Treasure Data CDPをはじめとするデータ基盤を活用するメリットは、データの統合管理に加えて、双方の合意があればデータエクスチェンジを活用して様々な企業同士でデータを相互活用できる点です。9,000万人を超える日本最大級の会員数を誇る共通ポイント「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティングも、このデータエクスチェンジに参画している企業のひとつです。では具体的に、「Ponta」の属性データや実利用データにはどのような可能性があるのでしょうか。株式会社ロイヤリティ マーケティング営業企画部プロダクトチーム リーダーの村田淳史氏が「Treasure Data CDP×Pontaリアルデータで実現できるアプローチとは?」と題した講演で紹介しました。
膨大なデータを蓄積する「Ponta」が感じていた課題
共通ポイント「Ponta」は、ローソン、ケンタッキーフライドチキンをはじめとするリアル店舗、リクルートのホットペッパーグルメやじゃらんnetをはじめとするネットサービス、東京電力や昭和シェル石油をはじめとする生活インフラなど124社22万店舗の提携社ネットワークを誇り、生活者の様々なシーンに浸透している。日々の生活の様々な場面で「Ponta」が利用されることで、生活者のライフスタイルをデータによって深く知ることができるのだ。
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Treasure Data CDPをはじめとするデータ基盤を活用するメリットは、データの統合管理に加えて、双方の合意があればデータエクスチェンジを活用して様々な企業同士でデータを相互活用できる点です。9,000万人を超える日本最大級の会員数を誇る共通ポイント「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティングも、このデータエクスチェンジに参画している企業のひとつです。では具体的に、「Ponta」の属性データや実利用データにはどのような可能性があるのでしょうか。株式会社ロイヤリティ マーケティング営業企画部プロダクトチーム リーダーの村田淳史氏が「Treasure Data CDP×Pontaリアルデータで実現できるアプローチとは?」と題した講演で紹介しました。
膨大なデータを蓄積する「Ponta」が感じていた課題
共通ポイント「Ponta」は、ローソン、ケンタッキーフライドチキンをはじめとするリアル店舗、リクルートのホットペッパーグルメやじゃらんnetをはじめとするネットサービス、東京電力や昭和シェル石油をはじめとする生活インフラなど124社22万店舗の提携社ネットワークを誇り、生活者の様々なシーンに浸透している。日々の生活の様々な場面で「Ponta」が利用されることで、生活者のライフスタイルをデータによって深く知ることができるのだ。
「Pontaの強さは、属性と実利用データから生活者のライフスタイルが分析できること。そうしたデータが9,000万人分蓄積されている」(村田氏)。
では、こうしたデータをどのようにマーケティングに活用するのか。村田氏は「Ponta」のマーケティング事業について「生活者の検討段階におけるレコメンドなどのコミュニケーション施策、そして購買行動の際のデータを分析して“また行きたくなる”を見える化。再び行きたくなるようなコミュニケーション施策に繋げること」と説明。会員に向けたプロモーションと、会員の実利用データをもとにしたリサーチ・分析を大きな柱にしているのだという。
しかし、こうした大きな会員データ基盤においても、当初は課題があったのだという。村田氏によると、同社では膨大なデータやアプリのログを社内のデータウェアハウスに集約して、社内の分析やDM、メール配信で活用していた。しかし、DSPを導入するたびにデータ連携の開発が発生してスピード感のあるビジネスができない点、緻密な分析やコミュニケーション設計をしてもPontaの範囲内だけでしかデータが活用できない点などの課題があったという。そこで、データウェアハウスで分析したデータを外部企業のデータと連携させて相互に活用できればいいのではないかと考えたという。
「実際にどうやるのかというタイミングで様々な方法を模索するなかで、Treasure Data CDPを課題解決の手段として活用することにした。データエクスチェンジの素晴らしさに魅力を感じた」(村田氏)。
データエクスチェンジによって、企業は「Ponta」のデータをどう活用できるのか
では具体的に、「Ponta」に蓄積されるデータの活用は、Treasure Data CDPによってどのように変化したのだろうか。村田氏はデータエクスチェンジを活用した企業向けのマーケティングモデルを紹介した。
「Ponta」のデータがTreasure Data CDPのデータエクスチェンジを導入したことによって、企業はDSPやSNSなどに個人が特定できない形で「Ponta」のデータを連携することが可能になり、これまでオウンドメディアの範囲内に留まっていた施策が外部にリーチできるようになった。また、自社のデータを「Ponta」のデータと接続することによって、会員のインサイトを深く知ることが可能になったという。
「企業にとっては、Pontaのデータを活用することによって施策の打ち手が実利用データから見えるようになった」(村田氏)。
村田氏は、企業がPontaのデータを活用してマーケティング施策を改善できた具体例を3つ提示した。
「オウンドユーザーの見える化」では、オウンドメディアの中の行動とPonta経済圏(提携店ネットワーク)における行動をまとめて分析できるようになり、オウンドメディアの来訪者のインサイトを深く知ることが可能に。ある消費財メーカーでは、オウンドメディアがどれくらい購買行動に貢献しているのかを把握するために、データエクスチェンジによって「Ponta」のデータを活用。相関性が見える化したことによってナーチャリングが可能になり、1年間で購買人数は30%、購買金額は40%アップしたのだという。
「ターゲティングの購買予測」では、自社データと「Ponta」データを連携させてロイヤリティ マーケティングがDataRobotと共同開発した見込み顧客予測ソリューション「Ponta AI」で解析。購入する確率の高いPonta会員を抽出することによって、Treasure Data CDPの「td_global_id」を介してDSPなどを活用したプロモーションの配信に繋げることができるという。あるインフラ系企業では、新サービスのプロモーションでこの仕組みを活用して申込を予測。一般的なスキルを持つデータアナリストが予測した場合と比較して、コンバージョン率の予測は13%アップ、リーチ対象者の人数は20%アップしただけでなく、予測に必要なリードタイムが90%も削減できたという。
「5営業日かけていた作業が2時間でできるようになり、高速PDCAが可能になった」(村田氏)。
「広告効果を購買で検証」では、DSPに蓄積された広告配信データと「Ponta」に蓄積された購買行動データをTreasure Data CDPの「td_global_id」を介して統合解析するモデルを紹介。広告に接触したかによる購買行動の違い、新規顧客か既存顧客かによる違いなど分析できるようになったという。ネット広告の売上への貢献が見えないという課題を抱えた消費財メーカーでは、このスキームによって特定のペルソナの購買個数が非常に多いことや、広告接触者の購買が非接触者より8割も高い点などを発見できたという。ターゲティングの有効性や広告と購買行動の因果関係が明らかになったことで、社内でも施策の有効性を説明できるようになったという。
村田氏はこうした事例を踏まえた上で、「我々としては“見える化”しただけでは十分とは言えない」と語り、今後の構想として“見える化”できた情報をどのように活用できるかという可能性を拡げていきたいと語る。例えば、キャンペーンのタイミングの最適化や、マーケティング部門とセールス部門の連携といった業務改善など、企業のマーケティング部門の課題解決に取り組んでいきたいと意気込みを語った。
「生活者の“お店に行くのが待ち遠しい”を一緒に作りたい。まずは自社の顧客を(Pontaの)実利用データと掛け合わせることで見える化していただき、マーケティング施策の改善を一緒に取り組んでいきたい」(村田氏)。