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三菱電機が取り組む新たなブランドコミュニケーション戦略

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2021年に創業100周年を迎えた三菱電機株式会社は、大きな変革期を迎えています。同社宣伝部は、グローバルブランディングと企業情報発信に注力し「デジタル上の顧客体験変革」を掲げています。本セッションでは、データ活用基盤としてTreasure Data CDPの導入を支援した日本アイ・ビー・エム株式会社 インタラクティブ・エクスペリエンス事業部 マネージング・コンサルタントの麻生 剛氏のモデレーションにより、三菱電機株式会社 執行役員宣伝部長の阿部 敬人氏と同デジタルコミュニケーショングループマネージャーの浅尾 陽子氏が、具体的な業務とコミュニケーション施策におけるデータの役割や、未来のビジョンについて語ります。

<目次>

創業100年を越える企業が取り組むパーパス起点のコミュニケーション

2021年に創業100年を迎えた三菱電機。9つに及ぶ事業領域を有し、売上に占める海外比率は50%以上といった重厚長大なビジネスを展開しています。そんな三菱電機がブランドコミュニケーションを刷新した背景には、9つの事業領域それぞれがビジョンやスローガンをバラバラに掲げていたり、世界中のステークホルダーに対して適切なメッセージを伝えきれていなかったりという課題があったと阿部氏は説明します。三菱電機ではその課題をどのように克服しているのでしょうか。

「企業パーパスを起点としたブランド体系の整備」から、刷新の取り組みがスタートしました。それは、それまで事業領域や国ごとに個別最適の視点で行われていたコミュニケーションを、企業理念およびパーパスからはじまるコミュニケーションに変革していく取り組みと言えます。

コーポレートブランディングとビジネスブランディングの連携は、ピラミッド型の概念図で示されます。

企業パーパスを起点としたブランド体系の整備

頂点、起点として存在するのは「私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します」という「企業理念/パーパス」。そのもとで、コーポレートブランディングの領域では「笑顔あふれる持続可能な社会」を掲げるサステナビリティ経営が経営方針・経営戦略として、ビジネスブランディングでは各事業のビジョンやスローガンのもと、製品やサービスへと落とし込まれていく構図です。

例えば、2022年に策定された国内空調・家電・電材住設事業の新コンセプト、「しあわせをシェアしよう。」では、企業理念/パーパスに沿ったメッセージに改められました。同事業にひもづく家庭向けエアコン「霧ヶ峰」など一般客向けの各ブランドは、上位のコンセプトに従ってコミュニケーション活動を行う設計が取られています。

阿部氏が率いる宣伝部は、このような全体設計のなかで、主に潜在層へのアプローチを担っています。「求職者(学生/経験者)」「従業員」「投資家・株主」「ビジネスパートナー」「顧客・取引先」といったステークホルダーをターゲットにファネルを設定し、それぞれのToFu(トップ・オブ・ファネル:購買、行動プロセスの最初期ステージ)に対して、長期的な視点でコミュニケーションを行うとともに、質の高い「ブランディング=創客」によって、見込客をMoFu(ミドル・オブ・ファネル:購買、行動プロセスの中間ステージ)へ、そしてBoFu(ボトム・オブ・ファネル:購買、行動プロセスの最終ステージ)へ創客することが宣伝部のミッションであると、阿部氏は説明します。

ブランドコミュニケーションファネル戦略

阿部氏はまた、ステークホルダーごとのターゲットを考慮するにあたり、ブランドコミュニケーションの全体像で「手薄になっていた」インナーブランディングの領域、つまり従業員に対してのコミュニケーションを事例として紹介しました。

その課題に対し、2023年9月、三菱電機は国内外グループ会社の従業員15万人に向けた「パーパスプロジェクト」を開始しました。コーポレートブランディングのピラミッドの頂点にある「企業理念/パーパス」を、従業員に浸透させるためのプロジェクトの施策として「コツコツ ワクワク 世界をよくする」をキーワードに掲げ、社内外に対して多様なコミュニケーションを展開しています。グループ社員を中心に同社従業員23人が登場するテレビCMは「いい意味で三菱電機らしくない、と大変好評です」と阿部氏が胸を張るプロジェクトとなっています。

三菱電機株式会社 執行役員宣伝部長の阿部 敬人氏

三菱電機がTreasure Data CDPを導入した2つのポイント

ブランドコミュニケーションファネル戦略を施策として実施するにあたり、三菱電機宣伝部ではTreasure Data CDPを活用したデータ活用を推進しています。Treasure Data CDPの導入にあたって、IBMの麻生氏は重要視したポイントを2つ提示しました。

三菱電機株式会社のCDPを導入した背景

1つめは「コミュニケーションプランニングモデルのシフト」です。Treasure Data CDP導入以前の業務は、動画広告やディスプレイ広告、SNS、メールといったチャネルごとに施策を行い、PDCAを回してきました。麻生氏はそれを「メディア軸プランニング」と表現し、Treasure Data CDPを導入することで、その軸をメディアから人、顧客軸にシフトすることを意図しました。それにより、阿部氏が説明したステークホルダー単位でファネルを設定しコミュニケーションを行っていく施策設計を実現しようとするものです。

2つ目のポイントとして紹介したのは「データドリブンな業務の定着化」です。データを業務の起点、トリガーに「顧客軸プランニング」を実行し、顧客軸で施策を見ることで、配信チャネル全体で得られるデータの可視化、分析からPDCAサイクルを回すことを可能にし、ブランドコミュニケーション高度化を推進しようとしています。

オウンドメディアの成長に貢献するデータ活用事例

「まさに今、このデータ活用の取り組みを進めている」(麻生氏)三菱電機の具体的な事例について、宣伝部が運営主体となるオウンドメディア「CLUB MITSUBISHI ELECTRIC(CME)」にフォーカスを当て、浅尾氏が現場での活用を詳しく解説しました。

三菱電機株式会社 執行役員宣伝部長 デジタルコミュニケーショングループマネージャーの浅尾 陽子氏

CMEは、三菱電機の商品を軸とする個人向けの会員サイトです。暮らしのヒントや製品の使いこなし方を紹介する他、ポイントプログラムやプレゼントキャンペーンを実施。購入した家電製品を登録するとポイントが付与されるなど、同社顧客を優遇する仕組みが組み込まれています。

「一般の消費者に直接アプローチできる大変貴重なタッチポイントがCME」と浅尾氏。企業ブランディングはもちろん、家電事業への直接的な貢献も目的とされ、事業部門と協調して運用しています。

目指しているのは、訪問数および会員数の増加から製品登録数の増加へつなげ、その結果として顧客データベースが拡充するという好サイクルです。浅尾氏は現時点を「導入から1年ほど経ちデータの利活用ができ始めた時期」としています。実際に活用しているダッシュボードを示しながら、従来になかった詳細な会員属性の把握から、属性ごとの人気コンテンツの分析、アクセスや登録アイテム数などの可視化、施策前後の変化から効果の計測と分析を行っている状況を説明しました。まさにCDPをデータ活用の中核に据え、データドリブンなPDCA運営の定着化を推進していると言えるでしょう。

三菱電機 オウンドメディアの成長

加えて注目したいことは、宣伝部主体で動いているデータ活用のサイクルを通じて事業貢献に繋げていく展望です。具体的には、Treasure Data CDPが拡充した顧客テータベースにより、データを自動学習してユーザー向けサービスを向上させるIoT家電が進化し、結果的に顧客満足が向上、その先の製品販売の増加に貢献する、といった内容です。

社内的な理解を促進し、ダイナミックにデータ活用を進める優れたケーススタディ実現に向け、「現在はCDPに宣伝部が管理するデータを格納していますが、今後は事業本部のデータも統合し、サイクルの好循環を加速していきたいと考えています」(浅尾氏)。

行動の理由をみつめるデータ活用へ

麻生氏は大きな変革にある宣伝部の業務について、「チャレンジングな領域も非常に多かった」と指摘します。

日本アイ・ビー・エム株式会社 インタラクティブ・エクスペリエンス事業部 マネージング・コンサルタントの麻生 剛氏

その過程における苦労した点やその解決に向けた取り組みを浅尾氏に伺いました。

浅尾氏が所属するのは、宣伝部のなかでもWebサイトのインフラ構築やガバナンスを提供するグループで、日々の運用は別グループが担当しているといいます。「そのためCDPの導入にあたっては、導入後の運用イメージやダッシュボードの構成、データクレンジングの方向性などを共有し、運用担当のグループと密に連携をとるようにしました」と浅尾氏は説明します。外部メディアの広告運用を担当するグループを巻き込むときに代理店の担当者も加えて打ち合わせを重ねたと、導入当時を振り返ります。

同時に、データドリブンな業務の定着化には今でも苦労があるといいます。痛感するのは「環境を整備して終わりではなく、運用まで入り込んでいく必要がある」(浅尾氏)ということ。仕組みづくりと業務改革の両輪が、活きたデータ活用を進めるということを、実務者の観点から伝えました。

その上で浅尾氏が示したのは、三菱電機におけるCDP活用の将来像です。宣伝部の領域はコミュニケーションファネルにおけるToFuを対象としており、CDPを使ったデータ活用もそのための戦術として位置づけられています。それを前提とした上での重要なテーマは、まさに「データの拡充」です。宣伝部に加え、事業部が持つデータも連携対象に加え、BtoB領域のデータも拡充してToFuターゲットのコミュニケーション高度化および創客につなげていきたいという構想を浅尾氏は明かしました。

データが増えればその分だけ、分析のユースケースも多様化することが想定されます。そのため、ダッシュボードの改修など運用に必要なシステムを実装することも求められています。

「What(お客様の行動)とHow(それを知るための手段)に溺れることなく、お客様がとった行動の理由=Whyをしっかり探求しなければなりません。正しい問いを立て、本当に提供するべきものは何かを考えていかなければならないと思っています」。

阿部氏はこのように今後の展望を語りました。そのうえで、グループ社員の「コツコツ ワクワク」のキャッチフレーズを引き合いに出しながら「コツコツとデータを読み解き、お客様も私たち自身もワクワクするコミュニケーションに取り組んでいきたい」と意気込みます。

個人の経験や感覚に依存していたマーケティング戦略からデータに基づいた客観的な取り組みへと、まさにカルチャーを改革している三菱電機。大企業で部門を横断する改革を行うのは簡単ではありませんが、阿部、浅尾両氏の言葉から、データ活用に対する期待と手応えが伝わるセッションとなりました。

日本アイ・ビー・エム株式会社 インタラクティブ・エクスペリエンス事業部 マネージング・コンサルタントの麻生 剛氏、三菱電機株式会社 執行役員宣伝部長の阿部 敬人氏と同デジタルコミュニケーショングループマネージャーの浅尾 陽子氏

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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