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PontaとLINE公式アカウントで実現するマーケティング革新

CDP活用とデータ連携の最前線

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デジタル時代のマーケティングは、急速な変化と新たな課題に直面しています。Cookieレス時代が到来し、プライバシー保護に関する関心が高まっているなか、マーケティング施策はROI向上が求められています。今、企業は効果的なターゲティングと顧客エンゲージメントの確かな方法を模索せねばなりません。

この状況で注目を集めているのが、共通ポイントプログラムの『Ponta』と『LINE』のデータ連携です。1億人を超える会員基盤を持つPontaの購買データと、日本最大のコミュニケーションプラットフォームであるLINEのユーザー行動データの組み合わせは、デジタルマーケティングのあり方を大きく変える可能性を秘めています。

トレジャーデータ株式会社 執行役員 最高戦略責任者の山森 康平が、Pontaの発行・運用・管理を行う株式会社ロイヤリティマーケティングの小河 貴裕氏にPontaとLINEの連携で取りうる施策の真価について伺いました。

<目次>

デジタルマーケティングを取り巻く環境変化とその影響

現在、マーケターは多くの課題に直面しています。3rd Party Cookieを対象としたCookie規制で顧客の行動トラッキングが以前よりも難しくなっていることに加え、iOSなどのモバイル環境における広告識別子の制限が「ユーザーの特定」を更に困難にしています。加えて個人情報保護法の改正やプライバシー重視の観点から、顧客の同意取得が必須のものとなっています。

マーケティングを取り巻く現状

これにより、マーケターたちは新たな課題に直面しています。
最初の課題は、コンバージョンの計測精度の低下です。以前は簡単に使用できたデータが制限されることで、ユーザー行動の追跡が難しくなり、マーケティング施策の効果を正確に測定することが難しくなっています。そしてもうひとつの影響は、ターゲティング可能なユーザー数の減少です。プライバシー規制の厳格化により、細かい属性情報に基づくターゲティングが難しくなっています。

これらの課題に対処するために、マーケターたちは2つのアプローチを模索しています。
1つめは、自社で1st Party Dataを収集・活用することです。これにより、直接的な関係性を構築し、より深い顧客理解を得ることができます。
また、2つめのアプローチは、外部のソリューションを活用することです。外部サービスを活用することで、多彩なデータや高度な分析を行うことができ、自社だけでは難しい施策展開が実現可能になります。

会員数1億人以上! 元祖リテールメディア『Ponta』

1st Party Dataの保持と外部ソリューション活用において、ロイヤリティマーケティングの小河氏はPontaとLINEの連携が鍵となり得るとし、その可能性について次のように説明します。
「Pontaは1億人以上の会員を持つ共通ポイントサービスで、日常生活の様々な場面に広く浸透しています。コンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店など、多岐にわたる業種で利用可能で、消費者の購買行動に関する、膨大かつ多様なデータを蓄積しています。またLINEとの連携が確認できているPonta会員数は6,200万人に上ります。マーケティング施策の展開において非常に大きな潜在力を秘めています。」(小河氏)

さらに、PontaとLINEの連携は『LINE データクリーンルーム for Client(以降、LDCR)』を活用しており、個人が特定されないことも大きな魅力であると、小河氏は指摘します。

Ponta×LINE分析だから分かること

LDCRを介することで、会員の皆様のプライバシーに配慮しながら、様々な分析を実施できるようになりました。

3つ例を上げると、1つめには、LINE公式アカウントの友だち分析です。Pontaが保有するデータを照らし合わせることで、自社のLINE公式アカウントを登録している顧客の特性を詳細に把握することができます。
2つめは、LINE公式アカウントやLINE広告での反応率が高いユーザーの分析です。これが可能となることで、ユーザーの傾向ごとに配信内容を出し分けるなど、より効果的なマーケティング戦略が立案できます。
3つめは、メッセージや広告接触後のリアル店舗での購買行動分析です。オンラインでのメッセージや広告配信が、オフラインの購買行動にどの程度つながっているのかを具体的に測定できます。
これらの分析は、どれもマーケティングに重要な示唆を与えると言えるでしょう。」(小河氏)

 

Pontaデータ×LINEデータの連携でできること

リアルな顧客像が、LINE データクリーンルーム for Client の分析から見えてくる

PontaとLINEを連携することにより、具体的にどのような分析が可能になるのでしょうか。Pontaの全会員データとPontaのLINE公式アカウントを比較・分析した事例を紹介します。

LINE公式アカウント - 友だち分析事例① 価値観

この分析からは、PontaのLINE公式アカウントの友だちには幾つか顕著な特徴が見られました。まず、やや保守的な価値観を持ちつつ、協調性やバランス感覚のある人が多いということ。これは、安定志向で信頼性を重視する顧客層が多いことを示しています。

LINE公式アカウント - 友だち分析事例② 業種別利用

また、リサイクルショップ、家電量販店、百貨店、スーパーなどの利用率が高いことも特徴的です。これらの店舗での購買頻度が高いことから、日常的な買い物からやや高額な買い物まで、幅広い購買行動をとる層がPontaのLINE公式アカウントを利用していることが明らかになりました。

この手法を活用すれば、スタンプキャンペーン等で獲得したLINE公式アカウントの友だちの中に、どのような傾向の方が含まれているのか、またリアルにどのような購買行動をとっているのか、可視化することができるのです。

また、配信したメッセージに対して、どのような傾向の友だちが反応しているのかを明らかにすることもできます。以下は、PontaLINE公式アカウントの友だちを、さまざまなデータ・セグメントでメッセージへの反応ごとに分析したものです。Pontaアクティブ会員全体の各セグメントにおける比率を100とした場合の、PontaのLINE公式アカウント友だち全体、メッセージ配信に対して一定期間中に複数回反応した「高反応ユーザー」、一定期間中に1回反応した「低反応ユーザー」の割合を数値化しています。

LINE公式アカウントのメッセージ配信への反応ユーザー分析事例

この分析では、「美容・健康意識高」「ニュース・政治関心高」「アルコール購入」「医薬品購入」「直近での転居実績あり」のセグメントにおいて、Ponta LINE公式アカウント全体(緑)の数値よりも高反応ユーザー(青)・低反応ユーザー(赤)の数値が高くなりました。これらのセグメント群に対してはニーズとマッチしたメッセージ配信ができていると推察可能です。

一方で、上記のうち「美容・健康意識高」「直近での転居実績あり」のセグメントについてはPontaアクティブ会員全体(黄)よりもPonta LINE公式アカウント全体(緑)の数値が低く、公式アカウント登録の認知やきっかけが足りない可能性も考えられます。

小河氏は「これらの分析手法は各企業のLINE公式アカウントにも適用できる」と言います。企業は自社ブランドのLINE公式アカウントにおける友だちの特徴や、メッセージ配信に対して反応の高いセグメントを詳細に把握でき、これにより精緻なセグメンテーションと各セグメントに適したコミュニケーション戦略の立案が可能になるのです。

PontaとLINEで、OMOのシームレスな顧客体験が実現

それでは、分析の結果からどのような活用が生まれるのでしょうか。PDCAサイクルに則って具体的な流れを説明します。

Ponta×LINE分析で実現するPDCA

LINE公式アカウントの友だち分析が、サイクルの最初のステップです。このステップでは前段のようにPontaのデータを活用して、自社のLINE公式アカウントの友だちの特性を詳細に分析します。
メッセージの出し分けが、この分析結果に基づいて行う、次のステップです。各セグメントの特性に合わせて最適なメッセージ内容やタイミングを決定し、パーソナライズされたコミュニケーションを実現します。
メッセージ配信後は効果測定です。各セグメントの反応を、開封率やクリック率、コンバージョン率など、様々な指標に基づき分析し、施策の効果を測定、検証します。
最後にこれらの分析結果を踏まえてネクストアクションを決定、実行します。効果の高かったセグメントや施策は継続・拡大し、効果の低かったものは見直しを行う。このプロセスを繰り返すことで、継続的な改善と最適化が可能となります。

LINEで質の高い友だちを増やし、効果的なCRMを実現するためには、継続的な分析と改善が不可欠です。またLINEを通じたデジタルコミュニケーションだけでなく、店頭POPなどのオフライン施策との連携も非常に重要となります。データに基づいて店頭POPを掲出することで、効果が高まるという意見もあります。また、オンラインとオフラインのデータを統合することで、より包括的な顧客理解が可能になり、さらに顧客にとってシームレスな体験を提供することができるでしょう。このようなアプローチを取ることで、顧客との関係をより深め、顧客からの満足度や忠誠度を向上させることが期待されます。

PontaがLINEとの連携で見据えるデータドリブンマーケティング

Pontaのデータを活用することで、顧客理解を深化させたうえで適切なセグメントを設定することが可能になり、顧客の状態に最適化されたメッセージ配信や商品提案が実現し、エンゲージメント率を向上させることにつながります。

Pontaデータを活用したLINE公式アカウントの分析に活用されるのが、LDCRです。データ分析の参照元として、ロイヤリティマーケティングがTreasure Data CDPに格納したPontaデータを活用することで、広告主企業のシステム構成に依存せず、PontaとLINEのデータを安全かつ効果的に連携。これにより、セキュアな環境で個人を特定せずにPontaを活用した分析を実現しています。

各社様専用のLINE×PONTAデータクリーンルームを構築して分析提供

この独自スキームを活用することで、「LINEを使ったデータ活用のハードルを大きく下げ、より多くの企業がデータドリブンマーケティングを実践できるようにしている」と小河氏は強調します。その視線の先に見据えるのは、顧客企業におけるデータ統合の支援です。

多くの企業では、顧客データが複数のシステムや部門に散在しており、統合的な活用が困難な状況にあります。PontaとLINEの連携ソリューションは、こうした散在するデータの統合をサポートし、より包括的な顧客理解を可能にします。

LINE公式アカウントの効果的な活用ができていない、自社の1st Party Dataが不足している、さらにそもそも購買データがない企業にとっては、PontaとLINEの連携は大きな価値をもたらすでしょう。またCDPを自社で導入していない場合でも利用できるため、施策を展開するスピードも加速されます。

6,200万を超えるLINE連携済会員数を誇るPontaデータから得られる購買データの価値は、活用されてこそ。変化の波が耐えない現代マーケティング環境にあって、PontaとLINEの連携は、ブランドと顧客の新しい体験価値を生み出していくのではないでしょうか。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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