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大阪に本社を持つ認定放送持株会社である朝日放送グループホールディングス株式会社(以下朝日放送GHD)。「ABCテレビ」の通称で親しまれる朝日放送テレビを傘下に持ち、テレビやラジオなどを中心とした放送事業のほか、アニメーション、イベント、キャラクタービジネスを中心とするコンテンツ事業、住宅展示場やゴルフ場などのライフスタイル事業と、大きく3つのジャンルでおよそ30のグループ企業で構成されています。 朝日放送GHDがTreasure Data CDPを導入して約1年が経過しました。前編につづき、後編では具体的に、すでに成果を挙げているCDP事例をご紹介いただき、なぜそれが実現できたかを深掘りします。
<目次>
メール配信を87%効率化! Google Formを活用した自動化プロセス
塚原:具体的な施策の事例をいくつか教えていただけますでしょうか?
石田氏:私が支援している事業会社では、マーケティングのメール配信でCDPをフル活用しています。かつてメール配信の作業は属人的で手間も時間もかかり、それでも細かいターゲット設定ができていない状態でした。具体的には、エクセルを使ってリスト管理をしていたり、データをローカルで扱うことによる個人情報漏洩や誤配信のリスクがありました。CDPで配信を自動化することで、効率よく、かつセキュアに作業ができないか。伴と相談して、Google Formsを活用した配信フローを組み立てました。
具体的には、メールマガジンの担当者がGoogle Formを使って申請を上げられるフローです。Google Formsの中には、例えば全員配信とかこのセグメントに配信するといったデフォルトセグメントをいくつか用意してあります。配信担当者がそれを選択し、配信日を設定して申請をあげると、それをトリガーに、プルリクエストが自動生成されるというものです。管理側で申請内容を確認し、問題がなければマージし、CDPにデプロイされます。
Treasure Data CDPには、顧客データやWebログ等を格納していますので、その対象セグメントに対して、指定日にメールツールであるSendGrid経由でメールが送信されます。配信終了後はSendGrid内のデータを完全に削除し、データを残さないところまでをTreasure Workflowで管理しています。
効果としては、配信担当者の作業時間を87%削減できています。加えて配信までのスケジュールを短縮できたことにより、施策を検討してから実施するまでのリードタイムが短くなったことで、新しいことに対しての意欲が高まり、好循環に繋がっているというフィードバックを受けています。
塚原:ありがとうございます。メール送信対象のリスト作成は常に重点課題として取り上げられることが多いですよね。個人的にはGoogle Formを使うことが興味深いと思いました。あまり他の事例で聞くことがないですよね。
石田氏:そうですね。当初は各担当者にTreasure Data CDPへログインしてもらい、オーディエンススタジオでセグメントを抽出してもらおうと考えていましたが、そのトレーニングやアカウント管理を考えたときに、誰でも使えるGoogle Formを使ってみようと発想を転換しました。
塚原:Google Formにサンプルのセグメントがいくつか用意されているということでしたが、それは各事業会社の皆様と議論した上で作っていらっしゃるのですか?
石田氏:そうです。また、何か特別なことをやりたいときにはオーディエンススタジオでセグメントを作成し、それをGoogle Formsで指定するやり方を取っています。
塚原:非常に良いユースケースと思いますので、ぜひ皆様にも使っていただきたいと思います。
石田氏:技術的なポイントは伴から。
伴氏:Google Formでの運用と、私たち管理側の運用が同じプロセスを経ているという点で、GitOpsとの相性がこういった自動化という観点では非常に有効ですよね。
また、Treasure Workflowの自動デプロイが終わると同時に担当者にメールが行くようにしていて、ちゃんと申請通りましたよ、ということも全て自動化して、申請自体のハードルを下げることを行っています。直接人に依頼をするのは、どうしてもハードルが高いと感じてしまう場合がありますが、自動化で精神的な負荷も下がっているのかなと思います。管理側も変更の差分を確認してマージボタンを押すだけです。
石田氏:付け加えると、担当者が生のメールアドレスを触らなくていいこと。これは非常に重要と思っています。Treasure Data CDPに格納する段階で、個人情報はハッシュ化していますが、それすらも触ることなく、Google Formsでセグメントを選んで押すだけ。あとは配信ツールにメールアドレスが流し込まれている。誰一人として生のメールアドレスに触れていないシステムを構築していることも、非常に重要なポイントかなと思います。
広告配信からECサイト改善まで、成果を上げているCDP事例
石田氏:広告配信で活用した例では、Treasure Data CDPのなかで、個人情報と自社サイトなどの行動履歴を突合したデータを活用しています。機械学習のカスタムスクリプトを用いて、特定の行動をする確率の高いユーザーをセグメントしたり、動画配信プラットフォーム上で広告に接触した顧客だけを抽出し、Treasure Data CDPのコネクタで広告配信プラットフォームとセグメント連携したり、ということを行っています。
広告プラットフォームでも、オーディエンス配信では、対象を届けたいユーザーにはターゲットを絞ってコンバージョン率の改善、類似オーディエンス拡張を行って配信しリーチの拡大といった目的を分けて配信することも可能になっています。
塚原:サードパーティクッキーが規制されるなかで、広告とファーストパーティデータの連携が課題になっています。その際、特定の商品を購買した人、という小さなセグメントに切ってしまうと広告配信できる母数にはなりませんから、ファストパーティデータをいかに拡張するかが、ポイントになります。
伴氏:広告配信プラットフォームとの連携という点でいうと、少人数での運用では、コネクタの機能がTreasure Data CDPの大きな強みになっています。コネクタなしで広告配信プラットフォームと連携する際は、スクラッチでシステムをつくる必要があります。それ自体は不可能ではありませんが、先方の仕様変更などに逐一対応してはいられませんから、安定して稼働させることが難しい。その点、トレジャーデータ側でコネクタをアップデートして対応してもらえるのは、ありがたいですね。
塚原:ありがとうございます。山下さんは、サイト改善の事例をお持ちだとか。
山下氏:ECサイト改善の事例です。以前は分析や改善が継続してできておらず、何を評価して改善すればよいのか分からなかったところが、Treasure Data CDPを導入したことで、ユーザーの行動を継続的に分析できるようになりました。通販番組やEC側のデジタル施策を横断的に分析し、ユーザーの動向とニーズをより詳しく把握できるようになりました。
具体的には、Webサイトのアクセスログの分析や、顧客データや購買データを活用した分析を行っています。分析をもとに、閲覧されているデバイスは9割がスマートフォンだったにも関わらず、WebサイトはPCで作成して、一番下の商品まで10スクロールもかかっていました。データを基にサイトのUIをスマホフレンドリーに改善し、直帰率の抑制、購買率の向上につなげました。
塚原:事業会社からUI・UXの改善を相談されたのですか? それとも、山下さんから提案したのでしょうか?
山下氏:このケースに関しては、私たちの方から、まず初めてデータを詳細に分析する段階でWebサイトの問題点に気づき、事業会社に共有しました。この気づきから「リニューアルしたい」という声が上がりました。
塚原:「データファーストで提案しても、現場が動いてくれない」という話はよく聞きますが、朝日放送GHDの場合は、データの管理運用側と、実際の現場との関係性がしっかり構築されていると感じます。
山下氏:何かを押し付けるのではなく、一緒に考えて進めようというスタンスで普段からコミュニケーションを密に取れていたことが、スムーズな改善につながったと思います。
石田氏:私たち管理チームには、グループ各社の施策と結果の情報がストックされています。それを各社に展開する中で「うちでもこれができるのでは?」という声がどんどん上がってくるようになりました。それも管理チームと事業会社が、良い関係で日々情報をやりとりできている効果だと思います。
塚原:今回のサイト改善のような一連の流れができてしまえば、他の事業会社やサービスでも、同じフローで効果が出る可能性が高いですよね。汎用的で再現性の高い構成になっていると感じました。
統合データ基盤を活用することで見えてくるDX次の打ち手
伴氏:統合データ基盤を構築するために、私たちはゼロからサイロ化したデータとつないでいったのですが、今Treasure Data CDPに統合されているのは、顧客基盤に登録されるデータ、自社のWebサービスから収集したログデータ、そして外部の広告配信サイトから得られるデータなどです。特に、外部から取得するデータは大量で、仮に統合を1年遅らせていたら、それだけ有用なデータを取り逃していたわけですよね。学びもありました。早く取り組むことの大切さを実感しています。
そして最近、Treasure Data CDPを使っていて強く思うのは「もうちょっとターゲットを絞りたい」「情報をブラッシュアップしてメール配信したい」といったニーズを思いついたときに、それに対応する機能がかならずサービスの中にあるということです。そういった、事業会社のかゆいところに手が届くような課題解決を、私たちが拾いに行ける状態が作れていることが、CDPを導入した大きな恩恵かもしれません。
石田氏:元々、CDPはグループ各社が持つ多様なデータを束ね、横串で全社的に価値を生み出していくものだ、と理解していました。けれど、決してそれだけではなく、各社、各事業単位でも、CDPにデータが統合されていることの恩恵はたくさんあります。例えば、ある事業が抱えているのと同じ課題を、グループのほかの事業が持っているのはよくあることです。基盤が違えば、同じ課題をそれぞれで解決しなければなりません。
しかし、今はCDPという共通のデータ基盤の中で、共通の形式でデータが管理されています。同じ解決法を横展開することで、無駄な工数を減らし、スピードアップに繋げられると思っています。
塚原:最後に、今後1、2年の範囲でTreasure Data CDPを使ってチャレンジしたいことを教えてください。
伴氏:ここまでデータの整形や連携を重点的に行なってきましたが、ここから先は、データそのものに向き合っていきたいと思います。ひとつひとつのデータをしっかり見て、単純な集計ベースで分析していたところを、機械学習をかけてより深い分析ができる状態にしていきたいです。今までではできなかったような施策の実現を、発展的なかたちで目指していければよいですね。
石田氏:CDP構築のプロセスで、SQLを覚えることで世界が広がる、という体験を私自身がさせてもらいました。今後は、SQLを書けるマーケターの育成にも取り組んでいきたいと思っています。
山下氏:お客様を全体として捉え、サイト改善などの施策に反映することはできるようになりました。ただ、一人ひとりに寄り添った施策はこれからですので、Profile APIなどTreasure Data CDPの機能も活用しながら、より細かいセグメントに分けて、それぞれに良いサービスを届けられるようサポートしていきたいと思っています。
塚原:ありがとうございます。本日は大変貴重なお話を伺いました。いただいたお言葉を実現できるよう、トレジャーデータとして引き続き、しっかりサポートさせていただきます。
※当記事は、2023年4月19日に開催された「朝日放送グループの顧客データ活用とCDP導入
〜放送を含めた3事業のデータ統合と広告・メール・サイトの改善事例〜」から内容を編集して制作しています。
<スピーカー>
石田 直之 氏
朝日放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 デジタル・メディアチーム
伴 拓也 氏
朝日放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 デジタル・メディアチーム
山下 真里奈 氏
朝日放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 デジタル・メディアチーム
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ログインできない場合は、下記をお試しください。
(1) Internet Explorerをご利用の場合は、InPrivateブラウズをお試しください
(2) Google Chromeをご利用の場合は、シークレットウィンドウをお試しください
(3) 他のデバイスやブラウザの使用をお試しください
解決しない場合は、sdr-jp@treasure-data.com まで、お知らせください。
大阪に本社を持つ認定放送持株会社である朝日放送グループホールディングス株式会社(以下朝日放送GHD)。「ABCテレビ」の通称で親しまれる朝日放送テレビを傘下に持ち、テレビやラジオなどを中心とした放送事業のほか、アニメーション、イベント、キャラクタービジネスを中心とするコンテンツ事業、住宅展示場やゴルフ場などのライフスタイル事業と、大きく3つのジャンルでおよそ30のグループ企業で構成されています。 朝日放送GHDがTreasure Data CDPを導入して約1年が経過しました。前編につづき、後編では具体的に、すでに成果を挙げているCDP事例をご紹介いただき、なぜそれが実現できたかを深掘りします。
<目次>
メール配信を87%効率化! Google Formを活用した自動化プロセス
塚原:具体的な施策の事例をいくつか教えていただけますでしょうか?
石田氏:私が支援している事業会社では、マーケティングのメール配信でCDPをフル活用しています。かつてメール配信の作業は属人的で手間も時間もかかり、それでも細かいターゲット設定ができていない状態でした。具体的には、エクセルを使ってリスト管理をしていたり、データをローカルで扱うことによる個人情報漏洩や誤配信のリスクがありました。CDPで配信を自動化することで、効率よく、かつセキュアに作業ができないか。伴と相談して、Google Formsを活用した配信フローを組み立てました。
具体的には、メールマガジンの担当者がGoogle Formを使って申請を上げられるフローです。Google Formsの中には、例えば全員配信とかこのセグメントに配信するといったデフォルトセグメントをいくつか用意してあります。配信担当者がそれを選択し、配信日を設定して申請をあげると、それをトリガーに、プルリクエストが自動生成されるというものです。管理側で申請内容を確認し、問題がなければマージし、CDPにデプロイされます。
Treasure Data CDPには、顧客データやWebログ等を格納していますので、その対象セグメントに対して、指定日にメールツールであるSendGrid経由でメールが送信されます。配信終了後はSendGrid内のデータを完全に削除し、データを残さないところまでをTreasure Workflowで管理しています。
効果としては、配信担当者の作業時間を87%削減できています。加えて配信までのスケジュールを短縮できたことにより、施策を検討してから実施するまでのリードタイムが短くなったことで、新しいことに対しての意欲が高まり、好循環に繋がっているというフィードバックを受けています。
塚原:ありがとうございます。メール送信対象のリスト作成は常に重点課題として取り上げられることが多いですよね。個人的にはGoogle Formを使うことが興味深いと思いました。あまり他の事例で聞くことがないですよね。
石田氏:そうですね。当初は各担当者にTreasure Data CDPへログインしてもらい、オーディエンススタジオでセグメントを抽出してもらおうと考えていましたが、そのトレーニングやアカウント管理を考えたときに、誰でも使えるGoogle Formを使ってみようと発想を転換しました。
塚原:Google Formにサンプルのセグメントがいくつか用意されているということでしたが、それは各事業会社の皆様と議論した上で作っていらっしゃるのですか?
石田氏:そうです。また、何か特別なことをやりたいときにはオーディエンススタジオでセグメントを作成し、それをGoogle Formsで指定するやり方を取っています。
塚原:非常に良いユースケースと思いますので、ぜひ皆様にも使っていただきたいと思います。
石田氏:技術的なポイントは伴から。
伴氏:Google Formでの運用と、私たち管理側の運用が同じプロセスを経ているという点で、GitOpsとの相性がこういった自動化という観点では非常に有効ですよね。
また、Treasure Workflowの自動デプロイが終わると同時に担当者にメールが行くようにしていて、ちゃんと申請通りましたよ、ということも全て自動化して、申請自体のハードルを下げることを行っています。直接人に依頼をするのは、どうしてもハードルが高いと感じてしまう場合がありますが、自動化で精神的な負荷も下がっているのかなと思います。管理側も変更の差分を確認してマージボタンを押すだけです。
石田氏:付け加えると、担当者が生のメールアドレスを触らなくていいこと。これは非常に重要と思っています。Treasure Data CDPに格納する段階で、個人情報はハッシュ化していますが、それすらも触ることなく、Google Formsでセグメントを選んで押すだけ。あとは配信ツールにメールアドレスが流し込まれている。誰一人として生のメールアドレスに触れていないシステムを構築していることも、非常に重要なポイントかなと思います。
広告配信からECサイト改善まで、成果を上げているCDP事例
石田氏:広告配信で活用した例では、Treasure Data CDPのなかで、個人情報と自社サイトなどの行動履歴を突合したデータを活用しています。機械学習のカスタムスクリプトを用いて、特定の行動をする確率の高いユーザーをセグメントしたり、動画配信プラットフォーム上で広告に接触した顧客だけを抽出し、Treasure Data CDPのコネクタで広告配信プラットフォームとセグメント連携したり、ということを行っています。
広告プラットフォームでも、オーディエンス配信では、対象を届けたいユーザーにはターゲットを絞ってコンバージョン率の改善、類似オーディエンス拡張を行って配信しリーチの拡大といった目的を分けて配信することも可能になっています。
塚原:サードパーティクッキーが規制されるなかで、広告とファーストパーティデータの連携が課題になっています。その際、特定の商品を購買した人、という小さなセグメントに切ってしまうと広告配信できる母数にはなりませんから、ファストパーティデータをいかに拡張するかが、ポイントになります。
伴氏:広告配信プラットフォームとの連携という点でいうと、少人数での運用では、コネクタの機能がTreasure Data CDPの大きな強みになっています。コネクタなしで広告配信プラットフォームと連携する際は、スクラッチでシステムをつくる必要があります。それ自体は不可能ではありませんが、先方の仕様変更などに逐一対応してはいられませんから、安定して稼働させることが難しい。その点、トレジャーデータ側でコネクタをアップデートして対応してもらえるのは、ありがたいですね。
塚原:ありがとうございます。山下さんは、サイト改善の事例をお持ちだとか。
山下氏:ECサイト改善の事例です。以前は分析や改善が継続してできておらず、何を評価して改善すればよいのか分からなかったところが、Treasure Data CDPを導入したことで、ユーザーの行動を継続的に分析できるようになりました。通販番組やEC側のデジタル施策を横断的に分析し、ユーザーの動向とニーズをより詳しく把握できるようになりました。
具体的には、Webサイトのアクセスログの分析や、顧客データや購買データを活用した分析を行っています。分析をもとに、閲覧されているデバイスは9割がスマートフォンだったにも関わらず、WebサイトはPCで作成して、一番下の商品まで10スクロールもかかっていました。データを基にサイトのUIをスマホフレンドリーに改善し、直帰率の抑制、購買率の向上につなげました。
塚原:事業会社からUI・UXの改善を相談されたのですか? それとも、山下さんから提案したのでしょうか?
山下氏:このケースに関しては、私たちの方から、まず初めてデータを詳細に分析する段階でWebサイトの問題点に気づき、事業会社に共有しました。この気づきから「リニューアルしたい」という声が上がりました。
塚原:「データファーストで提案しても、現場が動いてくれない」という話はよく聞きますが、朝日放送GHDの場合は、データの管理運用側と、実際の現場との関係性がしっかり構築されていると感じます。
山下氏:何かを押し付けるのではなく、一緒に考えて進めようというスタンスで普段からコミュニケーションを密に取れていたことが、スムーズな改善につながったと思います。
石田氏:私たち管理チームには、グループ各社の施策と結果の情報がストックされています。それを各社に展開する中で「うちでもこれができるのでは?」という声がどんどん上がってくるようになりました。それも管理チームと事業会社が、良い関係で日々情報をやりとりできている効果だと思います。
塚原:今回のサイト改善のような一連の流れができてしまえば、他の事業会社やサービスでも、同じフローで効果が出る可能性が高いですよね。汎用的で再現性の高い構成になっていると感じました。
統合データ基盤を活用することで見えてくるDX次の打ち手
伴氏:統合データ基盤を構築するために、私たちはゼロからサイロ化したデータとつないでいったのですが、今Treasure Data CDPに統合されているのは、顧客基盤に登録されるデータ、自社のWebサービスから収集したログデータ、そして外部の広告配信サイトから得られるデータなどです。特に、外部から取得するデータは大量で、仮に統合を1年遅らせていたら、それだけ有用なデータを取り逃していたわけですよね。学びもありました。早く取り組むことの大切さを実感しています。
そして最近、Treasure Data CDPを使っていて強く思うのは「もうちょっとターゲットを絞りたい」「情報をブラッシュアップしてメール配信したい」といったニーズを思いついたときに、それに対応する機能がかならずサービスの中にあるということです。そういった、事業会社のかゆいところに手が届くような課題解決を、私たちが拾いに行ける状態が作れていることが、CDPを導入した大きな恩恵かもしれません。
石田氏:元々、CDPはグループ各社が持つ多様なデータを束ね、横串で全社的に価値を生み出していくものだ、と理解していました。けれど、決してそれだけではなく、各社、各事業単位でも、CDPにデータが統合されていることの恩恵はたくさんあります。例えば、ある事業が抱えているのと同じ課題を、グループのほかの事業が持っているのはよくあることです。基盤が違えば、同じ課題をそれぞれで解決しなければなりません。
しかし、今はCDPという共通のデータ基盤の中で、共通の形式でデータが管理されています。同じ解決法を横展開することで、無駄な工数を減らし、スピードアップに繋げられると思っています。
塚原:最後に、今後1、2年の範囲でTreasure Data CDPを使ってチャレンジしたいことを教えてください。
伴氏:ここまでデータの整形や連携を重点的に行なってきましたが、ここから先は、データそのものに向き合っていきたいと思います。ひとつひとつのデータをしっかり見て、単純な集計ベースで分析していたところを、機械学習をかけてより深い分析ができる状態にしていきたいです。今までではできなかったような施策の実現を、発展的なかたちで目指していければよいですね。
石田氏:CDP構築のプロセスで、SQLを覚えることで世界が広がる、という体験を私自身がさせてもらいました。今後は、SQLを書けるマーケターの育成にも取り組んでいきたいと思っています。
山下氏:お客様を全体として捉え、サイト改善などの施策に反映することはできるようになりました。ただ、一人ひとりに寄り添った施策はこれからですので、Profile APIなどTreasure Data CDPの機能も活用しながら、より細かいセグメントに分けて、それぞれに良いサービスを届けられるようサポートしていきたいと思っています。
塚原:ありがとうございます。本日は大変貴重なお話を伺いました。いただいたお言葉を実現できるよう、トレジャーデータとして引き続き、しっかりサポートさせていただきます。
※当記事は、2023年4月19日に開催された「朝日放送グループの顧客データ活用とCDP導入
〜放送を含めた3事業のデータ統合と広告・メール・サイトの改善事例〜」から内容を編集して制作しています。
<スピーカー>
石田 直之 氏
朝日放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 デジタル・メディアチーム
伴 拓也 氏
朝日放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 デジタル・メディアチーム
山下 真里奈 氏
朝日放送グループホールディングス株式会社
DX・メディアデザイン局 デジタル・メディアチーム