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ビジネス成長戦略『Beyond the Border』実現に向けたJR東日本のデータマーケティングの挑戦

~Treasure Data CDPを活用した『ヒト起点』ビジネスの展開~

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JR 東日本グループでは、「モビリティ」と「生活ソリューション」の2軸による持続的成長をさらに加速させるため、新たな中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」を策定しました。この戦略に基づき「ヒト起点」のビジネスを実現するため、Treasure Data CDPを導入し、同社に集まるビッグデータを活用して、顧客理解、お客さまコミュニケーションの実施、外部宣伝への利用など、様々な施策を行っています。 

本セッションでは、JR東日本のマーケティング本部でデータマーケティングユニット担当部長を務める渋谷直正様に、JR東日本が取り組んでいる『ヒト起点』のOne to Oneマーケティングについてお話しいただきました。

<目次>

1,500万人のJREポイント会員にOne to OneでアプローチするJR東日本の挑戦

JR東日本は、東北地方・関東地方・甲信越地方を中心とした地域に鉄道路線を保有して運営している鉄道会社ですが、その事業は鉄道だけにとどまりません。Suica事業、エキナカ、不動産、ホテル、駅ビル、高輪ゲートウエイの開発など、生活サービス事業も展開しており、事業ポートフォリオの約3割を占めています。将来的には、鉄道事業と生活サービス事業の比率を5対5にすることを目指すとしています。

渋谷氏は、「鉄道は少子高齢化やコロナ禍により大きな需要の拡大は期待できない。一方、生活ソリューション事業はまだ拡大の余地がある」と述べています。渋谷氏はSuicaの例を挙げて、Suicaが乗り物の運賃支払いやショッピングだけでなく、マンションやコインロッカーの鍵代わりとしても利用されるSuica認証サービスなど、その用途が広がっていることを強調しています。

1,500万人のJREポイント会員にOne to Oneでアプローチする、JR東日本の挑戦

JR東日本が今年6月に発表した「BEYOND THE BORDER」という中長期のビジネス成長戦略によると、Suicaの強みを活かしてリアルとデジタルのサービスを結びつけ、利用者に新しい価値を提供することを目指すとしています。また、長期的な目標として、生活ソリューションの利益を、10年後に現状の2倍にすることを計画しています。

その実現のためにJR東日本が強化しているのは、ヒトを起点としたOne to Oneアプローチ。利用者をマスで捉えてアプローチするのではなく、一人ひとりとして捉える(=ヒト起点)という壮大なアプローチです。Suicaの利用者のうちJREポイント会員はおよそ1,500万人。その情報を効率的かつセキュアに管理、活用するためにJR東日本が導入したのが、Treasure Data CDPでした。

『ヒト起点』のマーケティングを高度化する統合データ基盤を整備する

渋谷氏が率いるマーケティング本部のデータマーケティングユニットは、JRE POINT、Suica、えきねっと、大人の休日倶楽部、JRE MALL、VIEW CARDなどのさまざまなサービスから得られるデータを効果的に収集管理し、データ基盤を整備し、データ分析・活用を行い、最終的な施策を策定しています。

『ヒト起点』のマーケティングを高度化する統合データ基盤を整備する

JR東日本のデータマーケティングユニットは、多くの社員がデータを有効活用できるよう、Treasure Data CDPを使って最適なデータマートを作成しています。

統合データマートの利点として、渋谷氏は以下の3つのポイントを示しています。
まず1つ目は、社内に散在していた移動データを含めたデータを集約して整備することで、担当者が簡単にデータを活用し、迅速な施策を実行できるようになる点です。2つ目は、1つのデータではなく様々なデータを横断的に分析することで、顧客理解が深まる点です。そして3つ目は、統合データマートのデータから予測モデルを構築して、見込み顧客に対して個別のマーケティング施策を実施できる点です。

統合データマートを使用することで、以前は担当者がリクエストしなければ得られなかったデータも、担当者レベルでセルフで扱えるようになりました。これにより、BtoB、BinB、BtoCの3つの領域でデータの活用が加速されました。

BtoCの取り組みの1つとして、モバイルSuicaを提案するメールマガジンのトリガー配信があります。この施策では、モバイルSuica未利用者にモバイルSuicaへの転換を促すため、Treasure Data CDP内でJREポイントとSuicaを連携し、モバイルSuicaを利用したほうが便利なご利用をされている会員のトリガーアクションを活用してメールを送信しています。これは当社の他のサービスの利用データも一元的に管理しているからこそできる施策です。

BinBでは、社内でのデータ活用を推進し、現場やグループ会社の担当者がセルフ分析やデータ抽出を行える環境を整備しました。Treasure Data CDPのAudience Studioという機能により、マウス操作だけで視覚化や簡単な集計、顧客のターゲットリストの抽出などが可能になりました。

『JRE Ads』の活用で、CPAが劇的に改善する広告サービスを実現

JR東日本ではBtoBの事業として運用型広告「JRE Ads」サービスを展開しています。JR東日本が保有する1st Party Dataを「インプットデータ」とし、出し先のGoogleなどの主要プラットフォーマー(「コネクテッドメディア」から自由に選定可能)に送信、外部広告の配信セグメントとして利用できるようにするサービスです。

JRE Adsを利用することで、「企業は当社が保有する実際の利用や履歴のデータを基にして、非常に精度の高いターゲティングを行ったうえで広告配信が可能となる」と、渋谷氏は強調します。

『JRE Ads』の活用で、CPAが劇的に改善する広告サービスを実現

「例えば水道橋駅は東京ドームの最寄駅ですが、プロ野球が開催される日にだけ水道橋駅を一定回数利用しているお客さまを抽出できたとします。そうすると、おそらくこの方々は野球が好きで、もし巨人戦の日だけに利用しているのであればきっと巨人ファンかもしれないと仮説が立てられます。こういったターゲティングを行った上で、その方々だけに広告を打つことができるようになります。
実際の効果として、ある不動産会社様の新築マンションのWeb広告では、一般的なエリアターゲットに向けて広告を打った時に比べて、当社のデータを活用したときはCPAが5分の1になった、という結果も出ています。」(渋谷氏)

このように、BtoC、BinB、BtoBの多方面でデータの活用を推進するJR東日本。渋谷氏は最後にその目指す姿について次のように述べました。

「鉄道だけでなく当社の様々なサービスをご利用いただくお客様と広く長い関係を持ち続けたいというのが根底にあります。今までは私たちは、お客様の断片的な情報しか持ち合わせていませんでしたが、前述の通りCDPを活用することで今後は適切なタイミングで適切なコンテンツをお客様にお届けすることで、LTVの向上を目指していきます。最終的には、お客様から『JR東日本って、気が利いている会社だよね」と思っていただける会社になりたいですね。」(渋谷氏)

1st Party Dataの収集と適切な活用によるOne to Oneマーケティングは、企業側のベネフィット追求ではなく、最終的にはお客様にとっていかに心地よい体験を構築し、価値と感じていただけるかどうかです。
渋谷氏とJR東日本の挑戦は続きます。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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