Treasure Data CDPを活用したVOC分析〜お客様の声でマーケティングを動かす〜
日本で初めて、有料衛星放送事業を開始した株式会社WOWOWがTreasure Data CDPを導入したのは2017年。それ以来データ分析やデジタル広告に活用し、現在では社内で収集するVOC(Voice of Customer:お客様の声)の分析にもTreasure Data CDPを利用しています。Webやアプリの行動ログなどと比べ敬遠されがちな「テキストデータ」の分析に、WOWOWグループは如何にTreasure Data CDPを活用しているのか、具体的な手法から効用までをご紹介いただきます。
<スピーカー>
横関 彩氏
株式会社WOWOWコミュニケーションズ
開発営業部 開発営業課 チーフコンサルタント
笠井 美里氏
株式会社WOWOWコミュニケーションズ
マーケティング部 データマーケティング課 データアナリスト
(本記事は、2023年9月23日に開催されたPLAZMA30の内容を編集して執筆しています)
<目次>
- 2017年から導入、Treasure Data CDPの3つの活用方法とは
- デジタルでは追い切れない「生の声」に価値がある
- データソースによって性質が変わるVOCを並列で分析する重要性
- Treasure Data CDPで取り組んだVOC活用の課題
- 形態素解析の精度を高める具体的フロー
- 「お客様の声」=VOCからマーケティングを推進する
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2017年から導入、Treasure Data CDPの3つの活用方法とは
横関氏: はじめに、当社WOWOWコミュニケーションズの紹介をさせていただきます。名前の通り、衛星放送のWOWOWを親会社に持つ会社です。税込み月額2,530円のサブスクリプションサービスである衛生放送のWOWOWは、映画・スポーツ・音楽・ドラマなど様々なジャンルの映像を放送している総合チャンネルです。
WOWOWコミュニケーションズは、WOWOWグループの中で、営業とマーケティング活動の最前線を担う役割を持っております。設立は1998年、当初はWOWOWのお客様との電話応対を担当するカスタマーセンター運用からスタートしました。現在ではデジタルマーケティングやデータマーケティングの領域まで、業務の幅を広げています。WOWOWグループ内でのマーケティング支援に加え、グループ内で得た知見や経験、実践してきた顧客理解を元に、グループ外のクライアントに対して、マーケティング支援活動も実施しています。おかげさまで現在は、外販クライアントからの売上が全体の60%を占めるようになりました。
改めまして、自己紹介をさせていただきます。私は現在、開発営業部のチーフコンサルタントとして活動をしております。2009年に新卒でWOWOWコミュニケーションズに入社し、最初はWOWOWカスタマーセンターなどコールセンターの業務からスタートしました。その後はWOWOWに出向し、営業や広告宣伝、プライベートDMPの構築、データ活用などを経験しました。このとき、実際にTreasure Data CDPを使用する業務を行ったことが契機となり、本日お話しさせていただく運びとなりました。現在は外販クライアントのコンサルティング業務に従事しております。
続いて笠井より自己紹介をさせていただきます。
笠井氏: データマーケティング部データアナリストの笠井美里です。本日はよろしくお願いします。私は2021年に、WOWOWコミュニケーションズへ中途入社しました。前職で得たシステムエンジニア経験を活かし、WOWOW DMPやWOWOW以外のクライアントにおけるデータ分析業務を主に担当しております。本日はよろしくお願いいたします。
横関氏: 講演の内容に戻ります。今回PLAZMAでお話する背景としてそもそもトレジャーデータとWOWOWグループがどういう関係性にあるのか、という点をお話しします。
2016年、WOWOWは社内で通称「WOWOW DMP」と呼んでいるプライベートDMPを導入しました。テレビ局として、当時初めてプライベートDMPを導入したのではないかと思います。その結果、WOWOWにご加入いただいている方々向けの施策展開が可能となりました。一方、「WOWOW加入者を増やしたい」という目的を達成する上で、未加入者の方々に向けた施策展開をしたいという思いがありました。2017年にCookieの領域にアプローチするにあたり、WOWOW DMPの一部としてTreasure Data CDPを導入したことで、加入検討ステータスに合わせて、未加入者向けの広告配信などの施策が実現しました。
冒頭でお話ししたように、WOWOWコミュニケーションズはWOWOW以外のクライアント支援も行っています。そのため、WOWOWコミュニケーションズも2022年よりTreasure Data CDPを導入しています。WOWOWコミュニケーションズのTreasure Data CDP活用方法は3点あります。1つ目はWOWOW以外の外販クライアントにおける分析支援への活用。2つ目は、WOWOWの顧客データ分析やクラスタリングの研究に対する活用です。本日お話するのは3つ目の活用方法です。WOWOW利用者の声、つまりVOC(Voice of Customer)からの気づきや発見にTreasure Data CDPを活用している事例をご紹介します。
デジタルでは追い切れない「生の声」に価値がある
横関氏: なぜVOCの分析にTreasure Data CDPを活用するに至ったのか? WOWOWが持つデータと背景からご説明します。WOWOWが使用しているデータは大きくわけてWeb/デジタルとVOCの2つがあります。
私たちも一般的な企業と同じように、オンデマンドの視聴ログや、アプリやWebサイトの行動履歴といったデジタルデータを収集、活用しています。一方でVOC、つまり「お客様の生の声」を、デジタルデータと同じくらい重要視しています。特にコールセンターや、アンケートで収集するフリーアンサーから、社員が様々なことを感じ取ってサービス改善を行っていくという活動を、今でも根強く行っています。VOCの重要度については、世間一般の企業と比較しても高いと実感しています。なぜそこまで高いかというと、WOWOWは有料衛星放送という、ネット専業ビジネスではないことがひとつの理由です。
加入者全体を俯瞰して見たときに、メールアドレスが特定できていてこちらから能動的にアプローチできる、いわゆるデジタル接点がある方々というのが、この図でいうと左側の青いセグメントだとすると、右側の赤いセグメントのような、アドレスが特定できておらず、接点が持てないような方々も現状多い実態があります。
100%のデジタル化ができないテレビという業態において、デジタル接点がない方をデジタル接点ありに完全に転換するというのはかなり難しいことです。VOCはデジタル接点がないお客様の情報も多分に含まれます。それをもって「WOWOWは本当のところどう思われているか」という情報を拾い上げなければなりません。
加えて、WOWOWが抱える近年の課題が2つあります。1つ目は、競合他社が大量に、ネットの世界に増えてきていて、お客様自身が触れる映像コンテンツが急増していることです。お客様のネットリテラシーや配信コンテンツに対するリテラシーはかなり高くなってきています。「WOWOWも同じように流行に乗ればいいのか?」、それとも「お客様は、もしかしたらWOWOWにWOWOWならではというコンテンツを求めているのではないか?」というように、お客様に本当に必要とされるコンテンツの見極めが難しくなっています。
2つ目の課題として、コンテンツを多く視聴している方々がWOWOWを解約しないかというと「必ずしもそうではない」という分析結果が、WOWOWオンデマンドの視聴ログデータから導き出されました。
お客様が番組を見ているという事実と、WOWOWとの契約を続けたい思うことは、別物になってきています。従来、番組を見ていれば継続の意思があるという認識で考えてきたのですが、どうもそういう世界ではなくなってきている、という実感があります。デジタルの視聴ログだけではなく、実際にWOWOWの番組を見て、お客様ご自身が何を感じ取ったかということを、VOCからお客様の感情を読み取るということが非常に重要な局面を迎えていると考えています。
データソースによって性質が変わるVOCを並列で分析する重要性
横関氏: では実際に、VOCがWOWOWでどのように活用されてきたかをお話ししたいと思います。WOWOWにおけるVOCは、コールセンターとアンケートの2つの種類があります。特に、コールセンターに集約されたVOCは、WOWOWの中で伝統的に最重要視されてきました。現在でも、前日コールセンターに集まったVOCが翌日の朝にエクセル形式で一覧化され、全社配布されるというのが業務の一部となっています。
アンケートから得るVOCは、定期アンケートや、ファン層に送付するアンケートが種類としてありますが、その回答が集計担当部門の業務上の都合で全社展開が行われない場合があるなど、コールセンターのVOCと比較すると若干重要度が低い現状があります。それを鑑みるに、VOCからお客様の感情を読み取ることが非常に重要になる、とお話ししましたが、VOCをマーケティングに活用する上で押さえておくべきなのは「データソースによってVOCの性質が変わってくる」ことだと思っています。
私たちが最も重要視しているコールセンターのVOCですが、そのデータはお客様からお電話でお話しいただいたことをオペレーターが代行入力しているテキストです。わざわざコールセンターに電話を掛けるという能動的なアクションを起こすことができるほど強い動機があるお客様の声ですので、集まるVOCは、緊急に対応を要するようなものや、強めの改善要望といった可能性が高いです。それゆえサービスに対してのネガティブな感情が多く含まれている、というのがコールセンターに集まるVOCの性質です。
一方、アンケートで集まるVOCは、WOWOWからお客様に対してアンケートに答えていただくようお願いしている性質上、回答に対してお客様は受動的になります。お客様からフラットな意見をいただくために、サービスの良し悪しや、この番組についてどう思うか、ということをフラットな聞き方を行います。そのため、傾向としてはポジティブな意見をいただける。これよかったよね、というような声が多分に集まったりします。主にアンケートからは「WOWOWのサービスはここを伸ばしていけばいい」という、伸ばすべきところを教えてくれるような性質を持っています。
実際に、それぞれのVOCに対してWOWOW社内でどのような反応が起きているかというと、例えばコールセンターのVOCから「Aというコンテンツ全然面白くないから編成を変えてくれ」という声が入った場合には、それを見た編成制作の人間は、「面白くなかったのか。テコ入れしないと」と判断することになります。このネガティブな意見は事実として存在していますが、アンケートで得られるVOCと並列で見た場合、賛否両論あることが分かります。
例えば若年層のお客様からは「Aというコンテンツは、WOWOWらしさはないけど結構好きだった」というような回答をいただいたり、逆に昔からのファンのお客様からは「ここを改善すればWOWOWらしさが出る」などの回答をいただいたりします。この内容に沿うならば、「若年層ターゲットには届いているが、古参のファンに向けて思いが届くように改善していこう」など、細かいチューニングを行う余地が出てくるかもしれません。コールセンターとアンケート、どちらのVOCも並列で確認できれば社内の判断や対応が変わりますし、様々なお客様の声を並列で見ないと判断を見誤る可能性があります。
Treasure Data CDPで取り組んだVOC活用の課題
横関氏: VOCの分析においてTreasure Data CDPをどのように活用したかという話をしたいと思います。Treasure Data CDP活用以前のVOC集約フローをまずご紹介します。
コールセンターのVOCは、お客様からお話しいただいた内容をオペレーターが代行入力したデータが、「コールセンターVOC」として全社に一覧共有されます。アンケートについては、Webアンケートにお客様ご自身が回答いただく内容で既に「アンケートVOC」が完成した状態です。管理担当部門で社内振り分けされたのちに、各部での改善活動に活かす、というものでした。
アンケートVOCについては、社内共有の前段階で、担当者の恣意的な一存によって振り分けがされることが大きな特徴です。例えば、先程の「Aというコンテンツのここを改善すべき」というお客様からのご意見に対して、振り分け担当者がAというコンテンツに対してあまり課題感を持っていない場合は、VOCが重要度高く振り分けられない可能性があります。つまり、社内担当者に有益な意見が適切に届かない可能性がある課題がありました。
では、Treasure Data CDPを活用して、どのように課題を解決していったかをお話しします。まず、コールセンターVOCについては、お客様からお聞きした生の声に対して、オペレーターの入力形式にルールを設けて進めるという方法に若干変更しました。それ以外で、アンケートの内容など大きな変更は行わず、いったんコールセンターとアンケート、それぞれのVOCが完成した状態になったらTreasure Data CDPに格納、その後Tableauでダッシュボード化を行います。そのダッシュボードをそれぞれの担当者が確認し、自主的に分析をするという形式を現状採用しています。
このフローを採用し、作成されたダッシュボードを通じて何が起きたかというと、各担当者が自主的にダッシュボードを確認することで能動的に改善部分を発見し、「じゃあこれはどうなったんだろう」「あの番組はどうだったかな」「あのサービスはどうなんだろう」と、担当者にとってサービスの課題が自分ゴト化していきました。
実際に、どのようなダッシュボード担当者を誘引したかを見ていきます。
WOWOW社内では「ワードクラウド」という通称で呼ばれていますが、このダッシュボードではホットボイスやアンケートのフリーアンサー内に頻出したワードを可視化できるようになっています。ダッシュボード内でエリアが分かれています。左側に番組タイトルエリア、右側に単語単位のワードエリアがあります。文字色が赤と青に分かれていますが、青が濃くなるほどポジティブな意味のVOC、赤やオレンジが濃いほどネガティブなVOCです。色分けの仕組みについてはのちほどご説明しますが、下部に原文エリアがあって、クリックするとお客様からのご意見やオペレーターが代行入力した原文も確認できる仕様です。
実際のTableauの画面です。左側のセクションで番組名が羅列され、右側のセクションに単語単位で表示される仕様です(一部ダミー)。例えばWOWOWの目玉のコンテンツでもある「第95回アカデミー賞授賞式」について、青い文字で出ているということは、お客様からポジティブな意見を多くいただいたということになります。どのような声かを見ていくと、「放送が魅力的」「オンデマンドと放送の両方で楽しめた」「作品もたくさんラインナップされていた」といったポジティブな意見が散見されます。視聴者の求める傾向を掴むことができます。
逆にオレンジが濃く出ているネガティブな意見が多かった例も紹介します「UFC-究極格闘技」というコンテンツは、長らくWOWOWで放送をしておりましたが、今年の3月をもって放送を終了することが決まっていました。放送が終了してしまうことを知ったお客様から「放送終了に対してのご不満」という形で、「終わる」や「終了」「突然」「残念」というネガティブなワードがオレンジ文字で濃く現れる形になりました。
このように、社内の編成や制作担当者にとって、担当した番組がどういう評価かという分析ができますし、サービス担当者や企画担当者も、様々な意見を参考にしながらサービスを改善していくことができるようになりました。
形態素解析の精度を高める具体的フロー
笠井氏: ここからはTreasure Data CDPを活用したフローについてお話しします。見ていただいて分かるように、とてもシンプルなものになっております。
まず、コールセンターの代行入力やアンケートのフリーアンサーといったお客様の声をTreasure Data CDPに取り込むところから始まります。その後、2つの方法でデータの加工を行います。1つ目のルートではHiveを利用し「形態素解析」を行います。形態素というのは意味を成す最小単位の言葉を示しますので、このルートでは文章を細かい単語単位で区切る処理を実行しています。もう1つのルートでは、GCPに存在するNatural Language APIを呼び出します。それによりワードに紐づく感情スコアを付与した結果が得られます。
先程ワードクラウドの画面をお見せしましたが、ポジティブなワードに対してはプラスのスコアが、反対にネガティブなワードではマイナスのスコアが付与された結果を得ることができます。これらの結果をTreasure Data CDP内で結合し、結果をTableauに読み込ませることでワードによって色分けされたダッシュボードを作成します。
形態素解析を行うフローを分解しますと、図内のような3段階に分けた処理を行っています。
文章の表記を整え、形態素で分解し、最後に辞書登録を行います。辞書登録後はさらにもう一度形態素で分解をし、処理を何度か繰り返すことによって精度を高め、完成した状態でTableauに読み込まれるといったものです。
「文章の表記を整える」という点について詳細に説明します。例としてお客様の声を2種ご用意しました。
左側のご意見では文頭で「番組表冊子」という表記があり、右側のご意見では文頭に「PG」という表記があります。実は両方とも「プログラムガイド」を示す単語ですが、オペレーターが直接入力する都合上、担当者によって表記揺れが発生する可能性があります。このまま形態素で分解することは可能ですが、そうしますと「プログラムガイド」についてどのようなお声があったかを分析したいという場合に、「番組表冊子」や「PG」の表記のままだと分析結果が正しく得られない状況が発生します。そのため、番組表冊子やPGといった、プログラムガイドを示す単語は全て統一する処理を加え、実行します。
文章の表記を整えましたら、その後は形態素での分解を行います。図内に「シャイロックの子供たち」という単語があります。こちらは「連続ドラマW シャイロックの子供たち」という番組の番組名ですが、実際に形態素処理を行いますと、「シャイロック」と「子供たち」、2つの単語に分かれてしまいます。このままでも分析はできるのですが、アウトプットとしては見づらいものになりますので、いったん辞書登録を行います。「シャイロックの子供たち」というものを単語として辞書登録した上で形態素解析を行うことで、初めて1単語として表示されるようになります。何度かこの処理を繰り返して精度の高いものにした上でTableauに連携しています。
単語の処理を行う上でTreasure Data CDPが活用できるポイントについて2点、改めて取り上げます。1点目は、Treasure Data CDPからNatural Language APIを直接呼び出し可能という点です。なぜメリットかというと、得られた感情スコア結果をTreasure Data CDP内に直接テーブルとして保持できるからです。テーブルとして保持できることが、その後の分析のしやすさに繋がりました。
2点目として、形態素で分解した単語と、元の文章を結合して保持できるという点です。実は別のテキストマイニングツールで同じように単語を分解する処理を作成したことがあったのですが、その際は文章から抜き出された形態素、単語が元の文章と紐づかない結果となりました。そのため、感情スコアは文章に対して保持をしているのに対し、単語がバラバラになってしまっている状態であり、分析に支障が出てしまう結果になりました。結合処理をTreasure Data CDP内で行えることで、元の文章と単語を同列で保持しておくことができるようになり、その後の分析がスムーズになりました。また、テーブルで情報を持てる、かつIDも一緒に持たせることによって、その後ユニットカウントでの分析も可能になりました。
「お客様の声」=VOCからマーケティングを推進する
笠井氏: まとめとして、ワードクラウドダッシュボードの作成における、Treasure Data CDPを使用するメリットについてお話しします。
1点目は、文章の置換や辞書登録が可能であったという点。文章の置換や辞書登録は、実はTreasure Data CDPにもともと備わっている機能でした。そこまで難しい構文を書く必要がなく、簡単に実装できるのが特徴的であると実感しています。2点目が、処理速度が速いという点です。Hiveの機能を使用しますが、現在ワードクラウドダッシュボードを作成する上では、速度はそこまで遅いと感じません。またHiveであることからも、難易度の高い構文を要することなく実装することができます。3点目は、先程も申し上げましたが、データをテーブルのかたちで保持できるという点です。もともとTreasure Data CDPに備わっているテーブルを作成する機能を活用して処理に組み込んでいます。
このようにTreasure Data CDP内に備わっている機能を全て活かした上で、簡単に処理を最適化し、ワードクラウドダッシュボード作成を実現できています。難しい構文は一切使用しておりません。今はWOWOWのデータのみ対応していますが、今後は外部企業のデータにも対応できるのではないかと考えています。
横関氏: ワードクラウドダッシュボードという形で仕組み化したことによる効果について、途上段階ではございますが、現時点で感じていることを3点お伝えいたします。
1つ目は、コンテンツへの「フラットな評価を知ることができ始めた」というところです。お客様からの意見の内、ネガティブ、ポジティブ両方を天秤にかけてどちらの意見を重要視したほうがよいかをジャッジできるようになり始めたということになります。2つ目は、天秤の片方であるポジティブな意見をしっかりと受け取ることができるということです。意見を受けて「この施策は間違っていなかったんだ」とか、逆に「ここはアクセル踏まなきゃいけないんだな」ということを考えられます。最後、3つ目として、Treasure Data CDPに様々な種類のVOCを投入し、並列で並べてみることによって、複数のご意見の言葉の傾向、重要度や割合などを可視化できるようになったということ。ポジティブ・ネガティブについての判断を視覚的に社内で認知できるようになりました。興味が出やすい見せ方にするだけで、VOCの重要さを社員が少しずつ感じ始めているな、ということを、効果として感じているところです。
WOWOWの社内で好影響が見えはじめているVOCの活用ですが、現在はこの考え方を応用して、複数クライアントのVOCもTreasure Data CDPを利用して分析することを検討しています。 DXが進む中、どの企業もデジタルのデータがあるのは当たり前の世界になっています。そこにプラスして、お客様の声、つまりVOCが企業のマーケティングを動かす上で重要な判断材料として有効足り得ることは、WOWOWグループにとどまらず、様々なビジネスにおいても同様かと思います。Treasure Data CDPユーザーに限らず、VOCと日々向き合っている担当者の方とぜひ意見交換させていただきたいと考えています。気になる部分や、お聞きになりたい部分がありましたら、ぜひ当社ホームページよりお問い合わせください。本日はありがとうございました。