。マネジメント層を中心としたビジネスパーソン向けのWebメディアを運営しています。

メディア事業説明資料

創業まもなく「JBpress」というビジネスメディアを立ち上げました。近年では、DX化や企業変革に役立つコンテンツを配信する「Japan Innovation Review」や、ビジネスパーソン向けライフスタイルメディア「JBpress autograph」を立ち上げたり、書籍や電子書籍発行、コンテンツのサブスクリプション(サブスク)配信サービスを運営したりと、幅広くメディアに関わる事業を行っています。

続いて、メディア向けのコンテンツメディア支援事業です。

コンテンツメディア支援事業説明資料

新聞社や出版社が自社メディアを構築、運営するための、ITインフラ提供等を行う事業です。メディア運営に特化したCMS「Media Weaver」を開発し、現在では70を超えるメディアに活用いただいています。さらに、構築済みメディアの収益化支援やサイト改善など、健全なメディア運営を行っていけるように様々な側面からの支援を行っています。

最後に、広告主向けのマーケティング支援事業をご紹介します。

マーケティング支援事業説明資料

主に自社メディアを活用して、企業様の課題解決のための様々な広告施策やマーケティング施策を提供しています。自社メディアだけではなく、外部のメディアとの協業や、時にはオンラインの枠を超えてオフラインのイベントプロモーション等もプランニングができるのが弊社の特徴です。特に近年はBtoBビジネスを展開する企業からの引き合いが多く、DXなどをテーマにしたオンラインセミナーを年間80回ほど開催する中で、協賛企業も増えています。

歴史から紐解くTreasure Data CDP導入の背景

富部氏: 日本ビジネスプレスでは、Treasure Data CDPを10年にわたり活用しています。導入当初の背景やこれまでの活用の経緯等を、導入時から携わる鵜山よりお話しします。

鵜山氏: Treasure Data CDP導入の背景と歴史を、年表を元にご紹介します。

Treasure Data CDPの導入背景と歴史説明資料

創業の2008年頃は、アドサーバーの配信システムGoogle Ad Managerの前身となる「DFP」が発表されたタイミングでした。日本でRTB取引と呼ばれるオークション形式の取引が普及し始めたころです。広告の仕組みやシステムが大きく変化を始めだした時期だったと感じています。
2012年にトレジャーデータの日本法人が設立されました。弊社はその翌年、2013年にトレジャーデータ社のサービスを導入しました。当時のメディア業界においては、導入の先駆けだったと聞いております。

導入した背景について。日本ビジネスプレスは、自社が各メディア様にシステムを提供しているがゆえに、様々なテクノロジーを用いてメディアビジネスをスケールアップさせることに積極的な姿勢でおります。それゆえ、Treasure Data CDPのような先進的なシステムを導入することに対して前向きに検討できる企業だったと言えます。当時から、代表がシステムやデータに興味を持っており「Treasure Data CDPという面白いものがあるから使ってみよう」といった感じでした。代表なりの導入目的はあったと思いますが、私に対しては特に縛りなく、目的や利用方法を自由に設定させて頂けました。「新しいものを取り入れていく」という企業姿勢からTreasure Data CDPの運用が始まりましたので、私としてはやりやすかったですね。

Treasure Data CDPを導入してよかったのは、「メディアで生まれる膨大なデータを全て蓄積できる上に、そのデータの活用方法を柔軟に設計できる」という点です。Treasure Data CDPではデータベース言語のSQLを活用しないとデータが取り出せない、という点は導入当初に苦労したポイントでしたが、どのようなデータの取り出し方も設計方法によって可能になる、柔軟性を持ったツールと言うこともできるでしょう。

その後、インターネット広告費が1兆円を超え、広告予算がスマートフォンにシフト、広告業界の変化に合わせて、業界全体でデータ活用への動きが活発になりました。まず弊社はターゲティング広告へのデータ活用を考えました。しかし、アドサーバーとの連携の難しさや、広告配信時にターゲティング可能な母数が少ない等の課題から商品化しづらく、頓挫しました。ターゲティング母数を増やすためにデモグラフィックの推計も試みましたが、ターゲティング精度があげられず途中で断念した経緯もあります。

いっぽうで、タイアップ記事を閲読したユーザーをメディアやクライアントサイトの動きを横断して分析してクライアントに報告したところ、好評いただけました。それが、Treasure Data CDPを活用したオリジナルな広告商品を提供する契機になったと実感しています。

2017年にAppleのITP1.0実装、2018年にはGDPRが施行され、世間におけるCookieに対する規制が強まりました。更にアドフラウドやアドベリフィケーションといったネット広告詐欺への世の中の注目も高まり、データの安全性を担保することの重要さが広まりました。この頃からヘッダービディングの普及も徐々に浸透しました。ネットワーク取引はデータ活用の時流の中、更に加熱しました。弊社もデータの取り扱いに関してはかなり気を使うようになりましたが、Treasure Data CDPはデータ活用を行う上で、サポートやセキュリティ部分も担保されているのが非常に優れた点と言えます。

2020年。国内で初めての新型コロナの感染者が確認され、社会活動の変化が起きたのは周知のことかと思います。リアルイベントがオンラインにシフトするのに対応し、クライアント向け広告商品としてオンラインセミナーの提供を充実させるようにしました。オンラインセミナーの視聴ユーザー情報の紐づけなど、データマッチングを行う上でも、Treasure Data CDPを活用することができたので、時代や社会の変化に素早く適応できたのも大きな利点でした。

直近ではChatGPTやAI等の技術がローンチされ、改正電気通信事業法等の規制強化、2024年にはGoogleがサードパーティCookieを廃止する等の変化が起きていきます。特にAIの台頭によってデータ活用のハードルはかなり下がったため、新たなデータ活用方法は見いだしやすい状況だと思います。以前挫折したデモグラフィックの推計も、人力だと予測用のパラメータを5個程しか設定できませんでしたが、AIを活用すれば自動的にパラメータ抽出や設定が可能になります。現在、再び挑戦すれば上手くいくような施策が増えてきたので、これからますますデータ活用の方法と幅が広がっていくと考えられます。

Treasure Data CDPの導入背景と歴史説明資料

一方で、著作権問題をはじめ、メディア側の立場として、AIとどう向き合っていくのかも課題となっています。日進月歩の世界で、AI等の技術の登場により、更に世界の変化が加速していくことでしょう。新たなチャレンジをしていく上で、よりスピード感と適応能力が求められていく時代になっていきます。そのような時代に、柔軟性を持ったTreasure Data CDPの活用が適応の鍵になると実感しています。

データ活用で企業施策の「一手先」を読む

富部氏: 続いて、Treasure Data CDP活用事例についていくつかご紹介します。現状で、Treasure Data CDPに蓄積しているデータの種類を図にまとめました。

Treasure Data CDPに蓄積しているデータ資料

格納データの一例として、メディアへのユーザーアクセスログや閲読履歴、弊社が開発したCMSから投稿された記事のURL、タイトル、公開日などの記事単位での情報等があります。また、外部から取得したIPアドレスから判定できた企業の情報、メディア会員の業種、部門、役職等の属性情報、年齢、性別、そういった機密情報もTreasure Data CDPに格納しています。直近だと、メディア内にオンラインセミナー等の動画コンテンツが増加しました。それにあたり、ユーザーの動画視聴ログもTreasure Data CDPに格納、蓄積するようになりました。

では、このようにTreasure Data CDPに収集されたデータをどう活用しているかを、事例を元に紹介いたします。会社紹介でもお伝えさせていただいたように、弊社は自社メディアを活用した広告施策を提供していますので、その広告施策のレポートをいくつかご紹介します。

1つ目の事例ですが、某自動車メーカーの新規機種のプロモーションを行う上でタイアップ広告を実施した際の事例です。

広告施策のレポートとしての活用資料

タイアップは、いわゆる記事広告とも言われるようなコンテンツ型の広告です。掲載は「JBpress autograph」で行いました。タイアップ実施期間で、今回のタイアップの読者とメディア全体の読者がそれぞれどのような記事を読んでいるのかを分析、比較を行いました。「JBpress autograph」は大きく5つの記事カテゴリーに分類されていますが、データからは多くのタイアップ記事の読者が、「デザイン」カテゴリーの記事を読んでいることが分かりました。

そのデータをさらに詳細ジャンル別に見ていくと、「デザイン」カテゴリー内の「ファッション」というジャンルの記事についての閲読割合が、かなり高い傾向ででました。この分析で、タイアップ広告の読者はファッションに関心が高いという事実と、今回の訴求対象となった車種やプロモーションとファッションの親和性が高いということが導き出せました。こういった分析結果は、次のコンテンツ企画や他のマーケティング活動で活用できると考えることが可能です。

次はBtoB向け科学機器メーカーの事例です。研究検査用機器というあまり一般の生活者に馴染みがない商材を扱っているメーカー企業のブランディングを目的に、「JBpress」で特集サイトを展開しました。中長期的に、世の中全体の潜在層に向けて、商材やサービスの認知を図り啓蒙していくとなった場合に、弊社とクライアントが一緒になってこのような特集サイトを作っていきます。

広告施策のレポートとしての活用資料

この特集サイトのリリース後に、公開中の時期と公開1カ月前の時期、公開1年前の時期で比較分析を行いました。それぞれの期間でJBpress内の「科学」カテゴリー記事の閲読数を分析してみたところ、特集を実施した期間で、大幅に「科学」カテゴリー記事が読まれていることが判明しました。また、この特集サイト内の記事以外で、「科学」カテゴリーの通常記事が多く読まれていたのです。

この科学機器メーカーは特集記事を通して、ユーザーにサイエンスジャンル全体に興味関心を抱いてほしいという目的から特集企画を実施したので、その目的を達成できたことがわかります。この特集からクライアントの自社サービスおよび自社そのものをアピールする土壌づくりを進めることができたのでは、と実感しています。

続いて、特定の読者におけるメディア内記事閲読履歴を時系列で抽出したサンプルです。とある大阪府在住の学生の閲読履歴データとなりますが、金融機関向けにシステム開発を行う企業が、採用を目的として弊社メディアで展開していた特集サイトを訪問していることが分かっています。また、この特集サイトへの来訪頻度が非常に高い方でした。

広告施策のレポートとしての活用資料

採用目的の特集サイトですので、学生に閲読されていることはもちろん喜ばしいことです。更に特集記事以外で記事の閲読内容データを追っていくと、この学生は金融業界の中でも特にDX化やデジタル化に関わる記事を多く読んでいることも分かりました。このデータから、この学生はおそらく金融業界に興味があり、中でもデジタルトランスフォーメーションに対してチャレンジしていけるような職種に興味があるのでは、といった推測が可能となります。

このようなデータを企業に提出することで、記事の適切なターゲティングができていることを伝え、ターゲットが興味を持つような特集を企業と共に展開していく動きに繋げることができるようになりました。

広告施策のプランニング提案と計測活用例

富部氏: 続いての事例です。実際の広告レポートとは異なりますが、広告主がプランニングを行う際にお見せしているものとなります。弊社はメディアのユーザーアクセスログ等のデータを潤沢に持っており、そのデータの活用も可能です。例えば図内左側ですが、これは月ごとの、「自動車保険」というキーワードが含まれている記事の掲載本数と、記事の読者数をグラフにしたものです。

広告施策のプランニングとしての活用資料

2021年4月を見ると、記事本数自体はそこまで多くないのにも関わらず、ユニークブラウザベースの読者数がグンと上がっていることが分かります。ここから読み取れるのは、時期によって「自動車保険」をテーマした記事に対する読者側のニーズが非常に高まるということです。仮に自動車保険の広告出稿をするとなれば、そのテーマに対しての読者のニーズが高い傾向にある4月に広告を出せば高い効果を得られるということが推測できます。

図内右上のワードクラウドは、過去6カ月間でJBpress内の「キャリア・スキル」ジャンルで閲読数の多い記事に含まれているキーワードで形成されております。このキーワードのサイズが大きいほど、ユーザーからよく読まれている記事に含まれるキーワードであることを指します。これらのデータを根拠に、採用広告を出したいという広告主に対して、どのようなキーワードにターゲットが興味を持つのかを伝えることができます。広告内にメッセージを織り交ぜながら、興味関心を持ってもらえるような広告施策を提案することも可能です。

最後に、右下のグラフについてです。このグラフはDX関連の記事キーワードとして挙げられた企業名が含まれた年間の記事本数を示したものです。このデータから、このDXというテーマやジャンルで、どういった企業がメディアに多く取り上げられているのかが把握できます。つまり、DXというキーワードがホットになることで注目度が上がっている企業がわかります。仮に、あるテーマで自社プロモーションを行いたいとなった場合に、このグラフのようなデータに基づき、テーマに対する競合他社との注目度の差異や、自社のポジショニングについて知ることができます。広告施策の実施後にポジショニングの変動具合も確かめることも可能です。

正しい計測と分析でコンテンツの質を向上させる

富部氏: 広告以外の施策についてもご紹介します。このデータは弊社が運営する「Japan Innovation Review」で活用しているサンプルデータです。「Japan Innovation Review」には、記事内で2ページ目以降に遷移する際にログインや会員登録が必要な記事が多くあります。

メディア運営への会員登録、記事の編成計画活用資料

会員登録は記事経由で行われることが非常に多いため、会員登録の直前に閲読した記事と、登録後の会員情報をまとめて、Treasure Data CDPから抽出して活用しています。例えば、図内の「日本ビジネスプレス◯◯氏に聞くCDP活用」というタイトルの記事部分をご覧ください。この記事経由で会員登録を促進できていることがわかる一方で、記事で取り上げている「日本ビジネスプレス社」のみの会員登録になっていることも分かります。もちろん、取材先企業から登録が増えていることは決して悪いことではありません。しかし、単に会員登録の「数」だけを見てしまうと、記事が持つ本来のパフォーマンスを見誤ってしまう可能性があります。このような登録者の企業名や属性という点を照らし合わせながら分析することで、記事をしっかりと評価することができるようになると思います。

別のサンプルデータも取り上げさせていただきます。

メディア運営への会員登録、記事の編成計画活用資料

弊社メディア内でも実際に掲載されている2024年問題への対応についての記事ですが、この記事を経由して多くの物流業界の方に会員登録をしていただいていることが分かります。このデータから、2024年問題が物流業界全体で大きな関心事化していることが分かりますし、今後もこのトピックについての記事を掲載することで、多くの特定業種の方からの会員登録が行われることが期待できます。

こちらは、セブン&アイ様のサステナビリティ活動を取り上げた記事についてのデータです。

メディア運営への会員登録、記事の編成計画の活用資料

同業の小売企業の方々から多くの関心が寄せられていることや、会長や社長等の役員の方々がこの記事を読んでおり「経営層によく読まれている記事である」という記事が持つ本質的なパフォーマンスがこのデータから分かります。

このように、どのような人がどの記事に関心を持つのか、ということを読み解くことができます。総合的な判断は複数の計測ツールにおける観測結果を含めて行いますが、コンテンツの質を高めていく上での参考情報収集に、Treasure Data CDPは非常に有益なツールとなっています。

「事業をグロースさせる」目的を見据え、チャレンジし続ける

鵜山氏: 冒頭でお話ししたように、日本ビジネスプレスは10年間にわたりTreasure Data CDPを活用していますが、今まで沢山の失敗をしてきました。デモグラフィック導入を試みて挫折したり、クライアントサイト訪問者の企業情報や、興味関心についてのデータを紐づけしたレポートを自動的に閲覧できるようなサービスを提供しても、見せ方の部分で失敗して普及ができなかったり。いろいろと試した結果、失敗している数のほうが圧倒的に多いです。

その経験も踏まえて皆様に取り組んでいただきたいのは、とにかくまず試してみること。それが間違っていても、自分たちの経験や糧になっていくからです。例え失敗しても、いまのようにAIが登場した際に「もしかしたら再度チャレンジできるかもしれない」ということも考えられるというのは重要です。

富部氏: 私も実際に4年程データの使い方をいろいろ試して、トライアンドエラーを繰り返しています。そもそもデータ量が十分に貯まっていないと、試行の検証自体が難かったりもしますが、いろいろ試す環境があるというのは、データの活用の幅を広げることに繋がると実感しています。

では最後に2つ。こういったトレジャーデータとの取り組みを通じて、社内、特に私が所属している部署のメンバーに、更にデータ活用のイメージを膨らませていってほしいと思っています。Treasure Data CDPを更に活用していくために、現場が抱える課題や気づきから、データの使い方を広げていくためのヒントが得られるはずです。広告の施策、メディア運営問わず、データ活用について常日頃から意識して、社内から更に多くの意見をもらうべく、データ活用の浸透を行っていきたいと思います。

また、今回は広告の施策向けの活用方法や、メディアの中でのデータ活用という視点でお話してきました。「CDP」、つまりカスタマーデータプラットフォームの「カスタマー」ともいうべき読者の皆様に対して、還元可能なデータ活用方法を模索していきたい、というのが2つ目です。

鵜山氏: 今の富部の話にも関わってきますが、現在私はメディアのサポートをさせていただいているので、データを活用して回遊性とサブスクの両面を最適化させるメディア独自のレコメンドなども考えています。また、以前は失敗しましたが、有料課金になりそうなユーザーをスコアで判定して、そのユーザーに特別なオファーを出す等の施策はTreasure Data CDPを活用してどんどんチャレンジしていきたいと思います。

ただ、データを扱っている人間は、放っておくとどんどんミクロな世界に入って視野が狭くなってしまう傾向にあります。それゆえ、マクロな視点を持って、俯瞰して、「どういうことをしたら事業をスケールアップさせていけるのか」ということをまずしっかりと考えることが大切です。大きな方向性を軸として持ち、そこからぶれない範囲でデータを活用していくということをしないと、データの迷路に迷い込んでしまうことがあります。「事業をグロースさせる」という目的からぶれずに、マクロとミクロで視点を切り替えながらデータ活用を進めていくことが大事だと思います。

富部氏: データを取り巻く環境というのは日々変わっており、その中で私たちも引き続き多くのチャレンジが必要になっています。今後もトレジャーデータからいろいろと力を借りながら、様々な施策や取り組みにチャレンジしていきたいと思います。本日はご清聴ありがとうございました。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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