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次世代CDPにより実現されるブランドマーケターの未来

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CDPをビジネスに本格活用するには、マーケティングを含め社内の各部門が、データとの向き合い方を進化させる必要がある。資生堂は、Treasure Data CDPにブランド毎、店舗毎に分散していた顧客データを統合。オーディエンススタジオ、ジャーニーオーケストレーションなどの機能を使い、マーケターが行動データに直接アクセスし、顧客体験を高める施策実行につなげている。その取り組みからは、CDPをマーケティングDXに生かすポイント、ブランドマーケターの未来が見えてくる。
※サービス名などはイベント開催時点(202411月)における情報です

【この事例のポイント】
・顧客データをTreasure Data CDPで統合し、1つのIDで顧客情報を管理することで、オンライン・店舗間でシームレスな体験を提供。
・データの抽出と分析において、マーケティング部門とIT部門の協力が不可欠。
・Treasure Data CDPのオーディエンススタジオ、ジャーニーオーケストレーションなどの機能を活用することで、マーケティングとデータ・IT間の壁を乗り越え、スピード感と精度を両立した取り組みが可能になった。

<登壇者> ※2024年12月時点の所属 

資生堂ジャパン株式会社
プレステージブランドマーケティング本部 リージョナルブランドマーケティング部
リージョナルブランドデジタルマーケティング戦略G
ブランドマネージャー
中條 裕紀氏

アクセンチュア株式会社
ソング本部 マネジャー
日影 玲雄氏

<目次>

新しい美容体験を創造するためのコラボレーション

コロナ禍が引き起こしたマーケットの行動変容は、様々な業界に大きな影響を与えた。化粧品業界もその1つだ。以前は百貨店などでの体験、販売が顧客との重要なタッチポイントだったが、非接触が推奨されたことで様相は一変。並行して、社会、ビジネスのいろいろな局面でデジタルシフトが進んだことで、美容体験の再構築が求められたのだ。

「コロナ禍の2021年、資生堂とアクセンチュアとの合弁による新会社、資生堂インタラクティブビューティーが設立されました。『すべて人生を健やかでリッチに。デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造する』。このミッションを掲げ、資生堂のブランド、幅広い販売チャネル、膨大な生活者データにアクセンチュアの実績、専門性、ケイパビリティを掛け合わせて美容体験のDXを進め、すべてのお客様との関係強化と、顧客体験への新たな価値提案を行っています」とアクセンチュアの日影 玲雄氏は、両社が取り組むプロジェクトの狙いを語る。

両社は従来、デジタル・IT分野での先進的な取り組みを行うパートナー関係にあった。新会社は1つの到達点であり、スピードとイノベーションで新しい価値を提供し、資生堂が掲げるDXビジョン「Global No.1 Data-Driven Personal Skin Beauty & Wellness Company」を牽引する位置づけとなる。

資生堂には、店舗とオンラインでの購入データ、ブランドごとの購入データなど、膨大な顧客データが蓄積されており、それをTreasure Data CDPに統合することで、デジタルマーケティングの基盤としている。

「実際にマーケティングに活用するフェーズに入ると、そのデータを基に、ターゲットとなるお客様の解像度を上げながら、デジタル上の施策に落とし込んでいくことになります。ここでは、マーケティング部門と、データのクレンジングや加工、集計を行うデータ・IT部門の連携が不可欠であり、データドリブンな施策を実現するために乗り越えなければいけない壁でもあります」と資生堂の中條 裕紀氏は話す。

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同じ企業内で成果を目指しているにも関わらず、事業部門とIT関連部門の連携に齟齬が生じるケースは珍しくない。最終的な目標は共有していても、日々の業務に向き合う際の視点が少し違うことが大きな要因だ。

CDPでのデータ統合、そして1ID化によるアプリ開発

マーケティング部門であれば、ビジネス課題の解決はもちろん、業務効率化を実現するため、他の部門とうまく役割分担しながら、本来の業務に集中する時間を増やしたいと考える。データ・IT部門の視点はツールをベースにしたものとなり、導入・活用による成果を目指す。ものの見方、現場で話題にする情報、使われる言葉も少しずつ変わるため、いざ連携しようとすると、見えない壁にぶつかってしまいがちだ。

資生堂の場合、その壁をどう乗り越えたのか。そこには、Treasure Data CDPの存在が大きく関わってくる。Treasure Data CDPをデータ基盤に置くことで、両者間の壁を乗り越える環境づくりを行っているのだ。

具体的な事例として日影氏があげるのが、アクセンチュアと共同開発し、2022年にリリースしたメンバーシップアプリ「Beauty Key」だ。従来は店舗ごと、ブランドごと、オンライン/オフラインなど、個別に管理されていた会員情報を1つのIDで統合し、Treasure Data CDPを通じて統合データベースを構築した。その結果、オンラインと店舗の両方で、よりシームレスな顧客体験を提供できるようになったという。

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図1 デジタルマーケティングの施策を、スピード感を持って、精度高く実行するには、マーケティング側と、データ・IT側の連携が不可欠だ。そこで、Treasure Data CDPをデータ基盤に置き、両者間の壁を乗り越える環境づくりを行っている

アプリにはセルフの肌診断機能、リワード(報酬)機能などがあり、お気に入りのブランドを登録すると、ユーザーごとに最適化されたメッセージが届けられる。

「利用するお客様にも、我々にも様々なメリットがあります。資生堂には多くのブランドがありますが、共通IDにすることで、シームレスな美容体験や肌診断を受けられます。マーケティング側の視点だと、1ID化で一人ひとりのお客様のデータをクロスブランドで見ることができ、パーソナライズされた施策が打ちやすくなります」

ただし、そうした施策をタイムリーに打っていくには、マーケティング部門とデータ・IT部門の綿密な業務連携が欠かせない。ここでも前述した壁を乗り越える必要があった。

1IDでデータを統合したといっても、閲覧するにはSQL(データベースを操作する言語)などの専門知識が必要になるが、その知識、スキルを持っているマーケティング担当者は多くはない。必然、データの抽出・分析についてはデータ・IT部門のエンジニアへ依頼することが多くなるわけだ。

ただ、エンジニアも抱えている案件が多く、すぐには対応できない場合もある。「アウトプットに時間がかかり、何か施策を実行しようとしても、リリースまで時間がかかってしまうこともありました」と中條氏は振り返る。

マーケティングチームを支援しながら、日影氏もその課題に気づき、実際に相談を受けることも多かったという。そこで導入したのが、Treasure Data CDPの「オーディエンススタジオ」だ。ブラウザ上のドラッグアンドドロップで簡単に顧客データのセグメントを切り、条件に合致したユーザーがどれぐらいいるかを可視化してくれるツールである。

マーケティング側でデータを抽出したいとなったとき、以前はデータ・IT部門のエンジニアに依頼しなければいけなかったが、オーディエンススタジオを使えば、マーケター自身がセルフでできるようになるため、やり取り自体が削減される。セグメント作成、そこから施策に活用するまで労力が「15%削減」という成果も出た。

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図2 統合したデータから抽出し、セグメントを行うたびに、エンジニアに協力を依頼していると様々なロスが生じる。オーディエンススタジオの活用により、マーケター自身がより簡単にセグメントを作成できるようになり、労力の15%削減を実現した

マーケターとIT部門の連携を進める「オーディエンススタジオ」

導入にあたり、日影氏が最も意識したのはマーケティング部門と、データ・IT部門の連携だ。オーディエンススタジオは属性データと行動データ、2つをひもづけることでセグメントできる。属性データに関しては比較的簡単だが、行動データに関してはどこまで要素として取り込むかが難しい。

「一般的には、最初に要件定義を行い、マーケターがこう使いたいだろうから、それに合わせてデータ・IT部門でデータをつくることになります。ですが、私は3年以上マーケティングチームを伴走支援し、いろいろなお話をしてきたため、現場に即したより実効性の高いやり方があるのではないかと考えました。そこで、シンプルな条件を入力するだけで簡単にセグメントできる環境をつくり、マーケターの方に使ってもらい、そのフィードバックをもとにブラッシュアップを繰り返していく、という導入プロセスを採りました」(日影氏)

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オーディエンススタジオの魅力は、つくったセグメントのボリュームが取得できるというだけではない。内訳をセグメントインサイトというダッシュボードで画面上に可視化できる点も大きい。ここも普段、マーケターとの会話で交わされる言葉を基に定義した。例えば購入頻度に関して、年間の購入数だけでなく、化粧品の場合は購入してからの期間が重要なポイントになる。90日以内のリピートを理想として、購入後の感想がセグメントに反映されるだけでなく、ダッシュボードに可視化する環境をつくりあげていったという。

「導入に際して、マーケティング側で理解できるつくり込みになっているかが重要なポイントでしたが、それが実現されています」と中條氏は満足感を示す。ダッシュボードを使う企業は多いが、オーディエンススタジオの場合、セグメントをつくりながら、マーケターのほうで試行錯誤し、そのままCRMの施策にも連携できる。この点についても両氏は高く評価する。

マーケター自身が顧客理解を深める意味でも、Treasure Data CDPは有効だという。その役割を担っているのがジャーニーオーケストレーションだ。メッセージ配信、広告配信などの施策を個々に最適化し、複数のチャネルをまたいで実行するための機能だが、各顧客のステージや育成状況を可視化できるジャーニーインサイトに役立てている。マーケティング活動を自動化、効率化する一般的なMAツールの場合、購入したタイミングでメッセージを送るなど、シンプルな顧客ジャーニーを描くが、ジャーニーオーケストレーションの場合、顧客ごとのステージを定義することで、よりパーソナライズした施策が可能になる。

「あるブランドの場合、化粧品・乳液・美容液の3種類を併用していただくと、長くブランドを愛用してもらえる優良顧客になりやすいと分かっていました。購入して3日後には商品の使い方をお伝えして、1週間後にはブランドのコンセプトと世界、もう少しで使い切るというタイミングでは、次の商品をレコメンドする。連続したコミュニケーションを行っています。評価はメッセージ一つひとつに対して行っていましたが、お客様の行動変容にまでどう効果があるのか、分かりづらい部分もありました。ジャーニーインサイトでは、連続するメッセージの結果、お客様の行動変容が起きているのか、次のステージに進むトリガーになっているのか。ブランド会員の育成状況を簡単に可視化できます」(日影氏)

つまり、ある顧客に対して、どのような商品を、どういう順番で提案すれば、最大のロイヤルティを得られるかが理解できるようになるわけだ。

AI活用の先に、ブランドマーケターの未来像がある

今後の展望を、ブランドマーケターの未来という視点で語るとき、重要なキーワードとなってくるのが「AI」だ。AIエージェントという言葉は広がりつつあるが、日影氏はTreasure Data CDPに大きな可能性を感じているという。

その理由は「Treasure Data AI Framework」にある。「ブランドごとに専用のエージェントを持てるイメージで、エージェントがブランドの世界観やコンセプトを理解した上で、個々に最適化したコミュニケーション施策を提案したり、ジャーニーのたたき台を作成したりする。そんな世界が実現すること期待しています」と日影氏。その世界では、ブラントマーケターの役割、働き方も変わってくるのだろうか。中條氏は最後に次のように語った。

「データ分析はデータサイエンティストだけの領域ではなく、Treasure Data CDPが予見させているように、マーケター自身が直接、データを操る状況になっていくはずです。マーケター側とデータ・IT側の関係でいうと、データを起点に並走するのが理想。それにはマーケター側の進化が必要であり、その先に、新しいブランドマーケターの姿があるのではないかと思います」

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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